この教材で学ぶこと
到達目標
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酸化と還元を電子の授受で説明できる
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酸化数の増減から酸化・還元を判断できる
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酸化剤と還元剤を区別できる
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代表的な無機化学の酸化還元反応を整理できる
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ハロゲン・硫黄・窒素化合物の反応と関連づけられる
前提知識
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イオンの基本
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電子の授受
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化学反応式の基礎
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ハロゲン・硫黄・窒素化合物の基本
1
酸化と還元とは
酸化とは、物質が電子を失う変化です。
還元とは、物質が電子を受け取る変化です。
昔は酸素と結びつくことを酸化、酸素を失うことを還元と考えることもありましたが、現在は電子の授受で考えるのが基本です。
酸化と還元は必ず同時に起こります。ある物質が電子を失えば、別の物質がその電子を受け取る必要があるからです。
確認ポイント
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酸化を電子を失う変化として説明できる
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還元を電子を受け取る変化として説明できる
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酸化と還元が同時に起こることを理解できる
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2
酸化数
酸化数は、反応の中で原子がどの程度電子を失ったか、または受け取ったかを考えるための数値です。
酸化数が増加した原子は酸化されています。
酸化数が減少した原子は還元されています。
酸化還元反応を判断するときは、反応前後で酸化数が変化した元素に注目します。
酸化数の基本ルール
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対象
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酸化数
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単体中の原子
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0
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単原子イオン
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イオンの価数と同じ
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化合物中のH
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ふつう +1
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化合物中のO
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ふつう -2
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化合物全体
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全体の電荷に等しい
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例題:H₂O中の酸素Oの酸化数は何か。
答え:-2
化合物中の酸素は通常-2です。Hは+1なので、H₂O全体で0になります。
例題:単体Cl₂中のClの酸化数は何か。
答え:0
単体中の原子の酸化数は0です。
確認ポイント
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単体の酸化数が0であることを覚える
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酸化数の増減から酸化・還元を判断できる
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3
酸化剤と還元剤
酸化剤とは、相手を酸化する物質です。
酸化剤は相手から電子を受け取るため、自分自身は還元されます。
還元剤とは、相手を還元する物質です。
還元剤は相手に電子を与えるため、自分自身は酸化されます。
言葉が混乱しやすいので、「酸化剤は自分が還元される」「還元剤は自分が酸化される」とセットで覚えましょう。
酸化剤と還元剤
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名称
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相手にすること
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自分自身の変化
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電子の動き
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酸化剤
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相手を酸化する
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自分は還元される
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電子を受け取る
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還元剤
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相手を還元する
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自分は酸化される
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電子を与える
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注意:酸化剤・還元剤の名前は、相手に何をするかで決まります。
注意:自分自身の変化は名前と逆になる点に注意しましょう。
確認ポイント
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酸化剤が電子を受け取ることを説明できる
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還元剤が電子を与えることを説明できる
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酸化剤自身は還元され、還元剤自身は酸化されることを理解できる
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4
代表的な酸化剤
高校化学では、代表的な酸化剤をいくつか覚える必要があります。
ハロゲン単体、過マンガン酸カリウム、二クロム酸カリウム、硝酸、熱濃硫酸、過酸化水素などが重要です。
酸化剤は、相手から電子を奪う物質として働きます。
代表的な酸化剤
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酸化剤
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特徴
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よく出る反応
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Cl₂
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酸化力が強いハロゲン
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I⁻をI₂に酸化
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KMnO₄
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強い酸化剤
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酸性条件でMn²⁺になる
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K₂Cr₂O₇
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酸化剤
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Cr³⁺になる
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HNO₃
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強酸で酸化作用ももつ
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Cuと反応してNO₂やNOを発生
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熱濃H₂SO₄
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酸化作用をもつ
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Cuと反応してSO₂を発生
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H₂O₂
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酸化剤にも還元剤にもなる
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相手によって変わる
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確認ポイント
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代表的な酸化剤を答えられる
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硝酸や熱濃硫酸が酸化剤として働くことを説明できる
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5
代表的な還元剤
還元剤は、相手に電子を与えて相手を還元する物質です。
金属単体、ヨウ化物イオン、硫化水素、二酸化硫黄などが還元剤としてよく登場します。
ただし、SO₂やH₂O₂のように、条件によって酸化剤にも還元剤にもなる物質があります。
代表的な還元剤
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還元剤
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特徴
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よく出る反応
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金属単体
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電子を失って陽イオンになりやすい
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Zn + 2HCl → ZnCl₂ + H₂
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I⁻
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酸化されてI₂になりやすい
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Cl₂ + 2I⁻ → 2Cl⁻ + I₂
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H₂S
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還元性をもつ
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酸化されてSになることがある
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SO₂
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還元剤として働くことが多い
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酸化されてSO₄²⁻になる
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H₂O₂
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相手によって変わる
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酸化剤にも還元剤にもなる
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確認ポイント
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代表的な還元剤を答えられる
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I⁻がI₂に酸化される反応を理解できる
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SO₂やH₂O₂が条件により働き方を変えることを理解できる
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6
無機化学でよく出る酸化還元反応
無機化学では、酸化還元反応が多く登場します。
ハロゲンの置換反応、硝酸と金属の反応、熱濃硫酸と金属の反応、硫黄化合物の反応などが代表例です。
反応式を丸暗記するだけでなく、どの元素の酸化数が変化しているかを確認すると理解しやすくなります。
ハロゲンの置換反応
Cl₂ + 2I⁻ → 2Cl⁻ + I₂
Cl₂がI⁻を酸化し、I₂を生じます。
銅と濃硝酸
Cu + 4HNO₃ → Cu(NO₃)₂ + 2NO₂ + 2H₂O
硝酸が酸化剤として働き、赤褐色のNO₂が発生します。
銅と熱濃硫酸
Cu + 2H₂SO₄ → CuSO₄ + SO₂ + 2H₂O
熱濃硫酸が酸化剤として働き、SO₂が発生します。
NOの酸化
2NO + O₂ → 2NO₂
無色のNOが酸化され、赤褐色のNO₂になります。
確認ポイント
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ハロゲンの置換反応を酸化還元で説明できる
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硝酸や熱濃硫酸と金属の反応を酸化還元として理解できる
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7
酸化還元の例題
酸化還元の問題では、酸化された物質、還元された物質、酸化剤、還元剤を区別することが重要です。
反応前後で酸化数が増えた元素と減った元素を確認しましょう。
例題:Cl₂ + 2I⁻ → 2Cl⁻ + I₂ において、酸化されているのはどれか。
答え:I⁻
I⁻は電子を失ってI₂になります。酸化数は-1から0へ増加するため、酸化されています。
例題:Cl₂ + 2I⁻ → 2Cl⁻ + I₂ において、酸化剤はどれか。
答え:Cl₂
Cl₂はI⁻を酸化し、自分自身はCl⁻へ還元されるため酸化剤です。
例題:銅と濃硝酸の反応で、硝酸はどのような働きをするか。
答え:酸化剤として働く。
硝酸は銅をCu²⁺に酸化し、自身はNO₂へ還元されます。
確認ポイント
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酸化数の変化から酸化・還元を判断できる
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酸化剤と還元剤を区別できる
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無機化学の反応を酸化還元として説明できる
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