理論化学 / enthalpy

熱化学とエンタルピー

化学反応にともなう熱の出入り、発熱反応・吸熱反応、エンタルピー変化、反応エンタルピー、生成エンタルピーをまとめた教材です。
難易度:標準 目安:45分
# 理論化学 # 熱化学 # エンタルピー # 発熱反応 # 吸熱反応 # 反応熱 # 生成エンタルピー

この教材で学ぶこと

到達目標

  • 化学反応にともなう熱の出入りを説明できる
  • 発熱反応と吸熱反応を区別できる
  • エンタルピー変化 ΔH の符号を判断できる
  • 反応エンタルピーと生成エンタルピーの意味を説明できる
  • エンタルピー図を読み取れる

前提知識

  • 化学反応式
  • 物質量 mol
  • エネルギー
  • 単位 kJ
  • 状態変化
目次

1 熱化学とは

熱化学とは、化学反応や状態変化にともなう熱の出入りを扱う分野です。
化学反応では、物質が変化するだけでなく、エネルギーも出入りします。
反応によって熱を放出する場合もあれば、熱を吸収する場合もあります。
この熱の出入りを整理するために、エンタルピーという量を使います。
熱化学の基本
化学反応 ⇄ 熱の出入り
反応では物質の変化と同時にエネルギーの変化も起こります。
確認ポイント
  • 熱化学が反応にともなう熱の出入りを扱う分野であることを説明できる
  • 化学反応では物質だけでなくエネルギーも変化することを理解できる
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2 発熱反応

発熱反応とは、反応によって熱を外部へ放出する反応です。
発熱反応では、反応後の物質が反応前の物質より低いエンタルピーをもつと考えます。
そのため、エンタルピー変化 ΔH は負の値になります。
燃焼反応や中和反応の多くは発熱反応です。
発熱反応の符号
ΔH < 0
熱を放出するため、反応系のエンタルピーは減少します。
発熱反応のイメージ
反応物 → 生成物 + 熱
反応によって熱が外へ出ていきます。
発熱反応の例
反応 特徴
燃焼反応 熱や光を放出する
中和反応 酸と塩基の反応で熱が出ることが多い
金属の酸化 酸化反応で熱を放出する場合がある
確認ポイント
  • 発熱反応では熱を放出することを説明できる
  • 発熱反応では ΔH が負になることを覚える
  • 燃焼反応が発熱反応の代表例であることを理解できる
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3 吸熱反応

吸熱反応とは、反応が進むときに外部から熱を吸収する反応です。
吸熱反応では、反応後の物質が反応前の物質より高いエンタルピーをもつと考えます。
そのため、エンタルピー変化 ΔH は正の値になります。
熱分解や一部の状態変化は吸熱として扱われます。
吸熱反応の符号
ΔH > 0
熱を吸収するため、反応系のエンタルピーは増加します。
吸熱反応のイメージ
反応物 + 熱 → 生成物
反応を進めるために熱を取り込みます。
吸熱反応の例
反応・変化 特徴
熱分解 熱を加えて分解する
融解 固体が液体になるとき熱を吸収する
蒸発 液体が気体になるとき熱を吸収する
確認ポイント
  • 吸熱反応では熱を吸収することを説明できる
  • 吸熱反応では ΔH が正になることを覚える
  • 発熱反応と吸熱反応を符号で区別できる
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4 エンタルピー変化 ΔH

エンタルピー変化 ΔH は、反応前後のエンタルピーの差を表します。
ΔH は、生成物のエンタルピーから反応物のエンタルピーを引いた値として考えます。
ΔH が負なら発熱反応、正なら吸熱反応です。
化学反応式に対応して、kJ/mol や kJ の単位で表されます。
エンタルピー変化
ΔH = H(生成物) - H(反応物)
反応後から反応前を引いて考えます。
発熱・吸熱の判断
ΔH < 0:発熱、ΔH > 0:吸熱
符号で反応の熱の出入りを判断できます。
例題:ΔH = -286 kJ の反応は発熱反応か吸熱反応か。
答え:発熱反応
ΔHが負なので、反応系から熱が放出される発熱反応です。
例題:ΔH = +180 kJ の反応は発熱反応か吸熱反応か。
答え:吸熱反応
ΔHが正なので、反応系が熱を吸収する吸熱反応です。
確認ポイント
  • ΔHを生成物と反応物のエンタルピー差として説明できる
  • ΔHの符号から発熱・吸熱を判断できる
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5 反応エンタルピー

反応エンタルピーとは、ある化学反応が起こるときのエンタルピー変化です。
反応式に書かれた係数に対応した量として表されます。
たとえば、H₂ + 1/2O₂ → H₂O の ΔH が -286 kJ なら、水1 molが生成するときに286 kJの熱を放出するという意味です。
反応式の係数を2倍にすると、エンタルピー変化も2倍になります。
水の生成
H₂ + 1/2O₂ → H₂O ΔH = -286 kJ
水1 molが生成するとき、286 kJの熱が放出されます。
係数を2倍にした場合
2H₂ + O₂ → 2H₂O ΔH = -572 kJ
反応式を2倍にすると、ΔHも2倍になります。
確認ポイント
  • 反応エンタルピーが反応式に対応した熱量であることを理解できる
  • 反応式を何倍かするとΔHも同じ倍率で変化することを説明できる
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6 標準生成エンタルピー

標準生成エンタルピーとは、標準状態で、成分元素の単体から化合物1 molを生成するときのエンタルピー変化です。
記号として ΔfH° のように表されます。
成分元素の単体から1 molの化合物を作る反応であることがポイントです。
標準状態の単体の標準生成エンタルピーは0として扱います。
標準生成エンタルピー
成分元素の単体 → 化合物1 mol
このときのエンタルピー変化が標準生成エンタルピーです。
水の標準生成エンタルピー
H₂(g) + 1/2O₂(g) → H₂O(l)
H₂O 1 molを単体から生成する反応です。
二酸化炭素の標準生成エンタルピー
C(黒鉛) + O₂(g) → CO₂(g)
CO₂ 1 molを単体から生成する反応です。
注意:単体の標準生成エンタルピーは0です。
注意:酸素 O₂、窒素 N₂、炭素の黒鉛など、標準状態で安定な単体を基準にします。
確認ポイント
  • 標準生成エンタルピーの意味を説明できる
  • 単体の標準生成エンタルピーが0であることを覚える
  • 化合物1 molを生成する反応であることを確認できる
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7 エンタルピー図

エンタルピー図は、反応物と生成物のエンタルピーの高さを図で表したものです。
発熱反応では、反応物の方が生成物より高い位置にあり、下向きにエネルギーが下がります。
吸熱反応では、生成物の方が反応物より高い位置にあり、上向きにエネルギーが上がります。
エンタルピー図を見ると、ΔHの符号や反応の熱の出入りを直感的に理解できます。
発熱反応の図のイメージ
反応物 ──高い → 生成物 ──低い
エンタルピーが下がり、差の分だけ熱を放出します。
吸熱反応の図のイメージ
反応物 ──低い → 生成物 ──高い
エンタルピーが上がり、熱を吸収します。
エンタルピー図の見方
反応 反応物と生成物の位置 ΔH
発熱反応 反応物が高く、生成物が低い
吸熱反応 反応物が低く、生成物が高い
確認ポイント
  • エンタルピー図から発熱・吸熱を判断できる
  • 反応物と生成物の高さの差がΔHであることを理解できる
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8 熱化学の例題

熱化学の問題では、ΔHの符号、反応式の係数、標準生成エンタルピー、エンタルピー図がよく問われます。
まず、反応が発熱か吸熱かを符号や図から判断しましょう。
例題:ΔHが負の反応は発熱反応か吸熱反応か。
答え:発熱反応
ΔHが負ということは、反応系のエンタルピーが減少し、外部へ熱を放出する反応です。
例題:反応式を2倍にすると、反応エンタルピーはどうなるか。
答え:2倍になる
反応エンタルピーは反応式の係数に対応するので、反応式を2倍にするとΔHも2倍になります。
例題:標準状態の単体の標準生成エンタルピーはいくつか。
答え:0
標準生成エンタルピーは単体を基準に定義するため、標準状態の単体は0です。
確認ポイント
  • ΔHの符号を判断できる
  • 反応式とエンタルピー変化の倍率を対応させられる
  • 標準生成エンタルピーの基本を説明できる
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