無機化学 / zinc_tin_lead

亜鉛・スズ・鉛

両性元素として重要な亜鉛 Zn、スズ Sn、鉛 Pb について、水酸化物の沈殿、過剰NaOHへの溶解、代表的な化合物と沈殿色をまとめた教材です。
難易度:標準 目安:40分
# 無機化学 # 亜鉛 # スズ # 鉛 # 両性元素

この教材で学ぶこと

到達目標

  • 亜鉛・スズ・鉛が両性元素として重要であることを説明できる
  • Zn(OH)₂が白色沈殿で、過剰NaOHに溶けることを説明できる
  • 亜鉛イオンとアンモニア水の反応を説明できる
  • 鉛イオンの代表的な沈殿色を答えられる
  • Al、Zn、Sn、Pbを両性元素としてまとめて覚えられる

前提知識

  • 両性元素
  • 沈殿反応
  • 錯イオン
  • 酸・塩基
  • 金属イオンの検出
目次

1 亜鉛・スズ・鉛とは

亜鉛 Zn、スズ Sn、鉛 Pb は、無機化学で両性元素として重要な金属元素です。
両性元素とは、酸とも強塩基とも反応する元素のことです。
高校化学では、Al、Zn、Sn、Pb を両性元素としてまとめて覚えることが多いです。
亜鉛はZn²⁺、スズはSn²⁺やSn⁴⁺、鉛はPb²⁺やPb⁴⁺として登場します。
特に亜鉛と鉛は、沈殿反応や金属イオンの検出問題でよく出題されます。
両性元素として重要な金属
元素記号 元素名 主なイオン 重要ポイント
Al アルミニウム Al³⁺ Al(OH)₃が白色沈殿。過剰NaOHに溶ける
Zn 亜鉛 Zn²⁺ Zn(OH)₂が白色沈殿。過剰NaOH・過剰NH₃水に溶ける
Sn スズ Sn²⁺、Sn⁴⁺ 両性元素。発展的に扱われることが多い
Pb Pb²⁺、Pb⁴⁺ PbI₂の黄色沈殿、PbSO₄の白色沈殿が重要
確認ポイント
  • Al、Zn、Sn、Pbを両性元素として答えられる
  • 亜鉛の元素記号がZnであることを答えられる
  • 鉛の元素記号がPbであることを答えられる
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2 亜鉛とその性質

亜鉛 Zn は、両性元素として特に重要な金属です。
亜鉛は酸と反応して水素を発生します。
また、強塩基の水溶液とも反応し、亜鉛酸イオンを含む水溶液になります。
亜鉛は鉄の表面を保護するめっきにも使われます。
鉄を亜鉛でめっきしたものをトタンといいます。
亜鉛と塩酸の反応
Zn + 2HCl → ZnCl₂ + H₂
亜鉛は酸と反応して水素を発生します。
亜鉛と水酸化ナトリウム水溶液の反応
Zn + 2NaOH + 2H₂O → Na₂[Zn(OH)₄] + H₂
強塩基と反応して、テトラヒドロキシド亜鉛酸ナトリウムを生じます。
亜鉛の基本情報
項目 内容
元素記号 Zn
主なイオン Zn²⁺
分類 両性元素
酸との反応 水素を発生する
強塩基との反応 亜鉛酸イオンをつくる
確認ポイント
  • 亜鉛が両性元素であることを説明できる
  • 亜鉛と酸の反応で水素が発生することを説明できる
  • 亜鉛が強塩基とも反応することを説明できる
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3 水酸化亜鉛の沈殿

亜鉛イオン Zn²⁺ に水酸化物イオン OH⁻ を加えると、水酸化亜鉛 Zn(OH)₂ の白色沈殿が生じます。
Zn(OH)₂ は両性水酸化物です。
少量のNaOH水溶液を加えると白色沈殿が生じますが、過剰に加えると沈殿が溶けます。
これはZn(OH)₂が強塩基と反応して、亜鉛酸イオンをつくるためです。
Al(OH)₃と似ていますが、Zn(OH)₂は過剰アンモニア水にも溶ける点が重要です。
Zn²⁺とOH⁻の沈殿反応
Zn²⁺ + 2OH⁻ → Zn(OH)₂
白色沈殿の水酸化亜鉛が生じます。
Zn(OH)₂が過剰NaOHに溶ける反応
Zn(OH)₂ + 2OH⁻ → [Zn(OH)₄]²⁻
テトラヒドロキシド亜鉛酸イオンができ、沈殿が溶けます。
Zn²⁺と塩基の反応
加える試薬 少量 過剰
NaOH水溶液 白色沈殿 Zn(OH)₂ 溶ける
NH₃水 白色沈殿 Zn(OH)₂ 溶ける
注意:Al(OH)₃は過剰NH₃水には溶けにくいですが、Zn(OH)₂は過剰NH₃水に溶けます。
注意:この違いは、Al³⁺とZn²⁺の識別問題でよく出題されます。
確認ポイント
  • Zn(OH)₂が白色沈殿であることを答えられる
  • Zn(OH)₂が過剰NaOHに溶けることを説明できる
  • Zn(OH)₂が過剰NH₃水にも溶けることを説明できる
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4 亜鉛とアンモニア水

亜鉛イオン Zn²⁺ に少量のアンモニア水を加えると、水酸化亜鉛 Zn(OH)₂ の白色沈殿が生じます。
アンモニア水を過剰に加えると、沈殿は溶けてアンミン錯イオンをつくります。
この錯イオンは、テトラアンミン亜鉛(II)イオン [Zn(NH₃)₄]²⁺ です。
銅(II)イオンでも過剰アンモニア水によって錯イオンができますが、銅は深青色、亜鉛は無色の錯イオンとして区別します。
金属イオンの検出では、沈殿の有無だけでなく、過剰試薬で溶けるかどうかが重要です。
過剰アンモニア水との反応
Zn(OH)₂ + 4NH₃ → [Zn(NH₃)₄]²⁺ + 2OH⁻
テトラアンミン亜鉛(II)イオンができ、白色沈殿が溶けます。
亜鉛と銅のアンモニア水への反応
イオン 少量NH₃水 過剰NH₃水 溶液の色
Zn²⁺ 白色沈殿 溶ける 無色
Cu²⁺ 青白色沈殿 溶ける 深青色
例題:Zn²⁺に過剰のアンモニア水を加えると沈殿はどうなるか。
答え:溶ける。
Zn(OH)₂は過剰NH₃水に溶け、[Zn(NH₃)₄]²⁺を生じます。
例題:Cu²⁺とZn²⁺を過剰NH₃水で区別するポイントは何か。
答え:Cu²⁺は深青色、Zn²⁺は無色の錯イオンをつくる点。
どちらも過剰NH₃水で沈殿は溶けますが、銅は深青色を示すため区別できます。
確認ポイント
  • Zn²⁺が過剰NH₃水で溶けることを説明できる
  • [Zn(NH₃)₄]²⁺を知っている
  • Cu²⁺とZn²⁺の過剰NH₃水への反応を区別できる
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5 スズと鉛の基本

スズ Sn と鉛 Pb も両性元素として扱われます。
スズはSn²⁺やSn⁴⁺、鉛はPb²⁺やPb⁴⁺として登場します。
高校化学では、スズよりも鉛の沈殿反応や鉛化合物の色が出題されることが多いです。
鉛は有毒な重金属であり、鉛化合物の取り扱いには注意が必要です。
Pb²⁺はさまざまな陰イオンと反応して沈殿をつくるため、金属イオンの検出で重要です。
スズと鉛の基本情報
元素記号 元素名 主なイオン 重要ポイント
Sn スズ Sn²⁺、Sn⁴⁺ 両性元素。めっきや合金に関係する
Pb Pb²⁺、Pb⁴⁺ 沈殿反応が重要。有毒な重金属
注意:鉛は有毒なので、実験では取り扱いに注意が必要です。
注意:鉛の沈殿色は無機化学でよく問われます。
確認ポイント
  • スズの元素記号がSnであることを答えられる
  • 鉛の元素記号がPbであることを答えられる
  • Pb²⁺が沈殿反応で重要であることを理解している
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6 鉛イオンの沈殿

鉛(II)イオン Pb²⁺ は、いくつかの陰イオンと反応して沈殿をつくります。
塩化物イオン Cl⁻ と反応すると、塩化鉛(II) PbCl₂ の白色沈殿を生じます。
硫酸イオン SO₄²⁻ と反応すると、硫酸鉛(II) PbSO₄ の白色沈殿を生じます。
ヨウ化物イオン I⁻ と反応すると、ヨウ化鉛(II) PbI₂ の黄色沈殿を生じます。
硫化物イオン S²⁻ と反応すると、硫化鉛(II) PbS の黒色沈殿を生じます。
塩化鉛(II)の沈殿
Pb²⁺ + 2Cl⁻ → PbCl₂
PbCl₂は白色沈殿です。
硫酸鉛(II)の沈殿
Pb²⁺ + SO₄²⁻ → PbSO₄
PbSO₄は白色沈殿です。
ヨウ化鉛(II)の沈殿
Pb²⁺ + 2I⁻ → PbI₂
PbI₂は黄色沈殿です。
硫化鉛(II)の沈殿
Pb²⁺ + S²⁻ → PbS
PbSは黒色沈殿です。
鉛イオンの代表的な沈殿
反応するイオン 沈殿
Cl⁻ PbCl₂ 白色
SO₄²⁻ PbSO₄ 白色
I⁻ PbI₂ 黄色
S²⁻ PbS 黒色
注意:PbI₂の黄色沈殿は特に頻出です。
注意:PbSの黒色沈殿は、硫化物沈殿の問題でよく出ます。
確認ポイント
  • PbI₂が黄色沈殿であることを答えられる
  • PbSが黒色沈殿であることを答えられる
  • PbSO₄とPbCl₂が白色沈殿であることを覚えている
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7 両性水酸化物の比較

Al(OH)₃、Zn(OH)₂、Sn(OH)₂、Pb(OH)₂ などは両性水酸化物として扱われます。
両性水酸化物は、酸とも強塩基とも反応する水酸化物です。
高校化学では、特にAl(OH)₃とZn(OH)₂の違いがよく出題されます。
どちらも白色沈殿で、過剰NaOH水溶液に溶けます。
しかし、過剰アンモニア水への溶け方に違いがあります。Al(OH)₃は溶けにくく、Zn(OH)₂は溶けます。
両性水酸化物の比較
水酸化物 過剰NaOH 過剰NH₃水
Al(OH)₃ 白色 溶ける 溶けにくい
Zn(OH)₂ 白色 溶ける 溶ける
Sn(OH)₂ 白色 溶ける 発展
Pb(OH)₂ 白色 溶ける 発展
例題:Al(OH)₃とZn(OH)₂の違いとして重要なものは何か。
答え:Zn(OH)₂は過剰NH₃水に溶けるが、Al(OH)₃は溶けにくい。
どちらも過剰NaOHには溶けますが、過剰アンモニア水への溶解性で区別できます。
確認ポイント
  • Al(OH)₃とZn(OH)₂の共通点を説明できる
  • Al(OH)₃とZn(OH)₂の違いを説明できる
  • 両性水酸化物が酸と強塩基の両方に反応することを理解している
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8 テストでの出題パターン

亜鉛・スズ・鉛は、両性元素、沈殿反応、金属イオンの検出として出題されます。
特に亜鉛では、Zn(OH)₂の白色沈殿、過剰NaOHへの溶解、過剰NH₃水への溶解が重要です。
鉛では、PbI₂の黄色沈殿、PbSの黒色沈殿、PbSO₄の白色沈殿がよく問われます。
AlとZnの違い、Pb²⁺の沈殿色、両性元素の語呂合わせをセットで整理しましょう。
例題:Zn²⁺に少量のNaOH水溶液を加えると何色の沈殿が生じるか。
答え:白色沈殿
Zn²⁺はOH⁻と反応して、白色沈殿のZn(OH)₂を生じます。
例題:Zn(OH)₂にNaOH水溶液を過剰に加えるとどうなるか。
答え:溶ける。
Zn(OH)₂は両性水酸化物なので、強塩基であるNaOH水溶液に溶けます。
例題:Pb²⁺にI⁻を加えると生じる沈殿と色を答えよ。
答え:PbI₂、黄色沈殿
鉛(II)イオンはヨウ化物イオンと反応して、黄色沈殿のヨウ化鉛(II)を生じます。
例題:Al(OH)₃とZn(OH)₂を過剰NH₃水で区別するとどうなるか。
答え:Zn(OH)₂は溶けるが、Al(OH)₃は溶けにくい。
Zn²⁺はアンミン錯イオンをつくるため、過剰NH₃水に溶けます。
確認ポイント
  • Zn(OH)₂の沈殿と溶解を説明できる
  • Zn²⁺とAl³⁺の違いを説明できる
  • PbI₂、PbS、PbSO₄の色を答えられる
  • Al、Zn、Sn、Pbを両性元素として覚えられる
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