この教材で学ぶこと
到達目標
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ヘスの法則の意味を説明できる
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反応経路によらずΔHが一定であることを理解できる
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反応式を足し合わせて目的の反応式を作れる
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反応式を逆向きにするとΔHの符号が変わることを理解できる
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標準生成エンタルピーから反応エンタルピーを求められる
前提知識
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熱化学とエンタルピー
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化学反応式
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反応エンタルピー
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標準生成エンタルピー
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符号の計算
1
ヘスの法則とは
ヘスの法則とは、化学反応のエンタルピー変化は、反応の途中経路によらず、反応前と反応後の状態だけで決まるという法則です。
同じ反応物から同じ生成物ができるなら、途中でどのような経路を通っても、全体のΔHは同じです。
これは、エンタルピーが状態量であることに関係しています。
ヘスの法則を使うと、直接測定しにくい反応エンタルピーを、他の反応エンタルピーから求めることができます。
確認ポイント
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ヘスの法則が反応経路によらないことを説明できる
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全体のΔHが各段階のΔHの和になることを理解できる
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2
エンタルピーは状態量
エンタルピーは状態量です。
状態量とは、途中の道筋ではなく、最初と最後の状態だけで変化量が決まる量です。
たとえば、山を登るとき、どの道を通っても出発点と到着点の高さの差は同じです。
エンタルピー変化も同じように、反応物と生成物の状態が同じなら、反応経路によらず同じになります。
注意:エンタルピー図では、高さの差としてΔHを考えると分かりやすいです。
注意:ヘスの法則は、エンタルピーが状態量であることから成り立ちます。
確認ポイント
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エンタルピーが状態量であることを説明できる
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途中経路ではなく始点と終点が重要であることを理解できる
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3
反応式を足し合わせる考え方
ヘスの法則では、いくつかの反応式を足し合わせて、目的の反応式を作ることがあります。
反応式を足し合わせるとき、両辺に同じ物質があれば消去できます。
反応式に対応するΔHも同じように足し合わせます。
目的の反応式を作るために、反応式を逆向きにしたり、係数を何倍かしたりすることもあります。
反応式操作とΔH
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反応式の操作
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ΔHの変化
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反応式を足す
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ΔHも足す
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反応式を逆向きにする
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ΔHの符号を逆にする
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反応式を2倍にする
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ΔHも2倍にする
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反応式を1/2倍にする
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ΔHも1/2倍にする
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確認ポイント
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反応式を足すとΔHも足すことを理解できる
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反応式を逆向きにするとΔHの符号が変わることを説明できる
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反応式の倍率とΔHの倍率を対応させられる
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4
反応式を逆向きにするとき
反応式を逆向きにすると、エンタルピー変化の符号は逆になります。
発熱反応を逆向きにすれば吸熱反応になります。
吸熱反応を逆向きにすれば発熱反応になります。
これは、同じ高さの差を逆向きに進むと、エンタルピー変化の向きが逆になるためです。
水の生成
H₂ + 1/2O₂ → H₂O ΔH = -286 kJ
水が生成するときは発熱です。
水の分解
H₂O → H₂ + 1/2O₂ ΔH = +286 kJ
逆向きにするとΔHの符号が逆になります。
確認ポイント
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反応式を逆向きにするとΔHの符号が逆になることを説明できる
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発熱反応の逆反応が吸熱反応になることを理解できる
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5
反応式を何倍かするとき
反応式の係数を何倍かした場合、エンタルピー変化も同じ倍率になります。
たとえば、水1 molが生成するときのΔHが -286 kJ なら、水2 molが生成するときのΔHは -572 kJ です。
エンタルピー変化は、反応式に書かれた物質量に対応しています。
係数を変えたら、必ずΔHも同じように変える必要があります。
水1 molの生成
H₂ + 1/2O₂ → H₂O ΔH = -286 kJ
水1 mol生成の反応です。
水2 molの生成
2H₂ + O₂ → 2H₂O ΔH = -572 kJ
反応式を2倍にしたので、ΔHも2倍です。
確認ポイント
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反応式の係数を変えるとΔHも変わることを説明できる
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反応式を2倍にしたらΔHも2倍にできる
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6
標準生成エンタルピーを使う方法
反応エンタルピーは、標準生成エンタルピーを使って求めることができます。
考え方は、反応物をいったん単体に戻し、そこから生成物を作るという経路です。
標準生成エンタルピーを使う場合、生成物側の合計から反応物側の合計を引きます。
係数がある場合は、標準生成エンタルピーに係数をかけます。
注意:単体の標準生成エンタルピーは0です。
注意:係数が2なら、その物質の標準生成エンタルピーも2倍して足し引きします。
確認ポイント
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生成物側の合計から反応物側の合計を引くことを覚える
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係数を標準生成エンタルピーにかけて計算できる
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単体の標準生成エンタルピーが0であることを使える
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7
生成エンタルピーを使った例
メタンの燃焼反応を例に考えます。
反応式は CH₄ + 2O₂ → CO₂ + 2H₂O です。
このとき、O₂は標準状態の単体なので標準生成エンタルピーは0です。
反応エンタルピーは、CO₂とH₂Oの生成エンタルピーの合計から、CH₄とO₂の生成エンタルピーの合計を引いて求めます。
メタンの燃焼
CH₄ + 2O₂ → CO₂ + 2H₂O
ΔH = {ΔfH°(CO₂) + 2ΔfH°(H₂O)} - {ΔfH°(CH₄) + 2ΔfH°(O₂)}
確認ポイント
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燃焼反応のΔHを生成エンタルピーから表せる
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O₂の標準生成エンタルピーを0として扱える
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8
エンタルピー図で考えるヘスの法則
ヘスの法則は、エンタルピー図で考えると理解しやすくなります。
反応物から生成物へ直接進む経路と、途中の物質を経由する経路があっても、最初と最後が同じなら全体の高さの差は同じです。
エンタルピー図では、上に行くほどエンタルピーが大きく、下に行くほど小さいと考えます。
矢印の向きと高さの差から、ΔHの符号を判断します。
エンタルピー図での判断
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図の動き
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ΔH
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反応
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下に下がる
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負
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発熱
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上に上がる
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正
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吸熱
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複数の矢印をたどる
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各ΔHを足す
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ヘスの法則
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確認ポイント
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エンタルピー図でΔHの符号を判断できる
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複数の経路のΔHを足して全体のΔHを求められる
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9
ヘスの法則の例題
ヘスの法則の問題では、反応式をどう操作するかが重要です。
目的の反応式に合わせて、反応式を足す、逆にする、何倍かする、という操作を行います。
そのとき、ΔHも同じように操作することを忘れないようにしましょう。
例題:反応 A → B の ΔH が -50 kJ のとき、逆反応 B → A の ΔH はいくらか。
答え:+50 kJ
反応式を逆向きにすると、ΔHの符号が逆になります。
例題:反応 A → B の ΔH が -50 kJ のとき、2A → 2B の ΔH はいくらか。
答え:-100 kJ
反応式を2倍にしたので、ΔHも2倍になります。
例題:標準生成エンタルピーを使って反応エンタルピーを求めるとき、生成物側と反応物側のどちらからどちらを引くか。
答え:生成物側の合計から反応物側の合計を引く。
ΔH = ΣΔfH°(生成物) - ΣΔfH°(反応物) です。
確認ポイント
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反応式操作に合わせてΔHを操作できる
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生成エンタルピーから反応エンタルピーを求める式を使える
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エンタルピー図とヘスの法則を結びつけて理解できる
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