無機化学 / silver

銀とその化合物

銀 Ag の性質、銀イオン Ag⁺、ハロゲン化銀の沈殿、アンモニア水への溶解、感光性、代表的な銀化合物をまとめた教材です。
難易度:標準 目安:40分
# 無機化学 # 銀 # ハロゲン化銀 # 沈殿反応 # 感光性

この教材で学ぶこと

到達目標

  • 銀の基本的な性質を説明できる
  • Ag⁺とハロゲン化物イオンの沈殿反応を説明できる
  • AgCl、AgBr、AgIの色を区別できる
  • AgClがアンモニア水に溶ける理由を説明できる
  • ハロゲン化銀の感光性を説明できる

前提知識

  • 沈殿反応
  • ハロゲン
  • ハロゲン化物イオン
  • 錯イオン
  • 金属イオンの検出
目次

1 銀とは

銀 Ag は、周期表の第5周期にある遷移元素です。
銀白色の金属光沢をもち、電気や熱を非常によく通します。
銀はイオン化傾向が小さい金属で、比較的単体として存在しやすい金属です。
無機化学では、銀単体よりも銀イオン Ag⁺ とハロゲン化物イオンの沈殿反応が特に重要です。
また、ハロゲン化銀は光によって変化する感光性をもつため、写真との関係でも出題されます。
銀の基本情報
項目 内容
元素記号 Ag
分類 遷移元素・貴金属
主なイオン Ag⁺
単体の特徴 銀白色の金属光沢。電気をよく通す
重要反応 ハロゲン化物イオンとの沈殿反応
関連事項 ハロゲン化銀、感光性、写真
確認ポイント
  • 銀の元素記号がAgであることを答えられる
  • 銀イオンがAg⁺であることを説明できる
  • 銀ではハロゲン化銀の沈殿が重要であることを理解している
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2 銀イオン Ag⁺

銀イオン Ag⁺ は、無機化学の沈殿反応で非常によく登場します。
Ag⁺は塩化物イオン Cl⁻、臭化物イオン Br⁻、ヨウ化物イオン I⁻ と反応して沈殿をつくります。
これらの沈殿をハロゲン化銀といいます。
ハロゲン化銀は水に溶けにくく、色やアンモニア水への溶け方が異なります。
そのため、ハロゲン化物イオンの検出や金属イオンの確認に利用されます。
銀イオンと反応しやすいイオン
相手のイオン 生じる沈殿 特徴
Cl⁻ AgCl 白色沈殿
Br⁻ AgBr 淡黄色沈殿
I⁻ AgI 黄色沈殿
確認ポイント
  • Ag⁺がハロゲン化物イオンと沈殿をつくることを説明できる
  • AgCl、AgBr、AgIをハロゲン化銀としてまとめられる
  • ハロゲン化銀が水に溶けにくいことを理解している
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3 ハロゲン化銀の沈殿

銀イオン Ag⁺ にハロゲン化物イオンを加えると、ハロゲン化銀の沈殿が生じます。
塩化物イオン Cl⁻ では塩化銀 AgCl の白色沈殿が生じます。
臭化物イオン Br⁻ では臭化銀 AgBr の淡黄色沈殿が生じます。
ヨウ化物イオン I⁻ ではヨウ化銀 AgI の黄色沈殿が生じます。
この色の違いは、ハロゲン化物イオンの検出問題で非常によく出題されます。
塩化銀の沈殿
Ag⁺ + Cl⁻ → AgCl
AgClは白色沈殿です。
臭化銀の沈殿
Ag⁺ + Br⁻ → AgBr
AgBrは淡黄色沈殿です。
ヨウ化銀の沈殿
Ag⁺ + I⁻ → AgI
AgIは黄色沈殿です。
ハロゲン化銀の沈殿色
ハロゲン化物イオン 沈殿 名称
Cl⁻ AgCl 塩化銀 白色
Br⁻ AgBr 臭化銀 淡黄色
I⁻ AgI ヨウ化銀 黄色
注意:AgClは白色、AgBrは淡黄色、AgIは黄色として覚えましょう。
注意:AgBrとAgIはどちらも黄色系なので、淡黄色と黄色を区別できるようにしましょう。
確認ポイント
  • AgClの色を答えられる
  • AgBrの色を答えられる
  • AgIの色を答えられる
  • Ag⁺とCl⁻、Br⁻、I⁻の反応式を書ける
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4 アンモニア水への溶解

ハロゲン化銀は、アンモニア水への溶け方にも違いがあります。
塩化銀 AgCl はアンモニア水に溶けます。
これは、銀イオンがアンモニアと錯イオンをつくるためです。
臭化銀 AgBr は濃いアンモニア水には溶けることがありますが、AgClより溶けにくいです。
ヨウ化銀 AgI はアンモニア水にはほとんど溶けません。
塩化銀がアンモニア水に溶ける反応
AgCl + 2NH₃ → [Ag(NH₃)₂]⁺ + Cl⁻
ジアンミン銀(I)イオンができるため、AgClが溶けます。
ハロゲン化銀のアンモニア水への溶け方
沈殿 アンモニア水への溶解
AgCl 白色 溶ける
AgBr 淡黄色 濃いNH₃水には溶けることがある
AgI 黄色 溶けにくい
例題:AgClがアンモニア水に溶ける理由を簡単に説明せよ。
答え:銀イオンがアンモニアと錯イオンをつくるため。
AgClはアンモニアと反応して、ジアンミン銀(I)イオン [Ag(NH₃)₂]⁺ をつくるため溶けます。
注意:AgClがアンモニア水に溶けることは頻出です。
注意:AgIはアンモニア水に溶けにくい、と覚えておくと区別しやすいです。
確認ポイント
  • AgClがアンモニア水に溶けることを説明できる
  • [Ag(NH₃)₂]⁺をジアンミン銀(I)イオンとして理解している
  • AgCl、AgBr、AgIの溶け方の違いを説明できる
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5 ハロゲン化物イオンの検出

硝酸銀 AgNO₃ 水溶液は、ハロゲン化物イオンの検出に使われます。
試料水溶液に Ag⁺ を加えると、Cl⁻、Br⁻、I⁻ が存在する場合、それぞれ特徴的な沈殿を生じます。
AgClは白色、AgBrは淡黄色、AgIは黄色の沈殿です。
沈殿色やアンモニア水への溶け方を組み合わせることで、どのハロゲン化物イオンが含まれているかを判断できます。
ただし、沈殿反応では他のイオンの影響もあるため、実験では条件を整えることが大切です。
AgNO₃水溶液による検出
検出したいイオン 生じる沈殿 確認ポイント
Cl⁻ AgCl 白色 NH₃水に溶ける
Br⁻ AgBr 淡黄色 AgClよりNH₃水に溶けにくい
I⁻ AgI 黄色 NH₃水に溶けにくい
例題:塩化物イオンCl⁻の検出に使う代表的な金属イオンは何か。
答え:銀イオン Ag⁺
Ag⁺はCl⁻と反応して白色沈殿AgClを生じます。
例題:AgNO₃水溶液を加えて黄色沈殿が生じた。考えられるハロゲン化物イオンは何か。
答え:ヨウ化物イオン I⁻
Ag⁺ + I⁻ → AgI の反応で、黄色沈殿のAgIが生じます。
確認ポイント
  • AgNO₃水溶液がハロゲン化物イオンの検出に使われることを説明できる
  • 沈殿色からCl⁻、Br⁻、I⁻を判断できる
  • 沈殿色とアンモニア水への溶解性を組み合わせて考えられる
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6 ハロゲン化銀の感光性

ハロゲン化銀には、光を受けると分解して銀を生じる性質があります。
この性質を感光性といいます。
たとえば、塩化銀 AgCl は光によって分解し、銀 Ag を生じて黒っぽく変化します。
臭化銀 AgBr も感光性をもち、写真フィルムに関係する物質として重要です。
現在の写真技術ではデジタル化が進んでいますが、化学ではハロゲン化銀の感光性がよく出題されます。
塩化銀の光分解
2AgCl → 2Ag + Cl₂
光によりAgClが分解し、銀が生じます。
臭化銀の光分解
2AgBr → 2Ag + Br₂
AgBrも感光性をもち、写真と関係します。
ハロゲン化銀の感光性
物質 光による変化 ポイント
AgCl Agを生じる 白色沈殿が黒っぽくなる
AgBr Agを生じる 写真フィルムと関係
AgI 感光性をもつ 黄色沈殿としても重要
注意:ハロゲン化銀は光で分解して銀を生じます。
注意:この性質が写真と関係します。
確認ポイント
  • ハロゲン化銀が感光性をもつことを説明できる
  • AgClが光で分解してAgを生じることを説明できる
  • ハロゲン化銀と写真の関係を理解している
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7 代表的な銀化合物

銀化合物では、硝酸銀 AgNO₃、塩化銀 AgCl、臭化銀 AgBr、ヨウ化銀 AgI、酸化銀 Ag₂O などが重要です。
硝酸銀は水に溶けやすく、銀イオン Ag⁺ を供給する試薬としてよく使われます。
ハロゲン化銀は水に溶けにくい沈殿として重要です。
酸化銀 Ag₂O は黒色または褐色の固体として扱われることがあります。
銀化合物は沈殿色、溶解性、感光性をセットで覚えると整理しやすいです。
代表的な銀化合物
化学式 名称 特徴
AgNO₃ 硝酸銀 水に溶けやすい。Ag⁺の供給源
AgCl 塩化銀 白色沈殿。NH₃水に溶ける
AgBr 臭化銀 淡黄色沈殿。感光性をもつ
AgI ヨウ化銀 黄色沈殿。NH₃水に溶けにくい
Ag₂O 酸化銀 黒色または褐色の固体
確認ポイント
  • AgNO₃が硝酸銀であることを答えられる
  • AgCl、AgBr、AgIの名称と色を答えられる
  • 銀化合物の感光性を説明できる
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8 銀鏡反応との関係

銀は有機化学の銀鏡反応にも関係します。
銀鏡反応では、アンモニア性硝酸銀水溶液を使い、アルデヒドを検出します。
アルデヒドが酸化される一方で、銀イオンは還元されて銀 Ag になります。
その結果、試験管の内側に銀が析出し、鏡のように見えることがあります。
この内容は有機化学で詳しく扱いますが、銀イオンが還元されて銀単体になる反応として理解できます。
銀イオンの還元のイメージ
Ag⁺ + e⁻ → Ag
銀イオンが電子を受け取ると銀単体になります。
銀鏡反応のポイント
項目 内容
使う試薬 アンモニア性硝酸銀水溶液
検出するもの アルデヒド
起こる変化 Ag⁺がAgに還元される
観察 銀が析出し、鏡のように見える
注意:銀鏡反応は有機化学のアルデヒドの検出で重要です。
注意:無機化学としては、Ag⁺がAgに還元されるという酸化還元の見方で理解しておくとつながりやすいです。
確認ポイント
  • 銀鏡反応でAg⁺がAgに還元されることを説明できる
  • 銀鏡反応がアルデヒドの検出に使われることを知っている
  • 無機化学と有機化学のつながりを意識できる
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9 テストでの出題パターン

銀とその化合物は、ハロゲン化銀の沈殿色、アンモニア水への溶解、感光性、銀鏡反応との関係として出題されやすいです。
特に、AgClは白色、AgBrは淡黄色、AgIは黄色という沈殿色は頻出です。
また、AgClがアンモニア水に溶けること、AgIは溶けにくいこともよく問われます。
ハロゲン化銀が光で分解して銀を生じる感光性は、写真との関係で出題されます。
AgNO₃水溶液を使ったハロゲン化物イオンの検出も重要です。
例題:Ag⁺にCl⁻を加えると生じる沈殿と色を答えよ。
答え:AgCl、白色沈殿
Ag⁺ + Cl⁻ → AgCl の反応で、白色沈殿の塩化銀が生じます。
例題:Ag⁺にI⁻を加えると生じる沈殿と色を答えよ。
答え:AgI、黄色沈殿
Ag⁺ + I⁻ → AgI の反応で、黄色沈殿のヨウ化銀が生じます。
例題:AgClはアンモニア水に溶けるか。
答え:溶ける。
AgClはアンモニアと錯イオン [Ag(NH₃)₂]⁺ をつくるため、アンモニア水に溶けます。
例題:ハロゲン化銀が光で分解する性質を何というか。
答え:感光性
AgClやAgBrなどのハロゲン化銀は、光で分解して銀を生じる性質があります。
例題:ハロゲン化物イオンの検出に使われる代表的な水溶液は何か。
答え:硝酸銀 AgNO₃ 水溶液
Ag⁺がCl⁻、Br⁻、I⁻と反応して、それぞれ特徴的な沈殿を生じます。
確認ポイント
  • AgCl、AgBr、AgIの色を区別できる
  • AgClがアンモニア水に溶ける理由を説明できる
  • AgNO₃水溶液によるハロゲン化物イオンの検出を説明できる
  • ハロゲン化銀の感光性を説明できる
  • 銀鏡反応でAg⁺がAgに還元されることを理解している
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