この教材で学ぶこと
到達目標
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化学平衡の意味を説明できる
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正反応と逆反応の速さが等しい状態を理解できる
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平衡定数の基本的な意味を説明できる
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ルシャトリエの原理を使って平衡移動を判断できる
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濃度・圧力・温度の変化が平衡に与える影響を説明できる
前提知識
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化学反応式
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反応速度
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モル濃度
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気体の体積
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発熱反応・吸熱反応
1
化学平衡とは
化学平衡とは、可逆反応において正反応と逆反応が同時に進み、両者の速さが等しくなった状態です。
平衡状態では、見かけ上は反応が止まっているように見えます。
しかし実際には、正反応と逆反応はどちらも進み続けています。
正反応の速さと逆反応の速さが等しいため、各物質の濃度が一定に保たれます。
確認ポイント
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化学平衡が正反応と逆反応の速さが等しい状態であることを説明できる
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平衡状態でも反応が止まっていないことを理解できる
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2
可逆反応
可逆反応とは、正反応と逆反応の両方が起こる反応です。
反応式では、⇄ のような矢印で表されることがあります。
たとえば、N₂ + 3H₂ ⇄ 2NH₃ のような反応では、アンモニアが生成する正反応と、アンモニアが分解する逆反応が起こります。
可逆反応では、条件によって反応がどちら側に進みやすいかが変わります。
アンモニアの生成反応
N₂ + 3H₂ ⇄ 2NH₃
正反応ではNH₃が生成し、逆反応ではNH₃が分解します。
酢酸の電離
CH₃COOH ⇄ CH₃COO⁻ + H⁺
弱酸の電離も平衡として扱います。
確認ポイント
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可逆反応が正反応と逆反応の両方をもつことを説明できる
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⇄ の意味を理解できる
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3
平衡定数
平衡状態での各物質の濃度の関係を表す値を平衡定数といいます。
たとえば、aA + bB ⇄ cC + dD の反応では、平衡定数Kは生成物濃度を分子、反応物濃度を分母にした形で表します。
係数は指数として使います。
平衡定数が大きいほど、平衡状態で生成物が多い傾向があります。
平衡定数が小さいほど、平衡状態で反応物が多い傾向があります。
平衡定数の見方
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Kの大きさ
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平衡状態の傾向
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Kが大きい
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生成物が多い
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Kが小さい
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反応物が多い
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確認ポイント
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平衡定数が平衡状態での濃度関係を表すことを説明できる
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係数が指数になることを理解できる
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Kの大小から生成物側・反応物側の傾向を判断できる
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4
ルシャトリエの原理
ルシャトリエの原理とは、平衡状態にある系に外から変化を加えると、その変化を打ち消す向きに平衡が移動するという原理です。
濃度、圧力、温度などを変えると、平衡の位置が変わることがあります。
たとえば、反応物を増やすと、増えた反応物を減らす向き、つまり生成物側へ平衡が移動しやすくなります。
平衡移動を考えるときは、『加えた変化を弱める向き』を探します。
確認ポイント
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ルシャトリエの原理を説明できる
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平衡が変化を打ち消す向きに移動することを理解できる
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5
濃度変化と平衡移動
平衡状態にある反応で、ある物質の濃度を増やすと、その物質を消費する向きに平衡が移動します。
逆に、ある物質を取り除くと、その物質を生成する向きに平衡が移動します。
たとえば、N₂ + 3H₂ ⇄ 2NH₃ でH₂を増やすと、H₂を消費する正反応側へ平衡が移動します。
NH₃を取り除くと、NH₃を補うために正反応側へ平衡が移動します。
濃度変化と平衡移動
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変化
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平衡移動
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反応物を増やす
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生成物側へ移動しやすい
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生成物を増やす
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反応物側へ移動しやすい
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反応物を取り除く
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反応物側へ移動しやすい
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生成物を取り除く
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生成物側へ移動しやすい
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例題:N₂ + 3H₂ ⇄ 2NH₃ でH₂を増やすと、平衡はどちらへ移動するか。
答え:右、つまりNH₃が生成する向き
増やしたH₂を消費する向きに平衡が移動します。
確認ポイント
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濃度を増やした物質を消費する向きに平衡が移動することを説明できる
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濃度変化から平衡移動を判断できる
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6
圧力変化と平衡移動
気体が関係する平衡では、圧力の変化によって平衡が移動することがあります。
圧力を高くすると、気体分子の総数が少ない側へ平衡が移動します。
圧力を低くすると、気体分子の総数が多い側へ平衡が移動します。
ただし、反応の前後で気体分子数が変わらない場合、圧力を変えても平衡は大きく移動しません。
アンモニアの生成
N₂ + 3H₂ ⇄ 2NH₃
左辺は気体4 mol、右辺は気体2 molなので、高圧では右へ移動しやすいです。
圧力と平衡移動
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変化
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平衡移動
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圧力を高くする
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気体分子数が少ない側へ
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圧力を低くする
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気体分子数が多い側へ
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気体分子数が左右で同じ
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圧力変化の影響は小さい
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確認ポイント
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高圧では気体分子数が少ない側へ移動することを説明できる
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反応式の気体係数の合計を比較できる
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7
温度変化と平衡移動
温度変化による平衡移動では、熱を反応式の一部のように考えると分かりやすいです。
発熱反応では、正反応で熱が出るため、熱を生成物側にあるものとして考えます。
温度を上げると、加えた熱を消費する向き、つまり吸熱方向へ平衡が移動します。
温度を下げると、熱を発生する向き、つまり発熱方向へ平衡が移動します。
温度変化と平衡移動
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変化
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平衡移動
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温度を上げる
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吸熱方向へ
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温度を下げる
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発熱方向へ
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確認ポイント
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温度を上げると吸熱方向へ移動することを説明できる
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温度を下げると発熱方向へ移動することを説明できる
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熱を反応式の一部として考えられる
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8
触媒と化学平衡
触媒は反応速度を大きくしますが、平衡の位置は変えません。
触媒は正反応と逆反応の両方の活性化エネルギーを下げます。
そのため、平衡に達するまでの時間は短くなります。
しかし、平衡状態での反応物と生成物の割合は変わりません。
触媒は『早く平衡に到達させる』だけで、『生成物を多くする』わけではない点が重要です。
触媒の影響
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項目
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触媒の影響
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反応速度
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大きくする
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平衡に達する時間
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短くする
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平衡の位置
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変えない
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平衡定数
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変えない
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確認ポイント
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触媒が平衡の位置を変えないことを説明できる
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触媒が平衡に早く到達させることを理解できる
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9
化学平衡の例題
化学平衡の問題では、正反応・逆反応、平衡定数、ルシャトリエの原理、濃度・圧力・温度の影響がよく問われます。
平衡移動は『変化を打ち消す向き』を考えると判断しやすいです。
例題:化学平衡では、正反応と逆反応の何が等しいか。
答え:反応速度
平衡状態では、正反応の速さと逆反応の速さが等しくなっています。
例題:N₂ + 3H₂ ⇄ 2NH₃ で圧力を高くすると、平衡はどちらへ移動するか。
答え:右、つまりNH₃が生成する向き
左辺は気体4 mol、右辺は気体2 molなので、高圧では気体分子数が少ない右側へ移動します。
例題:発熱反応で温度を上げると、平衡は発熱方向と吸熱方向のどちらへ移動するか。
答え:吸熱方向
温度を上げると、加えた熱を消費する方向へ平衡が移動します。
例題:触媒を加えると、平衡の位置は変わるか。
答え:変わらない
触媒は正反応と逆反応の両方を速くし、平衡に早く到達させますが、平衡の位置は変えません。
確認ポイント
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平衡状態の意味を説明できる
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ルシャトリエの原理を使って平衡移動を判断できる
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触媒と平衡の関係を説明できる
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