実験 / experiment_organic

フェノール類の識別実験

塩化鉄(III)水溶液による呈色反応、臭素水による白色沈殿、酸性・塩基性の違いを通して、フェノール類の性質を見分ける実験教材です。
実験教材
難易度:標準 目安:35分
# 実験 # 有機化学 # フェノール # 識別反応 # 呈色反応 # 臭素水 # 弱酸性

この教材で学ぶこと

到達目標

  • フェノール類が塩化鉄(III)水溶液で呈色する理由を説明できる
  • フェノールと臭素水の反応で白色沈殿が生じることを説明できる
  • フェノールとアルコールの性質の違いを説明できる
  • フェノールの弱酸性と反応性を整理できる

前提知識

  • 芳香族化合物
  • フェノール類
  • アルコールとエーテル
  • 有機化合物の識別反応早覚え表

図・写真

※スマホで画像が見づらい場合は、画像を拡大表示するか、別タブで開くと確認しやすいです。

STEP 1 FeCl₃呈色反応
フェノール類に塩化鉄(III)水溶液を加えて紫色に呈色する模式図
フェノール類は塩化鉄(III)水溶液で紫色などに呈色する。フェノール性OHの検出に使われる。
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Credit: ChemStudy 自作図 License: Original
STEP 2 臭素水反応
フェノールに臭素水を加えて白色沈殿が生じる模式図
フェノールに臭素水を加えると、2,4,6-トリブロモフェノールの白色沈殿が生じる。
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Credit: ChemStudy 自作図 License: Original
STEP 3 フェノールとアルコールの比較
フェノールとアルコールの反応性の違いを比較する模式図
フェノールはベンゼン環にOHが直接結合しているため、普通のアルコールとは異なる反応性を示す。
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Credit: ChemStudy 自作図 License: Original

実験情報

目的

フェノール類の特徴的な反応を観察し、アルコールとの違いやフェノール性OHの検出方法を理解する。

原理

フェノール類はベンゼン環にヒドロキシ基が直接結合した化合物であり、普通のアルコールとは異なる性質を示す。塩化鉄(III)水溶液では呈色反応を示し、臭素水とは置換反応を起こして2,4,6-トリブロモフェノールの白色沈殿を生じる。また、フェノールは弱酸性を示すが、カルボン酸ほど強い酸ではない。

器具

  • 試験管
  • 試験管立て
  • スポイト
  • ビーカー
  • ガラス棒
  • 保護メガネ
  • 手袋

試薬

  • フェノール水溶液
  • エタノール
  • サリチル酸水溶液
  • 塩化鉄(III)水溶液
  • 臭素水
  • 水酸化ナトリウム水溶液
  • 炭酸水素ナトリウム水溶液

手順

  1. 保護メガネと手袋を着用し、フェノールや臭素水を直接触れないようにする。
  2. 試験管にフェノール水溶液を少量入れる。
  3. 塩化鉄(III)水溶液を数滴加え、色の変化を観察する。
  4. 別の試験管にエタノールを入れ、同じように塩化鉄(III)水溶液を加えて比較する。
  5. フェノール水溶液に臭素水を少量加え、脱色や白色沈殿の有無を観察する。
  6. 必要に応じてサリチル酸水溶液でもFeCl₃呈色反応を確認する。
  7. フェノールに水酸化ナトリウム水溶液を加え、フェノキシド塩として溶けやすくなることを確認する。
  8. フェノールに炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、カルボン酸との反応性の違いを考察する。
  9. 観察結果を表にまとめ、フェノール類とアルコール・カルボン酸の違いを整理する。

観察結果

試料 結果
フェノール + FeCl₃水溶液 紫色などの呈色が見られる
サリチル酸 + FeCl₃水溶液 フェノール性OHをもつため呈色する
エタノール + FeCl₃水溶液 通常は呈色しない
フェノール + 臭素水 白色沈殿が生じる
フェノール + NaOH水溶液 フェノキシド塩を作り、溶けやすくなる
フェノール + NaHCO₃水溶液 通常、CO₂は発生しにくい

安全上の注意

  • フェノールは皮膚に触れると危険なので、必ず手袋を着用する。
  • 臭素水は刺激性があるため、吸い込んだり皮膚につけたりしない。
  • 塩化鉄(III)水溶液は衣服や皮膚につけないようにする。
  • 試薬を直接におわない。
  • 試験管の口を人に向けない。
  • こぼした場合は自己判断で処理せず、教員や指導者に知らせる。

廃液・廃棄

  • フェノールを含む廃液は、指定された有機廃液容器に入れる。
  • 臭素水を含む廃液は、指導者の指示に従って処理する。
  • 塩化鉄(III)水溶液を含む廃液も、通常の流しに捨てない。
  • 沈殿を含む試験管は、指示された方法で洗浄する。

早覚え表

印刷・PDF保存・CSVダウンロードに対応しています。

フェノール類の代表的な識別反応

対象 試薬・操作 観察結果 判断できること
フェノール類 塩化鉄(III)水溶液 紫色などに呈色 フェノール性OHをもつ
フェノール 臭素水 白色沈殿 2,4,6-トリブロモフェノールが生じる
フェノール NaOH水溶液 塩を作って溶けやすくなる 弱酸性を示す
フェノール NaHCO₃水溶液 通常CO₂は発生しにくい カルボン酸ほど強い酸ではない
サリチル酸 塩化鉄(III)水溶液 呈色する フェノール性OHをもつ
エタノール 塩化鉄(III)水溶液 通常呈色しない 普通のアルコールは陰性

フェノール・アルコール・カルボン酸の比較

分類 構造の特徴 FeCl₃呈色 NaOHとの反応 NaHCO₃との反応
フェノール ベンゼン環にOHが直接結合 陽性 塩を作る 通常CO₂を発生しにくい
アルコール 炭化水素基にOHが結合 陰性 通常反応しにくい 反応しにくい
カルボン酸 -COOHをもつ 通常は識別に使わない 塩を作る CO₂を発生する
サリチル酸 フェノール性OHとCOOHをもつ 陽性 塩を作る CO₂を発生する

間違えやすいポイント

比較 正しい判断 注意点
フェノールとアルコール FeCl₃で呈色するのはフェノール類 普通のアルコールは基本的に呈色しない
フェノールとカルボン酸 NaHCO₃でCO₂を出すのは主にカルボン酸 フェノールは弱酸性だが、炭酸水素ナトリウムとは通常反応しにくい
フェノールとアルケン 臭素水で白色沈殿ならフェノール、脱色中心ならアルケン どちらも臭素水に変化を与えるので結果を区別する
フェノールとサリチル酸 どちらもFeCl₃で呈色する サリチル酸はCOOHも持つためNaHCO₃でCO₂を発生する

覚え方・暗記ポイント

フェノール類はFeCl₃で紫色などに呈色する。
フェノールは臭素水で2,4,6-トリブロモフェノールの白色沈殿を生じる。
フェノールは弱酸性だが、カルボン酸ほど強くない。
フェノールはNaOHとは反応するが、NaHCO₃とは通常CO₂を発生しにくい。
普通のアルコールはFeCl₃呈色反応を示さない。
サリチル酸はフェノール性OHとカルボキシ基の両方をもつ。
目次

1 塩化鉄(III)水溶液による呈色反応

フェノール類は、塩化鉄(III)水溶液を加えると紫色などに呈色します。
これは、フェノール性OHをもつ物質を確認する代表的な識別反応です。
普通のアルコールでは通常この呈色反応は見られないため、フェノール類とアルコールの区別に使えます。
FeCl₃呈色反応の見方
フェノール類 + FeCl₃ → 紫色などに呈色
色の変化があれば、フェノール性OHをもつ可能性が高いと判断します。
確認ポイント
  • FeCl₃呈色反応で確認できる官能基を説明できる
  • フェノールと普通のアルコールの違いを説明できる
  • サリチル酸が呈色する理由を説明できる
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2 臭素水による白色沈殿

フェノールに臭素水を加えると、ベンゼン環の2,4,6位に臭素が置換されます。
その結果、2,4,6-トリブロモフェノールが生じ、白色沈殿として観察されます。
アルケンも臭素水を変化させますが、アルケンでは主に付加反応による脱色として覚えます。フェノールでは白色沈殿が重要です。
フェノールの臭素水反応
フェノール + Br₂水 → 2,4,6-トリブロモフェノール↓
白色沈殿が生じることを覚えます。
確認ポイント
  • フェノールに臭素水を加えたときの結果を説明できる
  • 2,4,6-トリブロモフェノールの白色沈殿を覚えられる
  • アルケンの臭素水反応との違いを説明できる
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3 フェノールの弱酸性

フェノールは弱酸性を示し、水酸化ナトリウム水溶液と反応してナトリウムフェノキシドを作ります。
しかし、カルボン酸ほど酸性は強くないため、炭酸水素ナトリウム水溶液とは通常二酸化炭素を発生しにくいです。
この違いを使うと、フェノールとカルボン酸を区別できます。
フェノールとNaOH
C₆H₅OH + NaOH → C₆H₅ONa + H₂O
フェノールは弱酸性なので、強塩基とは塩を作ります。
確認ポイント
  • フェノールが弱酸性を示すことを説明できる
  • NaOHとNaHCO₃に対する反応性の違いを説明できる
  • フェノールとカルボン酸を識別できる
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