無機化学 / sulfur

硫黄化合物

硫化水素、二酸化硫黄、硫酸など、硫黄を含む代表的な無機化合物の性質と反応をまとめた教材です。
難易度:標準 目安:30分
# 無機化学 # 硫黄 # 硫化水素 # 二酸化硫黄 # 硫酸 # 酸化還元

この教材で学ぶこと

到達目標

  • 硫黄を含む代表的な化合物を答えられる
  • 硫化水素の性質と沈殿反応を説明できる
  • 二酸化硫黄の性質を説明できる
  • 濃硫酸の性質を整理できる
  • 硫黄化合物と酸化還元の関係を理解できる

前提知識

  • 酸化還元の基本
  • 酸・塩基の基本
  • 沈殿反応の基礎
  • 気体の発生と性質
目次

1 硫黄と硫黄化合物

硫黄 S は16族元素で、酸素と同じ族に属します。
硫黄を含む代表的な物質には、硫化水素 H₂S、二酸化硫黄 SO₂、硫酸 H₂SO₄ などがあります。
硫黄化合物は、酸化還元反応、沈殿反応、気体の性質などと関連して出題されます。
単なる暗記だけでなく、硫黄の酸化数の変化にも注目すると理解しやすくなります。
代表的な硫黄化合物
物質 化学式 特徴
硫化水素 H₂S 腐卵臭をもつ有毒な気体
二酸化硫黄 SO₂ 刺激臭をもつ気体、酸化剤にも還元剤にもなる
硫酸 H₂SO₄ 強酸、濃硫酸は脱水作用や酸化作用をもつ
硫化物 S²⁻を含む物質 金属イオンと沈殿をつくることがある
硫酸塩 SO₄²⁻を含む物質 BaSO₄などは水に溶けにくい
確認ポイント
  • H₂S、SO₂、H₂SO₄ の名称と化学式を答えられる
  • 硫黄化合物が酸化還元や沈殿反応と関係することを理解できる
↑ 目次へ戻る

2 硫化水素 H₂S

硫化水素 H₂S は、無色で腐った卵のようなにおいをもつ有毒な気体です。
水に少し溶け、弱酸性を示します。
硫化水素は還元性をもち、酸化剤によって酸化されることがあります。
また、金属イオンと反応して硫化物の沈殿をつくるため、金属イオンの検出にも関係します。
硫化水素の発生
FeS + 2HCl → FeCl₂ + H₂S
硫化鉄(Ⅱ)に希塩酸を加えると硫化水素が発生します。
硫化水素の性質
項目 内容
無色
におい 腐卵臭
毒性 有毒
水への溶解 少し溶ける
液性 弱酸性
性質 還元性をもつ
注意:硫化水素は有毒なので、実験では直接においをかがないようにします。
注意:腐卵臭という言葉はテストでよく出ます。
確認ポイント
  • H₂Sが腐卵臭をもつ有毒気体であることを覚える
  • H₂Sの発生反応式を書ける
  • H₂Sが還元性をもつことを説明できる
↑ 目次へ戻る

3 硫化物の沈殿

硫化水素や硫化物イオン S²⁻ は、金属イオンと反応して硫化物の沈殿をつくることがあります。
硫化物沈殿の色は金属イオンによって異なります。
特に CuS、PbS、ZnS などは重要です。
硫化銅(Ⅱ)の沈殿
Cu²⁺ + S²⁻ → CuS
CuSは黒色沈殿です。
硫化亜鉛の沈殿
Zn²⁺ + S²⁻ → ZnS
ZnSは白色沈殿です。
代表的な硫化物沈殿
金属イオン 沈殿 ポイント
Cu²⁺ CuS 黒色 銅(Ⅱ)イオンの検出に関係
Pb²⁺ PbS 黒色 鉛(Ⅱ)イオンの硫化物
Ag⁺ Ag₂S 黒色 銀の黒ずみに関係
Zn²⁺ ZnS 白色 黒色でない点に注意
Cd²⁺ CdS 黄色 黄色沈殿として重要
注意:硫化物沈殿は黒色が多いですが、ZnSは白色、CdSは黄色なので区別しましょう。
確認ポイント
  • 代表的な硫化物沈殿の色を答えられる
  • CuSやPbSが黒色沈殿であることを覚える
  • ZnSが白色沈殿であることを覚える
↑ 目次へ戻る

4 二酸化硫黄 SO₂

二酸化硫黄 SO₂ は、無色で刺激臭をもつ気体です。
水に溶けると亜硫酸 H₂SO₃ を生じ、酸性を示します。
SO₂ は酸化剤としても還元剤としても働くことがある重要な物質です。
特に酸化還元の問題では、SO₂がどちらとして働くかを判断する必要があります。
二酸化硫黄が水に溶ける反応
SO₂ + H₂O ⇄ H₂SO₃
亜硫酸を生じ、水溶液は酸性を示します。
二酸化硫黄の酸化
SO₂ + 2H₂O → SO₄²⁻ + 4H⁺ + 2e⁻
SO₂が電子を失う場合、SO₂は還元剤として働きます。
SO₂の性質
項目 内容
無色
におい 刺激臭
水への溶解 溶ける
水溶液 酸性
酸化還元 酸化剤にも還元剤にもなる
確認ポイント
  • SO₂が刺激臭をもつ気体であることを覚える
  • SO₂が水に溶けて酸性を示すことを説明できる
  • SO₂が酸化剤にも還元剤にもなることを理解できる
↑ 目次へ戻る

5 硫酸 H₂SO₄

硫酸 H₂SO₄ は、強酸として重要な物質です。
希硫酸は強酸として酸の性質を示します。
一方、濃硫酸は脱水作用、吸湿性、酸化作用など、特有の性質をもちます。
希硫酸と濃硫酸では注目すべき性質が異なるため、分けて整理しましょう。
熱濃硫酸と銅の反応
Cu + 2H₂SO₄ → CuSO₄ + SO₂ + 2H₂O
熱濃硫酸は酸化剤として働き、銅を酸化します。
希硫酸と濃硫酸
種類 主な性質 ポイント
希硫酸 強酸 水素イオン H⁺ を生じる酸として働く
濃硫酸 吸湿性 水分を吸収しやすい
濃硫酸 脱水作用 有機物から水を奪う
熱濃硫酸 酸化作用 銅などを酸化する
注意:濃硫酸を薄めるときは、必ず水に濃硫酸を少しずつ加えます。
注意:濃硫酸に水を加えると激しく発熱して危険です。
確認ポイント
  • 希硫酸と濃硫酸の違いを説明できる
  • 濃硫酸の脱水作用・吸湿性・酸化作用を区別できる
  • 熱濃硫酸が銅を酸化する反応を理解できる
↑ 目次へ戻る

6 硫黄化合物の例題

硫黄化合物は、気体の性質、沈殿反応、酸化還元、強酸の性質が混ざって出題されます。
それぞれの物質を個別に覚えるだけでなく、どの反応分野と関係するかも整理しましょう。
例題:硫化水素 H₂S の特徴的なにおいを答えなさい。
答え:腐卵臭
H₂Sは腐った卵のようなにおいをもつ有毒な気体です。
例題:SO₂が水に溶けると何性を示すか。
答え:酸性
SO₂は水に溶けて亜硫酸 H₂SO₃ を生じるため、酸性を示します。
例題:濃硫酸が有機物から水を奪う性質を何というか。
答え:脱水作用
濃硫酸は強い脱水作用をもち、糖類などから水を奪って炭化させることがあります。
確認ポイント
  • H₂S、SO₂、H₂SO₄ の性質を区別できる
  • 硫黄化合物と酸化還元の関係を説明できる
  • 濃硫酸の性質を整理して答えられる
↑ 目次へ戻る

関連する化学図鑑

この内容の問題へ 問題へ 教材一覧へ ホームへ
ホーム