無機化学 / iron

鉄とその化合物

鉄 Fe の性質、Fe²⁺とFe³⁺の違い、水酸化物の沈殿、錯イオン、酸化還元反応をまとめた教材です。
難易度:標準 目安:40分
# 無機化学 # 鉄 # Fe2+ # Fe3+ # 沈殿反応

この教材で学ぶこと

到達目標

  • 鉄の基本的な性質を説明できる
  • Fe²⁺とFe³⁺の違いを説明できる
  • 鉄イオンの沈殿の色を答えられる
  • Fe²⁺が酸化されてFe³⁺になることを説明できる
  • 鉄イオンと錯イオン・チオシアン酸イオンの反応を関連づけられる

前提知識

  • 金属元素の基本
  • 酸化還元の基礎
  • 沈殿反応
  • 錯イオンの基礎
目次

1 鉄とは

鉄 Fe は、周期表の第4周期にある遷移元素です。
身近な金属であり、建築材料、機械、工具、鉄鋼などに広く利用されています。
鉄は単体としても重要ですが、無機化学では鉄イオン Fe²⁺ と Fe³⁺ の性質が特に重要です。
鉄は酸化されやすく、空気中の酸素や水分によってさびを生じます。
高校化学では、鉄イオンの色、沈殿、酸化還元、錯イオンの反応がよく出題されます。
鉄の基本情報
項目 内容
元素記号 Fe
分類 遷移元素
主なイオン Fe²⁺、Fe³⁺
単体の特徴 銀白色の金属。さびやすい
代表的な用途 鉄鋼、建築材料、機械、工具
確認ポイント
  • 鉄の元素記号がFeであることを答えられる
  • 鉄が遷移元素であることを説明できる
  • 鉄ではFe²⁺とFe³⁺が重要であることを理解している
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2 Fe²⁺とFe³⁺

鉄イオンには、主に2価のFe²⁺と3価のFe³⁺があります。
Fe²⁺は鉄(II)イオン、Fe³⁺は鉄(III)イオンと呼ばれます。
Fe²⁺は比較的酸化されやすく、酸化されるとFe³⁺になります。
Fe²⁺とFe³⁺は、沈殿の色や試薬との反応が異なるため、区別して覚える必要があります。
無機化学では、価数の違いが色や反応性の違いにつながることを意識しましょう。
Fe²⁺の酸化
Fe²⁺ → Fe³⁺ + e⁻
Fe²⁺は電子を失ってFe³⁺になります。つまりFe²⁺は酸化されます。
Fe²⁺とFe³⁺の比較
イオン 名称 特徴 酸化還元
Fe²⁺ 鉄(II)イオン 淡緑色を示すことがある 酸化されてFe³⁺になりやすい
Fe³⁺ 鉄(III)イオン 黄褐色を示すことがある Fe²⁺より酸化された状態
確認ポイント
  • Fe²⁺とFe³⁺の名称を答えられる
  • Fe²⁺が酸化されるとFe³⁺になることを説明できる
  • 価数の違いが反応性の違いにつながることを理解している
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3 水酸化物の沈殿

鉄イオンは、水酸化物イオン OH⁻ と反応して水酸化物の沈殿をつくります。
Fe²⁺からは水酸化鉄(II) Fe(OH)₂ が生じます。
Fe³⁺からは水酸化鉄(III) Fe(OH)₃ が生じます。
Fe(OH)₂ は緑白色の沈殿、Fe(OH)₃ は赤褐色の沈殿として覚えます。
この色の違いは、鉄イオンの検出問題でよく使われます。
鉄(II)イオンの沈殿
Fe²⁺ + 2OH⁻ → Fe(OH)₂
Fe(OH)₂は緑白色沈殿です。空気中で酸化されて色が変化することがあります。
鉄(III)イオンの沈殿
Fe³⁺ + 3OH⁻ → Fe(OH)₃
Fe(OH)₃は赤褐色沈殿です。Fe³⁺の検出で重要です。
鉄イオンの水酸化物沈殿
イオン 加える試薬 沈殿
Fe²⁺ OH⁻ Fe(OH)₂ 緑白色
Fe³⁺ OH⁻ Fe(OH)₃ 赤褐色
注意:Fe(OH)₂の緑白色とFe(OH)₃の赤褐色は頻出です。
注意:Fe³⁺の赤褐色沈殿は、他の金属イオンの沈殿色と区別できるようにしましょう。
確認ポイント
  • Fe(OH)₂の色を答えられる
  • Fe(OH)₃の色を答えられる
  • Fe²⁺とFe³⁺の沈殿反応式を書ける
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4 鉄イオンの検出反応

鉄イオンは、沈殿の色や特定の試薬との反応によって検出できます。
Fe³⁺はチオシアン酸イオン SCN⁻ と反応して、血赤色の錯イオンをつくります。
この反応はFe³⁺の検出反応として非常に重要です。
また、Fe²⁺とFe³⁺は水酸化物の沈殿色でも区別できます。
試薬、生成物、色をセットで覚えることが大切です。
Fe³⁺とチオシアン酸イオン
Fe³⁺ + SCN⁻ → [FeSCN]²⁺
血赤色の錯イオンを生じます。Fe³⁺の検出反応として重要です。
鉄イオンの代表的な検出
対象 試薬 結果
Fe²⁺ OH⁻ Fe(OH)₂が沈殿 緑白色
Fe³⁺ OH⁻ Fe(OH)₃が沈殿 赤褐色
Fe³⁺ SCN⁻ [FeSCN]²⁺を生成 血赤色
例題:Fe³⁺の検出に用いられ、血赤色を示す試薬は何か。
答え:チオシアン酸イオン SCN⁻
Fe³⁺はSCN⁻と反応して血赤色の錯イオン [FeSCN]²⁺ を生じます。
確認ポイント
  • Fe³⁺とSCN⁻の反応で血赤色になることを説明できる
  • Fe²⁺とFe³⁺を沈殿色で区別できる
  • 鉄イオンの検出反応を表で整理できる
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5 酸化還元との関係

鉄は酸化還元反応と深く関係する元素です。
Fe²⁺は電子を失ってFe³⁺になりやすいため、還元剤としてはたらくことがあります。
一方、Fe³⁺は電子を受け取ってFe²⁺になることがあります。
鉄イオンの価数変化を追うことで、酸化された物質・還元された物質を判断できます。
酸化還元の問題では、Fe²⁺とFe³⁺のどちらが電子を失ったか、どちらが電子を受け取ったかを確認しましょう。
Fe²⁺が酸化される半反応式
Fe²⁺ → Fe³⁺ + e⁻
電子を失っているので酸化です。
Fe³⁺が還元される半反応式
Fe³⁺ + e⁻ → Fe²⁺
電子を受け取っているので還元です。
Fe²⁺とFe³⁺の酸化還元
変化 電子の動き 酸化・還元
Fe²⁺ → Fe³⁺ 電子を失う 酸化
Fe³⁺ → Fe²⁺ 電子を受け取る 還元
例題:Fe²⁺ → Fe³⁺ の変化は酸化か還元か。
答え:酸化
Fe²⁺は電子を1個失ってFe³⁺になっています。電子を失う変化は酸化です。
例題:Fe³⁺ + e⁻ → Fe²⁺ の変化は酸化か還元か。
答え:還元
Fe³⁺が電子を受け取ってFe²⁺になっているため、還元です。
確認ポイント
  • Fe²⁺からFe³⁺への変化を酸化と判断できる
  • Fe³⁺からFe²⁺への変化を還元と判断できる
  • 電子の授受から酸化還元を判断できる
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6 鉄のさび

鉄は空気中の酸素や水分によって酸化され、さびを生じます。
鉄のさびは、主に水和した酸化鉄(III)を含む複雑な物質です。
さびは鉄の表面をもろくし、内部まで腐食が進みやすくします。
アルミニウムの酸化被膜とは異なり、鉄のさびは内部を十分に保護しません。
鉄のさびを防ぐ方法には、塗装、めっき、油を塗る、ステンレス鋼にするなどがあります。
鉄のさびと防止法
方法 目的
塗装 空気や水との接触を防ぐ
油を塗る 水分との接触を防ぐ
めっき 表面を別の金属で覆る
ステンレス鋼 クロムなどを加えてさびにくくする
注意:鉄のさびは、酸素と水分があると進みやすくなります。
注意:アルミニウムの酸化被膜は内部を保護しますが、鉄のさびは内部を十分に保護しない点が重要です。
確認ポイント
  • 鉄がさびる原因を説明できる
  • 鉄のさびを防ぐ方法を答えられる
  • 鉄のさびとアルミニウムの酸化被膜の違いを説明できる
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7 テストでの出題パターン

鉄とその化合物は、沈殿の色、Fe²⁺とFe³⁺の違い、酸化還元、検出反応として出題されやすいです。
特に、Fe(OH)₂の緑白色、Fe(OH)₃の赤褐色、Fe³⁺とSCN⁻の血赤色は頻出です。
また、Fe²⁺が酸化されてFe³⁺になる変化は、酸化還元の基本問題としてよく使われます。
色を答える問題では、銅イオンやアルミニウムイオンの沈殿と混同しないように注意しましょう。
例題:Fe³⁺に水酸化物イオンを加えたときに生じる沈殿の色は何か。
答え:赤褐色
Fe³⁺はOH⁻と反応してFe(OH)₃を生じます。Fe(OH)₃は赤褐色沈殿です。
例題:Fe²⁺に水酸化物イオンを加えたときに生じる沈殿は何か。
答え:Fe(OH)₂、緑白色沈殿
Fe²⁺ + 2OH⁻ → Fe(OH)₂ の反応で、緑白色沈殿が生じます。
例題:Fe³⁺とSCN⁻が反応したときの色は何か。
答え:血赤色
Fe³⁺はチオシアン酸イオンSCN⁻と反応し、血赤色の錯イオンを生じます。
例題:Fe²⁺ → Fe³⁺ + e⁻ は酸化か還元か。
答え:酸化
Fe²⁺が電子を失ってFe³⁺になっているため、酸化です。
確認ポイント
  • Fe(OH)₂とFe(OH)₃の色を区別できる
  • Fe³⁺の検出反応を説明できる
  • Fe²⁺とFe³⁺の酸化還元を判断できる
  • 鉄のさびと防止法を説明できる
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