この教材で学ぶこと
到達目標
-
イオン結合・共有結合・金属結合を区別できる
-
分子間力と化学結合の違いを説明できる
-
水素結合の特徴を理解できる
-
結合の種類から物質の性質を予想できる
-
極性と分子間力の関係を説明できる
前提知識
-
原子の構造
-
価電子
-
イオン
-
電気陰性度
-
分子の極性
1
化学結合とは
化学結合とは、原子やイオンが結びついて物質を作るときの結びつきです。
代表的な化学結合には、イオン結合、共有結合、金属結合があります。
また、分子どうしにはたらく力として分子間力や水素結合も重要です。
物質の融点、沸点、硬さ、電気伝導性などは、どのような結合や力でできているかによって大きく変わります。
主な結合・力
|
種類
|
どの粒子の間にはたらくか
|
代表例
|
|
イオン結合
|
陽イオンと陰イオン
|
NaCl
|
|
共有結合
|
非金属原子どうし
|
H₂O、CO₂
|
|
金属結合
|
金属原子と自由電子
|
Fe、Cu
|
|
分子間力
|
分子どうし
|
I₂、CO₂
|
|
水素結合
|
特定の分子どうし
|
H₂O、HF
|
確認ポイント
-
主な化学結合の種類を答えられる
-
物質の性質が結合の種類と関係することを理解できる
↑ 目次へ戻る
2
イオン結合
イオン結合は、陽イオンと陰イオンの間にはたらく静電気的な引力による結合です。
金属元素と非金属元素の組み合わせでできることが多いです。
たとえば、NaClではNaが電子を失ってNa⁺になり、Clが電子を受け取ってCl⁻になります。
Na⁺とCl⁻が引き合うことで、イオン結晶ができます。
NaClの形成イメージ
Na⁺ + Cl⁻ → NaCl
陽イオンと陰イオンが静電気的に引き合います。
イオン結合の特徴
|
項目
|
内容
|
|
構成粒子
|
陽イオンと陰イオン
|
|
できやすい組み合わせ
|
金属元素 + 非金属元素
|
|
代表例
|
NaCl、MgO、CaCl₂
|
|
性質
|
融点が高く、融解状態や水溶液で電気を通す
|
確認ポイント
-
イオン結合が陽イオンと陰イオンの引力であることを説明できる
-
イオン結合でできる代表例を答えられる
↑ 目次へ戻る
3
共有結合
共有結合は、原子どうしが電子対を共有することでできる結合です。
非金属元素どうしの間にできることが多いです。
たとえば、H₂では2つのH原子が1組の電子対を共有しています。
共有結合によって分子ができる場合もあれば、ダイヤモンドのように巨大な結晶を作る場合もあります。
共有結合の特徴
|
項目
|
内容
|
|
結合のしくみ
|
電子対を共有する
|
|
できやすい組み合わせ
|
非金属元素どうし
|
|
代表例
|
H₂、O₂、H₂O、CO₂
|
|
発展例
|
ダイヤモンド、SiO₂などの共有結合結晶
|
確認ポイント
-
共有結合が電子対の共有であることを説明できる
-
共有結合でできる分子の例を答えられる
↑ 目次へ戻る
4
金属結合
金属結合は、金属原子が出した価電子が自由電子となり、金属原子全体を結びつける結合です。
自由電子は金属結晶全体を動き回ることができます。
この自由電子によって、金属は電気や熱をよく通します。
また、金属は展性や延性を示します。
金属結合の特徴
|
性質
|
理由
|
|
電気伝導性
|
自由電子が動ける
|
|
熱伝導性
|
自由電子がエネルギーを運ぶ
|
|
金属光沢
|
自由電子が光と相互作用する
|
|
展性・延性
|
結晶がずれても結合が保たれる
|
確認ポイント
-
金属結合と自由電子の関係を説明できる
-
金属の性質を自由電子から説明できる
↑ 目次へ戻る
5
分子間力
分子間力とは、分子と分子の間にはたらく弱い引力です。
共有結合やイオン結合のような強い化学結合とは区別します。
分子間力が強いほど、分子どうしが離れにくくなり、沸点や融点が高くなりやすいです。
分子量が大きい分子や、極性をもつ分子では、分子間力が強くなることがあります。
分子間力のポイント
|
項目
|
内容
|
|
はたらく場所
|
分子と分子の間
|
|
強さ
|
共有結合などより弱い
|
|
影響
|
沸点・融点に関係
|
|
強くなる要因
|
分子量が大きい、極性がある、水素結合がある
|
確認ポイント
-
分子間力が分子どうしの間にはたらく力であることを説明できる
-
分子間力が沸点や融点に影響することを理解できる
↑ 目次へ戻る
6
水素結合
水素結合は、分子間力の中でも特に強い引力の一種です。
HがF、O、Nのような電気陰性度の大きい原子に結合しているときに重要になります。
代表例は、水 H₂O、フッ化水素 HF、アンモニア NH₃ です。
水の沸点が分子量のわりに高いのは、水分子どうしが水素結合を作るためです。
水素結合を作りやすい例
|
物質
|
水素結合に関係する結合
|
特徴
|
|
H₂O
|
O-H
|
沸点が高い
|
|
HF
|
F-H
|
強い水素結合
|
|
NH₃
|
N-H
|
水素結合を作る
|
|
アルコール
|
O-H
|
水に溶けやすいものがある
|
注意:水素結合は、H-F、H-O、H-Nのような結合があるときに特に重要です。
確認ポイント
-
水素結合の条件を説明できる
-
水の沸点が高い理由を水素結合から説明できる
↑ 目次へ戻る
7
極性と結合
共有結合では、結合している原子の電気陰性度が異なると、電子対が片方に偏ります。
このような結合を極性をもつ共有結合といいます。
分子全体として電荷の偏りがある場合、その分子は極性分子になります。
極性分子は、水のような極性溶媒に溶けやすい場合があります。
極性の例
|
分子
|
極性
|
理由
|
|
H₂
|
無極性
|
同じ原子どうしで電気陰性度差がない
|
|
CO₂
|
無極性
|
結合は極性をもつが分子全体では打ち消す
|
|
H₂O
|
極性
|
折れ線形で電荷の偏りが打ち消されない
|
|
NH₃
|
極性
|
三角錐形で電荷の偏りが残る
|
確認ポイント
-
電気陰性度差によって結合に極性が生じることを説明できる
-
分子の形によって分子全体の極性が変わることを理解できる
↑ 目次へ戻る
8
結合と物質の性質
物質の性質は、どのような結合や力で粒子が結びついているかによって決まります。
イオン結晶は融点が高く、融解状態や水溶液で電気を通します。
金属結晶は自由電子をもつため、固体でも電気を通します。
分子結晶は分子間力が比較的弱いため、融点や沸点が低いものが多いです。
共有結合結晶は、結晶全体が共有結合でつながっているため、硬く融点が高いものが多いです。
結合と性質のまとめ
|
結合・力
|
代表的な物質
|
主な性質
|
|
イオン結合
|
NaCl
|
融点が高い、水溶液で電気を通す
|
|
共有結合
|
H₂O、CO₂
|
分子を作る
|
|
共有結合結晶
|
ダイヤモンド、SiO₂
|
硬く、融点が高い
|
|
金属結合
|
Fe、Cu
|
電気を通す、展性・延性
|
|
分子間力
|
I₂、CO₂
|
融点が低いものが多い
|
|
水素結合
|
H₂O、HF
|
沸点が高くなりやすい
|
確認ポイント
-
結合の種類から物質の性質を予想できる
-
電気伝導性を自由電子やイオンの動きから説明できる
-
融点や沸点を結合や分子間力から説明できる
↑ 目次へ戻る
9
化学結合の例題
化学結合の問題では、結合の種類、構成粒子、物質の性質、極性、水素結合がよく問われます。
暗記だけでなく、電子の動きや粒子間の力から考えると理解しやすくなります。
例題:NaClに含まれる主な結合は何か。
答え:イオン結合
Na⁺とCl⁻の静電気的な引力でできています。
例題:H₂O分子内のO-H結合は主に何結合か。
答え:共有結合
O原子とH原子が電子対を共有しています。
例題:金属が固体でも電気を通す理由は何か。
答え:自由電子が動けるから。
金属結晶中には結晶全体を動き回る自由電子があります。
例題:水の沸点が比較的高い主な理由は何か。
答え:水分子どうしが水素結合を作るから。
水素結合は比較的強い分子間力で、分子を引き離すのに多くのエネルギーが必要です。
確認ポイント
-
代表的な物質の結合を判断できる
-
結合と物質の性質を関連づけられる
-
水素結合や極性を説明できる
↑ 目次へ戻る