実験 / experiment_inorganic

沈殿反応とイオン検出の実験

沈殿反応を利用して、溶液中のイオンを見分ける実験教材です。Ag⁺、Cl⁻、SO₄²⁻、Cu²⁺、Fe²⁺、Fe³⁺、Al³⁺、Zn²⁺などの代表的な沈殿と色を、写真・表・反応式で整理します。
実験教材
難易度:標準 目安:40分
# 実験 # 無機化学 # 沈殿反応 # イオン検出 # 金属イオン

この教材で学ぶこと

到達目標

  • 沈殿反応が起こる理由を説明できる
  • 代表的な沈殿の色を覚えられる
  • 沈殿を利用してイオンを検出する流れを説明できる
  • 過剰なNaOH水溶液やアンモニア水による再溶解を判定に使える

前提知識

  • 無機化学の沈殿色まとめ
  • 銀とその化合物
  • 銅とその化合物
  • アルミニウムとその化合物
  • 亜鉛・スズ・鉛

図・写真

※スマホで画像が見づらい場合は、画像を拡大表示するか、別タブで開くと確認しやすいです。

STEP 1 原理図
沈殿、上澄み、懸濁の違いを示した模式図
沈殿反応では、水に溶けにくい物質が固体として現れる。沈殿が生じると、溶液中のイオンを見分ける手がかりになる。
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Credit: ZabMilenko, ZooFari, Mrmw / Wikimedia Commons License: CC0 1.0 Source
STEP 2 白色沈殿
塩化銀の白色沈殿が試験管内に生じている写真
Ag⁺とCl⁻が反応すると、白色沈殿のAgClが生じる。ハロゲン化物イオンの検出でよく使われる。
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Credit: Luisbrudna / Wikimedia Commons License: CC BY-SA 4.0 Source
STEP 3 青色沈殿
水酸化銅(II)の青色沈殿が生じている写真
Cu²⁺にOH⁻を加えると、青白色から青色のCu(OH)₂沈殿が生じる。過剰のアンモニア水では深青色溶液になることも重要。
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Credit: Alvy16 / Wikimedia Commons License: CC BY 4.0 Source

実験情報

目的

沈殿の有無や色の違いを観察し、溶液中に含まれるイオンを推定する。

原理

水溶液中の陽イオンと陰イオンが反応して、水に溶けにくい塩や水酸化物をつくると沈殿が生じる。沈殿の色や、過剰な試薬を加えたときの変化を利用すると、イオンの種類を見分けられる。

器具

  • 試験管
  • 試験管立て
  • スポイト
  • ガラス棒
  • 保護メガネ

試薬

  • 硝酸銀水溶液
  • 塩化ナトリウム水溶液または希塩酸
  • 塩化バリウム水溶液
  • 硫酸ナトリウム水溶液
  • 硫酸銅(II)水溶液
  • 塩化鉄(II)水溶液
  • 塩化鉄(III)水溶液
  • 塩化アルミニウム水溶液
  • 硫酸亜鉛水溶液
  • 水酸化ナトリウム水溶液
  • アンモニア水

手順

  1. 保護メガネを着用し、試験管を数本用意する。
  2. それぞれの試験管に調べたい金属イオンを含む水溶液を少量入れる。
  3. 水酸化ナトリウム水溶液を少しずつ加え、沈殿の有無と色を観察する。
  4. 沈殿が生じた場合は、さらに水酸化ナトリウム水溶液を過剰に加え、沈殿が溶けるか確認する。
  5. 別の試験管でアンモニア水を少しずつ加え、沈殿の有無と色を観察する。
  6. アンモニア水を過剰に加えたとき、沈殿が溶けるか、錯イオンによる色の変化があるか確認する。
  7. Ag⁺やSO₄²⁻などは、対応する試薬を加えて白色沈殿が生じるか確認する。
  8. 観察結果を表にまとめ、含まれていたイオンを推定する。

観察結果

試料 結果
Ag⁺ + Cl⁻ 白色沈殿 AgCl
Ba²⁺ + SO₄²⁻ 白色沈殿 BaSO₄
Cu²⁺ + OH⁻ 青色沈殿 Cu(OH)₂
Fe²⁺ + OH⁻ 緑白色沈殿 Fe(OH)₂。空気中で褐色に変化しやすい
Fe³⁺ + OH⁻ 赤褐色沈殿 Fe(OH)₃
Al³⁺ + OH⁻ 白色沈殿 Al(OH)₃。過剰NaOHで溶ける
Zn²⁺ + OH⁻ 白色沈殿 Zn(OH)₂。過剰NaOHで溶ける

安全上の注意

  • 保護メガネを必ず着用する。
  • アンモニア水は刺激臭があるため、直接においをかがない。
  • 硝酸銀水溶液は皮膚や衣服につくと変色の原因になるため注意する。
  • 水酸化ナトリウム水溶液は強塩基性のため、皮膚や目に触れないようにする。
  • 試験管の口を人に向けない。

廃液・廃棄

  • 銀イオン、銅イオン、鉄イオンなどの金属イオンを含む廃液は、指示された廃液容器に入れる。
  • 沈殿を流しに捨てない。
  • 実験後の試験管は、先生や実験指導者の指示に従って洗浄する。

早覚え表

印刷・PDF保存・CSVダウンロードに対応しています。

代表的な沈殿反応

検出したいもの 加える試薬 生じる沈殿 ポイント
Cl⁻ AgNO₃ AgCl 白色 光で黒ずみやすい
Br⁻ AgNO₃ AgBr 淡黄色 AgClより色が濃い
I⁻ AgNO₃ AgI 黄色 ハロゲン化銀の中で色が濃い
SO₄²⁻ BaCl₂ BaSO₄ 白色 硫酸イオンの検出
CO₃²⁻ Ca²⁺またはBa²⁺ CaCO₃またはBaCO₃ 白色 酸を加えるとCO₂発生
Cu²⁺ NaOH Cu(OH)₂ 青色 アンモニア水過剰で深青色溶液
Fe²⁺ NaOH Fe(OH)₂ 緑白色 空気中で酸化されやすい
Fe³⁺ NaOH Fe(OH)₃ 赤褐色 鉄(III)イオンの確認
Al³⁺ NaOH Al(OH)₃ 白色 過剰NaOHで溶解
Zn²⁺ NaOH Zn(OH)₂ 白色 過剰NaOH・過剰NH₃で溶解

過剰試薬を加えたときの変化

沈殿 過剰NaOH 過剰NH₃ 覚えるポイント
Al(OH)₃ 溶ける 溶けにくい 両性水酸化物
Zn(OH)₂ 溶ける 溶ける Zn²⁺は両方で溶ける
Pb(OH)₂ 溶ける 溶けにくい 両性水酸化物
Cu(OH)₂ 溶けにくい 深青色溶液 [Cu(NH₃)₄]²⁺
Ag₂O / AgCl 溶けにくい 溶ける [Ag(NH₃)₂]⁺

覚え方・暗記ポイント

AgClは白色、AgBrは淡黄色、AgIは黄色。
BaSO₄は白色沈殿で、SO₄²⁻の検出に使う。
Cu(OH)₂は青色、Fe(OH)₃は赤褐色。
Al(OH)₃・Zn(OH)₂・Pb(OH)₂は両性水酸化物。
Cu²⁺はアンモニア水過剰で深青色溶液になる。
目次

1 沈殿反応とは何か

沈殿反応とは、水溶液中でイオン同士が反応し、水に溶けにくい固体が生じる反応です。
沈殿の色や、どの試薬で沈殿が生じるかを観察すると、溶液中のイオンを推定できます。
無機化学では、沈殿の色、過剰試薬による溶解、錯イオン形成をセットで覚えることが重要です。
塩化銀の生成
Ag⁺ + Cl⁻ → AgCl↓
AgClは白色沈殿です。Cl⁻の検出でよく使われます。
硫酸バリウムの生成
Ba²⁺ + SO₄²⁻ → BaSO₄↓
BaSO₄は白色沈殿です。SO₄²⁻の検出で重要です。
水酸化銅(II)の生成
Cu²⁺ + 2OH⁻ → Cu(OH)₂↓
Cu(OH)₂は青色沈殿です。
確認ポイント
  • 沈殿反応の意味を説明できる
  • 沈殿の色をイオンの検出に使える
  • 代表的な沈殿反応式を書ける
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2 イオン検出で見るべきポイント

イオン検出では、沈殿が生じるかどうかだけでなく、沈殿の色、過剰な試薬を加えたときの変化も観察します。
たとえば、Al(OH)₃やZn(OH)₂は白色沈殿ですが、過剰のNaOH水溶液で溶けるため、他の白色沈殿と区別できます。
Cu²⁺はNaOH水溶液で青色沈殿を生じ、アンモニア水を過剰に加えると深青色溶液になる点が重要です。
判定の流れ
観察 考えられるイオン 次に確認すること
白色沈殿が生じる Ag⁺, Ba²⁺, Al³⁺, Zn²⁺など 加えた試薬と過剰試薬での変化を見る
青色沈殿が生じる Cu²⁺ アンモニア水過剰で深青色になるか確認
緑白色沈殿が生じる Fe²⁺ 空気中で褐色に変化するか確認
赤褐色沈殿が生じる Fe³⁺ 鉄(III)イオンの可能性が高い
確認ポイント
  • 沈殿の色からイオンを推定できる
  • 過剰NaOHと過剰NH₃の違いを説明できる
  • 錯イオン形成による色変化を説明できる
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