無機化学 / aluminum

アルミニウムとその化合物

アルミニウム Al の性質、酸化被膜、両性、Al(OH)₃の沈殿、アルミン酸イオン、テルミット反応、代表的な化合物をまとめた教材です。
難易度:標準 目安:40分
# 無機化学 # アルミニウム # 両性元素 # 酸化被膜 # テルミット反応

この教材で学ぶこと

到達目標

  • アルミニウムの基本的な性質を説明できる
  • アルミニウムが両性元素であることを説明できる
  • Al(OH)₃の沈殿と過剰NaOHへの溶解を説明できる
  • アルミニウムの酸化被膜の役割を説明できる
  • テルミット反応とアルミニウムの還元力を関連づけられる

前提知識

  • 金属元素の基本
  • 両性元素
  • 沈殿反応
  • 酸・塩基
  • 酸化還元の基礎
目次

1 アルミニウムとは

アルミニウム Al は、周期表の13族に属する金属元素です。
軽く、加工しやすく、電気や熱をよく通すため、日用品、建材、電線、航空機材料などに広く利用されています。
アルミニウムは反応性の大きい金属ですが、表面に酸化アルミニウム Al₂O₃ の薄い膜をつくるため、内部が保護されます。
この表面の膜を酸化被膜といいます。
高校化学では、両性元素、酸化被膜、Al(OH)₃の沈殿、アルミン酸イオン、テルミット反応がよく出題されます。
アルミニウムの基本情報
項目 内容
元素記号 Al
分類 13族元素・金属元素
主なイオン Al³⁺
特徴 軽い、加工しやすい、電気や熱を通しやすい
重要な性質 両性元素、酸化被膜をつくる
確認ポイント
  • アルミニウムの元素記号がAlであることを答えられる
  • アルミニウムが13族元素であることを説明できる
  • アルミニウムが酸化被膜をつくることを理解している
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2 酸化被膜

アルミニウムは空気中で表面が酸化され、酸化アルミニウム Al₂O₃ の薄い膜をつくります。
この膜を酸化被膜といい、内部のアルミニウムを空気や水から守ります。
アルミニウムはイオン化傾向が大きい金属ですが、酸化被膜があるため、見かけ上は腐食しにくくなります。
鉄のさびは内部まで腐食を進めやすいのに対し、アルミニウムの酸化被膜は内部を保護します。
この違いはテストでよく問われます。
アルミニウム表面の酸化
4Al + 3O₂ → 2Al₂O₃
表面に酸化アルミニウムの膜ができ、内部が保護されます。
鉄のさびとアルミニウムの酸化被膜
金属 表面にできるもの 内部の保護
鉄 Fe さび 内部を十分には保護しない
アルミニウム Al 酸化被膜 Al₂O₃ 内部を保護する
注意:アルミニウムが反応性の大きい金属なのに腐食しにくい理由は、酸化被膜が内部を保護するためです。
注意:酸化被膜は、アルミニウムの性質を説明するうえで非常に重要です。
確認ポイント
  • 酸化被膜がAl₂O₃であることを答えられる
  • アルミニウムが腐食しにくい理由を説明できる
  • 鉄のさびとアルミニウムの酸化被膜の違いを説明できる
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3 アルミニウムは両性元素

アルミニウムは、酸とも強塩基とも反応する両性元素です。
酸と反応すると、アルミニウムイオン Al³⁺ を含む塩と水素が生じます。
強塩基の水溶液と反応すると、アルミン酸イオンを含む水溶液になり、水素を発生します。
両性元素として重要なものには、Al、Zn、Sn、Pb などがあります。
アルミニウムは両性元素の代表例として非常によく出題されます。
アルミニウムと塩酸の反応
2Al + 6HCl → 2AlCl₃ + 3H₂
酸と反応して水素が発生します。
アルミニウムと水酸化ナトリウム水溶液の反応
2Al + 2NaOH + 6H₂O → 2Na[Al(OH)₄] + 3H₂
強塩基と反応して、テトラヒドロキシドアルミン酸ナトリウムと水素を生じます。
アルミニウムの両性
相手 反応 ポイント
反応する 水素を発生する
強塩基 反応する アルミン酸イオンをつくる
通常は反応しにくい 酸化被膜により保護される
確認ポイント
  • アルミニウムが両性元素であることを説明できる
  • アルミニウムが酸とも強塩基とも反応することを説明できる
  • アルミン酸イオンが強塩基との反応で関係することを理解している
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4 水酸化アルミニウムの沈殿

アルミニウムイオン Al³⁺ に水酸化物イオン OH⁻ を加えると、水酸化アルミニウム Al(OH)₃ の白色沈殿が生じます。
Al(OH)₃ は両性水酸化物です。
少量の水酸化ナトリウム水溶液を加えると白色沈殿が生じますが、過剰に加えると沈殿は溶けます。
これはAl(OH)₃が強塩基と反応して、アルミン酸イオンをつくるためです。
一方、アンモニア水は弱塩基なので、Al(OH)₃は過剰のアンモニア水には溶けにくいです。
Al³⁺とOH⁻の沈殿反応
Al³⁺ + 3OH⁻ → Al(OH)₃
白色沈殿の水酸化アルミニウムが生じます。
Al(OH)₃が過剰NaOHに溶ける反応
Al(OH)₃ + OH⁻ → [Al(OH)₄]⁻
テトラヒドロキシドアルミン酸イオンができ、沈殿が溶けます。
Al³⁺と塩基の反応
加える試薬 少量 過剰
NaOH水溶液 白色沈殿 Al(OH)₃ 溶ける
NH₃水 白色沈殿 Al(OH)₃ 溶けにくい
注意:Al(OH)₃は白色沈殿です。
注意:過剰NaOHには溶けますが、過剰NH₃水には溶けにくい、という違いが頻出です。
注意:亜鉛のZn(OH)₂も白色沈殿で、過剰NaOHに溶けるため、Al(OH)₃とセットで覚えるとよいです。
確認ポイント
  • Al(OH)₃の色を答えられる
  • Al(OH)₃が過剰NaOHに溶けることを説明できる
  • Al(OH)₃が過剰NH₃水には溶けにくいことを説明できる
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5 酸化アルミニウムとアルミナ

酸化アルミニウム Al₂O₃ は、アルミナとも呼ばれます。
アルミナは非常に安定な酸化物で、融点が高く、硬い物質です。
天然にはボーキサイトという鉱石にアルミニウム化合物が含まれています。
アルミニウムの製錬では、酸化アルミニウムを原料として、溶融塩電解によってアルミニウムを得ます。
酸化アルミニウムも両性酸化物として、酸とも強塩基とも反応します。
酸化アルミニウムのポイント
項目 内容
化学式 Al₂O₃
別名 アルミナ
性質 硬い、融点が高い、安定
分類 両性酸化物
製錬 溶融塩電解に関係する
注意:アルミニウムは反応性が大きいため、炭素による還元ではなく、電気分解によって製錬されます。
注意:Al₂O₃は酸化被膜の主成分でもあります。
確認ポイント
  • Al₂O₃がアルミナと呼ばれることを答えられる
  • Al₂O₃が両性酸化物であることを説明できる
  • アルミニウムの製錬が電気分解に関係することを理解している
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6 テルミット反応

アルミニウムは酸素と結びつきやすく、強い還元剤としてはたらくことがあります。
酸化鉄(III) Fe₂O₃ とアルミニウム粉末を混ぜて反応させると、アルミニウムが酸素を奪い、鉄が生成します。
この反応をテルミット反応といいます。
テルミット反応では大量の熱が発生するため、鉄道レールの溶接などに利用されます。
酸化還元の見方では、Alは酸化され、Fe₂O₃中のFeは還元されます。
テルミット反応
Fe₂O₃ + 2Al → Al₂O₃ + 2Fe
Alが酸化され、Fe₂O₃が還元されます。大量の熱を発生します。
テルミット反応での酸化還元
物質 変化 酸化・還元
Al Al₂O₃になる 酸化される
Fe₂O₃ Feになる 還元される
例題:テルミット反応で還元される物質は何か。
答え:酸化鉄(III) Fe₂O₃
Fe₂O₃中の鉄がFeになるため、酸化鉄(III)が還元されています。
例題:テルミット反応で酸化される物質は何か。
答え:アルミニウム Al
AlはAl₂O₃になり、酸素と結びついているため酸化されています。
確認ポイント
  • テルミット反応の反応式を書ける
  • テルミット反応でAlが酸化されることを説明できる
  • テルミット反応でFe₂O₃が還元されることを説明できる
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7 代表的なアルミニウム化合物

アルミニウム化合物では、水酸化アルミニウム Al(OH)₃、酸化アルミニウム Al₂O₃、塩化アルミニウム AlCl₃、ミョウバンなどが重要です。
Al(OH)₃は白色沈殿で、過剰NaOHに溶ける両性水酸化物です。
Al₂O₃はアルミナとも呼ばれ、酸化被膜や製錬で重要です。
塩化アルミニウム AlCl₃ は、有機化学では触媒として登場することがあります。
ミョウバンは、アルミニウムを含む複塩として知られています。
代表的なアルミニウム化合物
化学式 名称 特徴
Al(OH)₃ 水酸化アルミニウム 白色沈殿。両性水酸化物
Al₂O₃ 酸化アルミニウム アルミナ。両性酸化物
AlCl₃ 塩化アルミニウム 有機反応の触媒としても登場
KAl(SO₄)₂・12H₂O ミョウバン アルミニウムを含む複塩
確認ポイント
  • Al(OH)₃とAl₂O₃の名称を答えられる
  • AlCl₃が塩化アルミニウムであることを答えられる
  • ミョウバンがアルミニウムを含む化合物であることを理解している
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8 テストでの出題パターン

アルミニウムは、両性元素、酸化被膜、沈殿反応、テルミット反応として出題されやすいです。
特に、Al(OH)₃の白色沈殿、過剰NaOHへの溶解、過剰NH₃水には溶けにくいことは頻出です。
また、酸化被膜が内部を保護するため、アルミニウムが腐食しにくいという説明もよく問われます。
テルミット反応では、Alが酸化され、Fe₂O₃が還元されることを押さえましょう。
例題:Al³⁺に少量のNaOH水溶液を加えると何色の沈殿が生じるか。
答え:白色沈殿
Al³⁺はOH⁻と反応して、白色沈殿のAl(OH)₃を生じます。
例題:Al(OH)₃にNaOH水溶液を過剰に加えるとどうなるか。
答え:溶ける
Al(OH)₃は両性水酸化物なので、強塩基であるNaOH水溶液に溶けてアルミン酸イオンをつくります。
例題:アルミニウムが腐食しにくい理由を答えよ。
答え:表面に酸化被膜Al₂O₃ができ、内部を保護するため。
アルミニウム表面の酸化アルミニウムの膜が、内部の金属を空気や水から守ります。
例題:Fe₂O₃ + 2Al → Al₂O₃ + 2Fe の反応名は何か。
答え:テルミット反応
アルミニウムが酸化鉄(III)を還元して鉄を生じる反応で、大量の熱を発生します。
確認ポイント
  • Al(OH)₃の沈殿と溶解を説明できる
  • 酸化被膜の役割を説明できる
  • アルミニウムが両性元素であることを説明できる
  • テルミット反応の酸化還元を判断できる
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