無機化学 / sodium

ナトリウムとその化合物

ナトリウム Na の性質、水との反応、炎色反応、塩化ナトリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムをまとめた教材です。
難易度:標準 目安:40分
# 無機化学 # ナトリウム # アルカリ金属 # 炭酸ナトリウム # 炭酸水素ナトリウム

この教材で学ぶこと

到達目標

  • ナトリウムがアルカリ金属であることを説明できる
  • ナトリウムと水の反応式を書ける
  • ナトリウムの炎色反応を答えられる
  • NaCl、NaOH、Na₂CO₃、NaHCO₃を区別できる
  • 炭酸ナトリウムと炭酸水素ナトリウムの違いを説明できる

前提知識

  • アルカリ金属
  • 炎色反応
  • 酸・塩基
  • 炭酸塩と炭酸水素塩
  • 化学式の基礎
目次

1 ナトリウムとは

ナトリウム Na は、周期表の1族に属するアルカリ金属です。
価電子を1個もち、1価の陽イオン Na⁺ になりやすい性質があります。
単体のナトリウムは銀白色のやわらかい金属で、非常に反応性が大きいです。
空気中の酸素や水分と反応しやすいため、ナトリウムは石油中に保存されます。
高校化学では、ナトリウム単体の反応、炎色反応、ナトリウム化合物の性質がよく出題されます。
ナトリウムの基本情報
項目 内容
元素記号 Na
分類 アルカリ金属・1族元素
主なイオン Na⁺
単体の特徴 銀白色でやわらかい金属
保存方法 石油中に保存
炎色反応 黄色
確認ポイント
  • ナトリウムの元素記号がNaであることを答えられる
  • ナトリウムが1族のアルカリ金属であることを説明できる
  • ナトリウムを石油中に保存する理由を説明できる
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2 ナトリウムと水の反応

ナトリウムは水と激しく反応します。
水と反応すると、水酸化ナトリウム NaOH と水素 H₂ が生成します。
生成した水酸化ナトリウムは強塩基なので、水溶液は強い塩基性を示します。
反応中に発生する熱で水素が燃えることもあり、実験では非常に危険です。
アルカリ金属は下に行くほど反応性が大きくなり、カリウムはナトリウムよりさらに激しく水と反応します。
ナトリウムと水の反応
2Na + 2H₂O → 2NaOH + H₂
水酸化ナトリウムと水素が生成します。水溶液は塩基性になります。
ナトリウムと水の反応のポイント
項目 内容
反応する物質 NaとH₂O
生成物 NaOHとH₂
発生する気体 水素 H₂
水溶液の性質 強い塩基性
注意点 発熱をともなう危険な反応
例題:ナトリウムと水が反応したときに発生する気体は何か。
答え:水素 H₂
2Na + 2H₂O → 2NaOH + H₂ の反応で水素が発生します。
確認ポイント
  • ナトリウムと水の反応式を書ける
  • 発生する気体が水素であることを答えられる
  • 反応後の水溶液が塩基性になる理由を説明できる
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3 炎色反応

ナトリウムは炎色反応で強い黄色を示します。
ナトリウムの黄色は非常に強く、少量でもはっきり見えることがあります。
そのため、他の元素の炎色反応を観察するときに、ナトリウムの黄色が混ざると見分けにくくなることがあります。
炎色反応では、リチウムの赤色、ナトリウムの黄色、カリウムの淡紫色をセットで覚えましょう。
アルカリ金属の炎色反応
元素記号 元素名 炎色
Li リチウム 赤色
Na ナトリウム 黄色
K カリウム 淡紫色
注意:ナトリウムの黄色は非常に強いため、炎色反応の問題では特に狙われやすいです。
注意:カリウムの淡紫色は見分けにくいため、ナトリウムの黄色と混同しないようにしましょう。
確認ポイント
  • ナトリウムの炎色反応が黄色であることを答えられる
  • Li、Na、Kの炎色を区別できる
  • ナトリウムの黄色が非常に強いことを説明できる
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4 塩化ナトリウム NaCl

塩化ナトリウム NaCl は、食塩の主成分として身近なナトリウム化合物です。
Na⁺とCl⁻からなるイオン結晶で、水に溶けやすい性質があります。
水溶液中では、Na⁺とCl⁻に電離します。
塩化ナトリウム水溶液を電気分解すると、水酸化ナトリウム、塩素、水素が得られます。
工業的にも、NaClはさまざまなナトリウム化合物や塩素の原料として重要です。
塩化ナトリウムの電離
NaCl → Na⁺ + Cl⁻
水溶液中でナトリウムイオンと塩化物イオンに分かれます。
食塩水の電気分解の全体イメージ
2NaCl + 2H₂O → 2NaOH + Cl₂ + H₂
水酸化ナトリウム、塩素、水素が得られます。
塩化ナトリウムのポイント
項目 内容
化学式 NaCl
名称 塩化ナトリウム
身近な例 食塩
結晶の種類 イオン結晶
水への溶解 溶けやすい
工業的利用 NaOH、Cl₂、H₂の原料
確認ポイント
  • NaClが塩化ナトリウムであることを答えられる
  • NaClがイオン結晶であることを説明できる
  • 食塩水の電気分解でNaOH、Cl₂、H₂が得られることを理解している
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5 水酸化ナトリウム NaOH

水酸化ナトリウム NaOH は、代表的な強塩基です。
苛性ソーダとも呼ばれ、水に非常によく溶けます。
水溶液中ではほぼ完全に電離して、Na⁺とOH⁻になります。
水酸化ナトリウムは、酸との中和反応、両性水酸化物の溶解、石けんの製造などに関係します。
強い腐食性があるため、実験で扱うときは注意が必要です。
水酸化ナトリウムの電離
NaOH → Na⁺ + OH⁻
強塩基として水溶液中でほぼ完全に電離します。
塩酸との中和反応
NaOH + HCl → NaCl + H₂O
酸と塩基が反応して塩と水を生じます。
水酸化ナトリウムの性質
項目 内容
化学式 NaOH
名称 水酸化ナトリウム
別名 苛性ソーダ
分類 強塩基
性質 水によく溶ける。腐食性が強い
用途 中和、石けん製造、工業原料
注意:NaOHは強塩基であり、皮膚や目に触れると危険です。
注意:Al(OH)₃やZn(OH)₂などの両性水酸化物は、過剰NaOHに溶けます。
確認ポイント
  • NaOHが水酸化ナトリウムであることを答えられる
  • NaOHが強塩基であることを説明できる
  • NaOHが両性水酸化物の溶解に関係することを理解している
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6 炭酸ナトリウム Na₂CO₃

炭酸ナトリウム Na₂CO₃ は、炭酸イオン CO₃²⁻ を含むナトリウム化合物です。
水溶液は塩基性を示します。
これは炭酸イオンが水と反応して、水酸化物イオン OH⁻ を生じるためです。
炭酸ナトリウムは、ガラスの原料、洗剤、工業原料などとして利用されます。
Na₂CO₃はNaHCO₃と名前も化学式も似ているため、区別して覚えることが重要です。
炭酸ナトリウムと塩酸
Na₂CO₃ + 2HCl → 2NaCl + CO₂ + H₂O
酸と反応して二酸化炭素を発生します。
炭酸ナトリウムのポイント
項目 内容
化学式 Na₂CO₃
名称 炭酸ナトリウム
含むイオン Na⁺、CO₃²⁻
水溶液の性質 塩基性
酸との反応 CO₂を発生
用途 ガラス原料、洗剤、工業原料
確認ポイント
  • Na₂CO₃が炭酸ナトリウムであることを答えられる
  • 炭酸ナトリウム水溶液が塩基性を示すことを説明できる
  • 炭酸ナトリウムと酸の反応でCO₂が発生することを説明できる
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7 炭酸水素ナトリウム NaHCO₃

炭酸水素ナトリウム NaHCO₃ は、重曹とも呼ばれる物質です。
炭酸水素イオン HCO₃⁻ を含みます。
炭酸水素ナトリウムは、加熱すると分解して炭酸ナトリウム、二酸化炭素、水を生じます。
このとき発生する二酸化炭素により、ふくらし粉として利用されることがあります。
また、酸と反応しても二酸化炭素を発生します。
炭酸水素ナトリウムの熱分解
2NaHCO₃ → Na₂CO₃ + CO₂ + H₂O
加熱すると二酸化炭素が発生します。
炭酸水素ナトリウムと塩酸
NaHCO₃ + HCl → NaCl + CO₂ + H₂O
酸と反応して二酸化炭素を発生します。
炭酸水素ナトリウムのポイント
項目 内容
化学式 NaHCO₃
名称 炭酸水素ナトリウム
別名 重曹
含むイオン Na⁺、HCO₃⁻
加熱 CO₂を発生
酸との反応 CO₂を発生
例題:炭酸水素ナトリウムを加熱すると発生する気体は何か。
答え:二酸化炭素 CO₂
2NaHCO₃ → Na₂CO₃ + CO₂ + H₂O の反応でCO₂が発生します。
確認ポイント
  • NaHCO₃が炭酸水素ナトリウムであることを答えられる
  • NaHCO₃が重曹とも呼ばれることを説明できる
  • NaHCO₃の熱分解反応を書ける
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8 Na₂CO₃とNaHCO₃の比較

炭酸ナトリウム Na₂CO₃ と炭酸水素ナトリウム NaHCO₃ は混同しやすい物質です。
Na₂CO₃は炭酸イオン CO₃²⁻ を含む炭酸塩です。
NaHCO₃は炭酸水素イオン HCO₃⁻ を含む炭酸水素塩です。
どちらも酸と反応して二酸化炭素を発生します。
ただし、NaHCO₃は加熱によってCO₂を発生する点が特に重要です。
Na₂CO₃とNaHCO₃の比較
項目 Na₂CO₃ NaHCO₃
名称 炭酸ナトリウム 炭酸水素ナトリウム
別名 ソーダ灰など 重曹
含む陰イオン CO₃²⁻ HCO₃⁻
水溶液 塩基性 弱い塩基性
酸との反応 CO₂を発生 CO₂を発生
加熱 比較的安定 CO₂を発生して分解
例題:Na₂CO₃とNaHCO₃のうち、加熱でCO₂を発生しやすいのはどちらか。
答え:NaHCO₃
炭酸水素ナトリウムは加熱により 2NaHCO₃ → Na₂CO₃ + CO₂ + H₂O の反応を起こします。
例題:Na₂CO₃に含まれる陰イオンは何か。
答え:炭酸イオン CO₃²⁻
炭酸ナトリウムはNa⁺とCO₃²⁻からなる塩です。
確認ポイント
  • Na₂CO₃とNaHCO₃の名称を区別できる
  • CO₃²⁻とHCO₃⁻を区別できる
  • NaHCO₃の熱分解を説明できる
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9 その他のナトリウム化合物

ナトリウム化合物には、硫酸ナトリウム Na₂SO₄、硝酸ナトリウム NaNO₃、次亜塩素酸ナトリウム NaClO などもあります。
硫酸ナトリウムは硫酸イオン SO₄²⁻ を含む塩です。
硝酸ナトリウムは硝酸イオン NO₃⁻ を含む塩です。
次亜塩素酸ナトリウム NaClO は、漂白剤や消毒に関係する物質として知られています。
すべてを細かく暗記するより、Na⁺と陰イオンの組み合わせとして化学式を読めるようにすることが大切です。
その他のナトリウム化合物
化学式 名称 含む陰イオン
Na₂SO₄ 硫酸ナトリウム SO₄²⁻
NaNO₃ 硝酸ナトリウム NO₃⁻
NaClO 次亜塩素酸ナトリウム ClO⁻
Na₂S₂O₃ チオ硫酸ナトリウム S₂O₃²⁻
確認ポイント
  • ナトリウム化合物をNa⁺と陰イオンの組み合わせで読める
  • NaClOが次亜塩素酸ナトリウムであることを知っている
  • 化学式から名称を考える練習ができる
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10 テストでの出題パターン

ナトリウムとその化合物は、炎色反応、水との反応、NaOHの強塩基性、Na₂CO₃とNaHCO₃の区別として出題されやすいです。
特に、ナトリウムの炎色反応が黄色であること、ナトリウムと水の反応で水素が発生することは頻出です。
Na₂CO₃とNaHCO₃は化学式と名称が似ているため、定期試験でも入試でも狙われやすいです。
また、NaHCO₃の熱分解反応、NaOHと酸の中和反応、食塩水の電気分解もよく出題されます。
例題:ナトリウムの炎色反応は何色か。
答え:黄色
ナトリウムは炎色反応で強い黄色を示します。
例題:ナトリウムと水が反応したときに発生する気体は何か。
答え:水素 H₂
2Na + 2H₂O → 2NaOH + H₂ の反応で水素が発生します。
例題:NaHCO₃の名称を答えよ。
答え:炭酸水素ナトリウム
NaHCO₃は炭酸水素イオンHCO₃⁻を含む塩で、重曹とも呼ばれます。
例題:炭酸水素ナトリウムを加熱したときの反応式を書け。
答え:2NaHCO₃ → Na₂CO₃ + CO₂ + H₂O
NaHCO₃は加熱により、炭酸ナトリウム、二酸化炭素、水に分解します。
確認ポイント
  • Naの炎色反応を答えられる
  • Naと水の反応式を書ける
  • NaOHが強塩基であることを説明できる
  • Na₂CO₃とNaHCO₃を区別できる
  • NaHCO₃の熱分解反応を書ける
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