実験 / experiment_inorganic

気体の発生と性質の実験

O₂、H₂、CO₂、NH₃、Cl₂、HCl、SO₂など、代表的な気体の発生方法・捕集法・性質・検出法をまとめた実験教材です。水上置換、上方置換、下方置換の違いを模式図で確認します。
実験教材
難易度:標準 目安:45分
# 実験 # 無機化学 # 気体発生 # 捕集法 # 検出法

この教材で学ぶこと

到達目標

  • 代表的な気体の発生反応を説明できる
  • 水上置換・上方置換・下方置換を使い分けられる
  • 気体の性質と検出法を対応させられる
  • 有毒気体や刺激臭のある気体の安全上の注意を説明できる

前提知識

  • 無機化学の気体製法まとめ
  • 酸・塩基
  • 酸化還元
  • 塩素・塩化水素・塩化物
  • アンモニア・アンモニウム塩

図・写真

※スマホで画像が見づらい場合は、画像を拡大表示するか、別タブで開くと確認しやすいです。

STEP 1 水上置換
水上置換で気体を集める模式図
水上置換は、水に溶けにくい気体を集める方法です。O₂やH₂などで使われます。
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Credit: ChemStudy 自作模式図 License: Original
STEP 2 上方置換
上方置換で気体を集める模式図
上方置換は、空気より軽く、水に溶けやすい気体を集める方法です。NH₃の捕集でよく使われます。
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Credit: ChemStudy 自作模式図 License: Original
STEP 3 下方置換
下方置換で気体を集める模式図
下方置換は、空気より重い気体を集める方法です。CO₂、HCl、Cl₂、SO₂などで使われます。
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Credit: ChemStudy 自作模式図 License: Original

実験情報

目的

代表的な気体を発生させ、その性質や検出法、捕集法の違いを理解する。

原理

気体の捕集法は、水への溶けやすさと空気に対する密度によって決まる。水に溶けにくい気体は水上置換、水に溶けやすく空気より軽い気体は上方置換、水に溶けやすく空気より重い気体は下方置換で集める。

器具

  • 試験管
  • ゴム栓
  • ガラス管
  • 水槽
  • 集気びん
  • スポイト
  • 保護メガネ

試薬

  • 過酸化水素水
  • 二酸化マンガン
  • 亜鉛
  • 希塩酸
  • 炭酸カルシウム
  • 塩化アンモニウム
  • 水酸化カルシウム
  • さらし粉または酸化マンガン(IV)
  • 濃塩酸
  • 亜硫酸ナトリウム

手順

  1. 保護メガネを着用し、使用する気体に応じて換気を十分に行う。
  2. 発生させる気体の性質を確認し、適切な捕集法を選ぶ。
  3. O₂やH₂のように水に溶けにくい気体は、水上置換で集める。
  4. NH₃のように水に溶けやすく空気より軽い気体は、上方置換で集める。
  5. CO₂やHClのように空気より重い気体は、下方置換で集める。
  6. 発生した気体を、それぞれの検出法で確認する。
  7. 有毒気体や刺激臭のある気体は、少量で扱い、直接においをかがない。
  8. 観察結果を表にまとめ、発生反応・捕集法・検出法を対応させる。

観察結果

試料 結果
O₂ 火のついた線香を近づけると燃焼が激しくなる
H₂ 火を近づけるとポンという音を立てて燃える
CO₂ 石灰水を白くにごらせる
NH₃ 湿った赤色リトマス紙を青色にする
Cl₂ 黄緑色。有色物質を漂白する。湿った青色リトマス紙を赤変後に漂白する
HCl 湿った青色リトマス紙を赤色にする。NH₃と白煙を生じる
SO₂ 刺激臭。有色物質を漂白し、還元性を示す

安全上の注意

  • 保護メガネを必ず着用する。
  • H₂は可燃性が高いため、火気の扱いに注意する。
  • Cl₂、HCl、SO₂、NH₃は刺激臭や有毒性があるため、直接においをかがない。
  • 有毒気体を扱う場合は、ドラフト内または十分に換気された場所で行う。
  • 試験管の口を人に向けない。
  • 反応が激しくなりすぎないよう、試薬は少量ずつ加える。

廃液・廃棄

  • 酸や塩基を含む廃液は、指示された廃液容器に入れる。
  • 重金属や酸化剤を含む廃液は、通常の流しに捨てない。
  • 有毒気体を発生させた器具は、教員や実験指導者の指示に従って処理する。

早覚え表

印刷・PDF保存・CSVダウンロードに対応しています。

代表的な気体の発生・捕集・検出

気体 発生反応の例 捕集法 検出法・性質
O₂ 2H₂O₂ → 2H₂O + O₂ 水上置換 火のついた線香の燃焼が激しくなる
H₂ Zn + 2HCl → ZnCl₂ + H₂ 水上置換 火を近づけるとポンと燃える
CO₂ CaCO₃ + 2HCl → CaCl₂ + CO₂ + H₂O 下方置換 石灰水を白くにごらせる
NH₃ 2NH₄Cl + Ca(OH)₂ → CaCl₂ + 2NH₃ + 2H₂O 上方置換 湿った赤色リトマス紙を青色にする
Cl₂ MnO₂ + 4HCl → MnCl₂ + Cl₂ + 2H₂O 下方置換 黄緑色。漂白作用がある
HCl NaCl + H₂SO₄ → NaHSO₄ + HCl 下方置換 湿った青色リトマス紙を赤色にする
SO₂ Na₂SO₃ + 2HCl → 2NaCl + SO₂ + H₂O 下方置換 刺激臭。漂白作用・還元性

捕集法の選び方

捕集法 使う条件 代表例 注意点
水上置換 水に溶けにくい O₂, H₂ 水に溶けやすい気体には不向き
上方置換 空気より軽く、水に溶けやすい NH₃ 気体が上にたまる
下方置換 空気より重い CO₂, HCl, Cl₂, SO₂ 有毒気体では換気が重要

覚え方・暗記ポイント

O₂とH₂は水に溶けにくいので水上置換。
NH₃は水に非常によく溶け、空気より軽いので上方置換。
CO₂、HCl、Cl₂、SO₂は空気より重いので下方置換。
CO₂は石灰水、NH₃は赤色リトマス紙、HClは青色リトマス紙で確認。
Cl₂、HCl、SO₂、NH₃は直接においをかがない。
目次

1 気体の捕集法を決める考え方

気体の捕集法は、水への溶けやすさと空気に対する密度で決まります。
水に溶けにくい気体なら、水上置換で集めることができます。
水に溶けやすい気体の場合は、水上置換では集めにくいため、空気より軽いか重いかで上方置換・下方置換を使い分けます。
捕集法の判断
条件 選ぶ捕集法
水に溶けにくい 水上置換 O₂, H₂
水に溶けやすく、空気より軽い 上方置換 NH₃
空気より重い 下方置換 CO₂, HCl, Cl₂, SO₂
確認ポイント
  • 捕集法を水への溶けやすさから判断できる
  • 空気より軽いか重いかで上方置換・下方置換を区別できる
  • 代表的な気体と捕集法を対応させられる
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2 代表的な気体の検出法

気体の検出では、色、におい、リトマス紙の変化、石灰水の変化、燃焼の様子などを観察します。
ただし、刺激臭や有毒性のある気体を直接かぐのは危険です。必要な場合でも、手で軽くあおいで少量だけ確認します。
高校化学では、発生反応式、捕集法、検出法をセットで覚えることが重要です。
酸素の発生
2H₂O₂ → 2H₂O + O₂
二酸化マンガンは触媒として働きます。
水素の発生
Zn + 2HCl → ZnCl₂ + H₂
水素は可燃性があるため、火の扱いに注意します。
二酸化炭素の発生
CaCO₃ + 2HCl → CaCl₂ + CO₂ + H₂O
CO₂は石灰水を白くにごらせます。
アンモニアの発生
2NH₄Cl + Ca(OH)₂ → CaCl₂ + 2NH₃ + 2H₂O
NH₃は塩基性で、湿った赤色リトマス紙を青色にします。
確認ポイント
  • 代表的な気体の検出法を説明できる
  • 気体の発生反応式を書ける
  • 安全上注意すべき気体を判断できる
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