この教材で学ぶこと
到達目標
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原子軌道が電子の存在しやすい領域を表すことを説明できる
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s軌道、p軌道、d軌道の基本的な違いを理解できる
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1つの軌道に電子が最大2個入ることを説明できる
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電子配置を軌道の順番と関連づけられる
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軌道の考え方が周期表や化学結合につながることを理解できる
1
原子軌道とは
原子軌道とは、原子の中で電子が存在しやすい領域を表す考え方です。
電子は原子核のまわりを惑星のように決まった円軌道で回っているわけではありません。
量子化学では、電子がどこに存在しやすいかを確率的に考えます。
その電子の存在しやすい空間的な広がりを、原子軌道といいます。
原子軌道を理解すると、電子配置や化学結合をより深く理解できます。
確認ポイント
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原子軌道が電子の存在しやすい領域であることを説明できる
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電子が決まった円軌道を回るわけではないことを理解できる
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2
電子殻と原子軌道の関係
高校化学では、電子はK殻、L殻、M殻のような電子殻に入ると学びます。
より詳しく見ると、電子殻の中にはさらに原子軌道があります。
たとえば、K殻には1s軌道があります。
L殻には2s軌道と2p軌道があります。
M殻には3s軌道、3p軌道、3d軌道があります。
電子殻は大きな階層、原子軌道はその中の詳しい部屋のように考えると分かりやすいです。
電子殻と軌道
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電子殻
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主な軌道
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説明
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K殻
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1s
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最も内側の電子殻
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L殻
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2s, 2p
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第2電子殻
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M殻
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3s, 3p, 3d
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第3電子殻
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N殻
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4s, 4p, 4d, 4f
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第4電子殻
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確認ポイント
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電子殻の中に軌道があることを説明できる
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K殻には1s軌道、L殻には2s・2p軌道があることを理解できる
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3
s軌道
s軌道は、原子核のまわりに球状に広がる軌道です。
各電子殻にはs軌道が1つずつあります。
1つの軌道には電子が最大2個まで入るため、s軌道には最大2個の電子が入ります。
たとえば、1s軌道には最大2個、2s軌道にも最大2個の電子が入ります。
s軌道の特徴
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項目
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内容
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形
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球状
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軌道の数
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各電子殻に1つ
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最大電子数
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2個
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例
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1s, 2s, 3s
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確認ポイント
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s軌道が球状であることを説明できる
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s軌道に電子が最大2個入ることを理解できる
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4
p軌道
p軌道は、原子核をはさんで左右に広がるような形をもつ軌道です。
p軌道は、px、py、pzの3つがあります。
それぞれのp軌道には電子が最大2個入るため、p軌道全体では最大6個の電子が入ります。
2p軌道や3p軌道は、非金属元素の性質や共有結合を考えるときに重要です。
p軌道の特徴
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項目
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内容
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形
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ダンベル状のイメージ
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軌道の数
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3つ
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種類
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px, py, pz
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最大電子数
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6個
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例
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2p, 3p
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確認ポイント
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p軌道が3つあることを説明できる
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p軌道全体に電子が最大6個入ることを理解できる
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5
d軌道
d軌道は、s軌道やp軌道よりも複雑な形をもつ軌道です。
d軌道は5つあります。
それぞれのd軌道には電子が最大2個入るため、d軌道全体では最大10個の電子が入ります。
遷移元素ではd軌道の電子が重要になります。
鉄、銅、銀などの遷移金属の性質を考えるとき、d軌道の電子配置が関係します。
d軌道の特徴
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項目
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内容
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軌道の数
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5つ
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最大電子数
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10個
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関係する元素
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遷移元素
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例
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3d, 4d
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確認ポイント
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d軌道が5つあることを説明できる
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d軌道全体に電子が最大10個入ることを理解できる
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d軌道が遷移元素と関係することを知る
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6
1つの軌道に入る電子数
1つの原子軌道に入ることができる電子は最大2個です。
この2個の電子は、スピンの向きが反対になります。
この決まりはパウリの排他原理と関係しています。
つまり、同じ軌道に電子が3個以上入ることはできません。
s軌道、p軌道、d軌道の最大電子数は、この基本ルールから決まります。
軌道と最大電子数
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軌道の種類
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軌道の数
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最大電子数
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s軌道
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1個
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2個
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p軌道
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3個
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6個
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d軌道
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5個
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10個
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f軌道
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7個
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14個
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確認ポイント
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1つの軌道に電子が最大2個入ることを説明できる
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s、p、d軌道の最大電子数を答えられる
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7
電子が入る順番
電子は、基本的にエネルギーの低い軌道から順に入ります。
代表的な順番は、1s、2s、2p、3s、3p、4s、3d、4p のようになります。
高校化学の電子殻表示では 2,8,8,2 のように表しましたが、大学寄りの表記では 1s² 2s² 2p⁶ のように書きます。
この軌道表示を使うと、周期表の構造や遷移元素の性質をより詳しく理解できます。
例題:Neの電子配置を軌道で表すとどうなるか。
答え:1s² 2s² 2p⁶
Neは電子を10個もち、1sに2個、2sに2個、2pに6個入ります。
例題:Naの電子配置を軌道で表すとどうなるか。
答え:1s² 2s² 2p⁶ 3s¹
Naは電子を11個もち、Neの配置の次に3s軌道へ1個入ります。
確認ポイント
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電子がエネルギーの低い軌道から入ることを理解できる
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1s、2s、2p、3sの順に電子が入ることを説明できる
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簡単な軌道表示が読める
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8
原子軌道と化学結合
原子軌道は、化学結合の理解にもつながります。
共有結合は、原子軌道が重なり、電子が共有されることで形成されると考えられます。
たとえば、水素分子 H₂ では、2つの水素原子の1s軌道が重なって結合ができます。
炭素の有機化合物では、s軌道とp軌道が混ざった混成軌道という考え方も登場します。
まずは、軌道が電子の存在しやすい領域であり、結合にも関係することを押さえましょう。
確認ポイント
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原子軌道が化学結合と関係することを説明できる
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共有結合を軌道の重なりとして理解できる
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9
原子軌道の例題
原子軌道の問題では、s軌道、p軌道、d軌道の数と最大電子数がよく問われます。
電子配置の軌道表記も、まずは軽い元素から練習すると分かりやすいです。
例題:s軌道は1つの電子殻にいくつあるか。
答え:1つ
s軌道は各電子殻に1つあり、最大2個の電子が入ります。
例題:p軌道全体には電子が最大何個入るか。
答え:6個
p軌道は3つあり、それぞれ最大2個の電子が入るため、3×2=6個です。
例題:d軌道全体には電子が最大何個入るか。
答え:10個
d軌道は5つあり、それぞれ最大2個の電子が入るため、5×2=10個です。
例題:Neの軌道表示 1s² 2s² 2p⁶ の電子数の合計はいくつか。
答え:10個
2 + 2 + 6 = 10個です。
確認ポイント
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s、p、d軌道の数と最大電子数を答えられる
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簡単な軌道表示から電子数を数えられる
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原子軌道と電子配置を関連づけられる
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