この教材で学ぶこと
到達目標
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硝酸 HNO₃ の基本的な性質を説明できる
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硝酸が強酸であり酸化剤でもあることを説明できる
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濃硝酸・希硝酸と銅の反応を区別できる
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オストワルト法による硝酸の工業的製法を説明できる
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代表的な硝酸塩と熱分解を説明できる
前提知識
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アンモニア・アンモニウム塩
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酸・塩基
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酸化還元
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気体の性質
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窒素化合物の基礎
1
硝酸とは
硝酸 HNO₃ は、窒素を含む代表的な酸です。
水溶液中ではほぼ完全に電離するため、強酸として扱われます。
硝酸は酸としての性質だけでなく、酸化剤としての性質も強いことが特徴です。
特に濃硝酸は強い酸化力をもち、金属や有機物と反応することがあります。
高校化学では、銅との反応、酸化剤としての性質、硝酸塩、オストワルト法が重要です。
硝酸の基本情報
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項目
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内容
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化学式
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HNO₃
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名称
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硝酸
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分類
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強酸
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重要な性質
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酸化力が強い
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含む陰イオン
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硝酸イオン NO₃⁻
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関連
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硝酸塩、窒素酸化物、オストワルト法
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確認ポイント
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硝酸の化学式がHNO₃であることを答えられる
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硝酸が強酸であることを説明できる
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硝酸が酸化剤として働くことを理解している
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2
硝酸の電離と硝酸イオン
硝酸 HNO₃ は、水に溶けると水素イオン H⁺ と硝酸イオン NO₃⁻ に電離します。
硝酸は強酸なので、水溶液中ではほぼ完全に電離します。
硝酸イオン NO₃⁻ を含む塩を硝酸塩といいます。
硝酸塩は一般に水に溶けやすいものが多いです。
硝酸塩の例として、硝酸ナトリウム NaNO₃、硝酸カリウム KNO₃、硝酸銀 AgNO₃ などがあります。
硝酸の電離
HNO₃ → H⁺ + NO₃⁻
硝酸は強酸なので、ほぼ完全に電離します。
硝酸と硝酸イオン
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化学式
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名称
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ポイント
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HNO₃
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硝酸
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強酸。酸化力も強い
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NO₃⁻
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硝酸イオン
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硝酸塩に含まれる陰イオン
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NaNO₃
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硝酸ナトリウム
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硝酸塩の一例
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KNO₃
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硝酸カリウム
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加熱で酸素を発生することがある
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AgNO₃
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硝酸銀
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ハロゲン化物イオンの検出に使う
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確認ポイント
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硝酸イオンがNO₃⁻であることを答えられる
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硝酸塩がNO₃⁻を含む塩であることを説明できる
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代表的な硝酸塩の名称を答えられる
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3
硝酸の酸化力
硝酸の重要な特徴は、酸としてだけでなく酸化剤としても働くことです。
たとえば、銅 Cu は塩酸や希硫酸とは通常反応しにくいですが、硝酸とは反応します。
これは、硝酸が銅を酸化して銅(II)イオン Cu²⁺ にする力をもつためです。
硝酸自身は還元されて、一酸化窒素 NO や二酸化窒素 NO₂ などになります。
濃硝酸と希硝酸では、主に発生する窒素酸化物が異なる点が重要です。
硝酸の酸化力のポイント
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項目
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内容
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硝酸の役割
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酸化剤
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酸化される物質の例
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Cuなどの金属
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硝酸が還元されてできる物質
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NO、NO₂など
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濃硝酸の場合
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NO₂が発生しやすい
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希硝酸の場合
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NOが発生しやすい
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注意:硝酸は強酸であるだけでなく、酸化力が強い酸として覚えましょう。
注意:銅が硝酸に溶けるのは、単なる酸の性質ではなく、硝酸の酸化力が関係しています。
確認ポイント
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硝酸が酸化剤として働くことを説明できる
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銅が硝酸に溶ける理由を説明できる
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硝酸が還元されてNOやNO₂になることを理解している
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4
銅と硝酸の反応
銅 Cu は、硝酸と反応して硝酸銅(II) Cu(NO₃)₂ を生じます。
濃硝酸と反応すると、主に二酸化窒素 NO₂ が発生します。
二酸化窒素 NO₂ は赤褐色の有毒な気体です。
希硝酸と反応すると、主に一酸化窒素 NO が発生します。
一酸化窒素 NO は無色ですが、空気中の酸素と反応して赤褐色のNO₂になります。
銅と濃硝酸
Cu + 4HNO₃ → Cu(NO₃)₂ + 2NO₂ + 2H₂O
濃硝酸では赤褐色のNO₂が発生します。
銅と希硝酸
3Cu + 8HNO₃ → 3Cu(NO₃)₂ + 2NO + 4H₂O
希硝酸では主に無色のNOが発生します。NOは空気中でNO₂に変化します。
一酸化窒素の酸化
2NO + O₂ → 2NO₂
無色のNOが空気中で酸化され、赤褐色のNO₂になります。
銅と硝酸の反応の比較
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硝酸
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主に発生する気体
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気体の色
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反応のポイント
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濃硝酸
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NO₂
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赤褐色
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濃硝酸ではNO₂が発生しやすい
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希硝酸
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NO
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無色
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NOは空気中でNO₂に変化する
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例題:銅と濃硝酸が反応したときに発生する赤褐色の気体は何か。
答え:二酸化窒素 NO₂
Cu + 4HNO₃ → Cu(NO₃)₂ + 2NO₂ + 2H₂O の反応でNO₂が発生します。
例題:銅と希硝酸が反応したときに主に発生する無色の気体は何か。
答え:一酸化窒素 NO
希硝酸では主にNOが発生します。NOは空気中で酸化されてNO₂になります。
確認ポイント
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銅と濃硝酸の反応式を書ける
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銅と希硝酸の反応式を書ける
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NOとNO₂の色を区別できる
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NOが空気中でNO₂になることを説明できる
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5
一酸化窒素 NO と二酸化窒素 NO₂
硝酸の反応では、一酸化窒素 NO と二酸化窒素 NO₂ がよく登場します。
NOは無色の気体です。
NOは空気中の酸素と反応して、赤褐色のNO₂になります。
NO₂は赤褐色の有毒な気体で、刺激臭をもちます。
気体の色を問う問題では、NOは無色、NO₂は赤褐色として区別しましょう。
NOからNO₂への変化
2NO + O₂ → 2NO₂
無色のNOが酸素と反応して赤褐色のNO₂になります。
NOとNO₂の比較
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化学式
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名称
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色
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特徴
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NO
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一酸化窒素
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無色
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空気中で酸化されてNO₂になる
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NO₂
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二酸化窒素
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赤褐色
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有毒で刺激臭をもつ
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注意:NOは無色ですが、空気中ですぐにNO₂へ変化するため、赤褐色が観察されることがあります。
注意:NO₂は有毒なので、実験では吸い込まないように注意が必要です。
確認ポイント
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NOが無色であることを答えられる
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NO₂が赤褐色であることを答えられる
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NOが空気中でNO₂になる反応式を書ける
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6
不動態
濃硝酸は強い酸化力をもつため、一部の金属の表面に緻密な酸化被膜をつくることがあります。
この酸化被膜によって内部が保護され、金属がそれ以上反応しにくくなる状態を不動態といいます。
鉄 Fe、アルミニウム Al、ニッケル Ni などは、濃硝酸によって不動態になることがあります。
アルミニウムが酸化被膜で保護されることと似た考え方です。
不動態は、金属の反応性と表面状態を考えるうえで重要です。
濃硝酸による不動態
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金属
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濃硝酸での変化
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ポイント
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Fe
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不動態になる
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表面に酸化被膜ができる
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Al
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不動態になる
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酸化被膜により内部が保護される
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Ni
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不動態になる
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濃硝酸で反応しにくくなる
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注意:不動態は、金属が全く反応性を失ったという意味ではなく、表面の酸化被膜により反応しにくくなった状態です。
注意:濃硝酸は強酸ですが、FeやAlを激しく溶かすとは限らない点が出題されます。
確認ポイント
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不動態の意味を説明できる
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Fe、Al、Niが濃硝酸で不動態になりやすいことを答えられる
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酸化被膜によって金属内部が保護されることを説明できる
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7
オストワルト法
硝酸は工業的には、アンモニアを原料としてつくられます。
この工業的製法をオストワルト法といいます。
まず、アンモニア NH₃ を酸素 O₂ と反応させて一酸化窒素 NO をつくります。
次に、NOを空気中の酸素で酸化して二酸化窒素 NO₂ にします。
最後に、NO₂を水に吸収させて硝酸 HNO₃ を得ます。
アンモニアの酸化
4NH₃ + 5O₂ → 4NO + 6H₂O
白金触媒などを用いて、アンモニアから一酸化窒素をつくります。
一酸化窒素の酸化
2NO + O₂ → 2NO₂
NOが酸化されてNO₂になります。
二酸化窒素から硝酸
3NO₂ + H₂O → 2HNO₃ + NO
NO₂を水に吸収させて硝酸を得ます。NOは再び酸化されて利用されます。
オストワルト法の流れ
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段階
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反応
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ポイント
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1
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NH₃ → NO
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アンモニアを酸化する
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2
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NO → NO₂
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空気中の酸素で酸化する
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3
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NO₂ → HNO₃
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水に吸収させて硝酸を得る
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確認ポイント
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オストワルト法が硝酸の工業的製法であることを答えられる
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アンモニアが硝酸の原料になることを説明できる
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NH₃、NO、NO₂、HNO₃の流れを説明できる
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8
硝酸塩
硝酸塩とは、硝酸イオン NO₃⁻ を含む塩です。
硝酸塩は一般に水に溶けやすいものが多いです。
代表的な硝酸塩には、硝酸ナトリウム NaNO₃、硝酸カリウム KNO₃、硝酸銀 AgNO₃、硝酸銅(II) Cu(NO₃)₂、硝酸アンモニウム NH₄NO₃ などがあります。
硝酸塩は肥料、酸化剤、実験試薬などとして登場します。
化学式では、NO₃⁻が1価の陰イオンであることを意識すると組み立てやすくなります。
代表的な硝酸塩
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化学式
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名称
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重要ポイント
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NaNO₃
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硝酸ナトリウム
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硝酸塩の代表例
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KNO₃
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硝酸カリウム
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加熱で酸素を発生することがある
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AgNO₃
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硝酸銀
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ハロゲン化物イオンの検出に使う
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Cu(NO₃)₂
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硝酸銅(II)
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銅と硝酸の反応で生じる
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NH₄NO₃
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硝酸アンモニウム
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アンモニウム塩・硝酸塩
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確認ポイント
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硝酸塩がNO₃⁻を含む塩であることを説明できる
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NO₃⁻が1価の陰イオンであることを理解している
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代表的な硝酸塩の名称を答えられる
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9
硝酸塩の熱分解
硝酸塩は、加熱によって分解することがあります。
硝酸カリウム KNO₃ を加熱すると、亜硝酸カリウム KNO₂ と酸素 O₂ が生じます。
硝酸鉛(II) Pb(NO₃)₂ を加熱すると、酸化鉛(II) PbO、二酸化窒素 NO₂、酸素 O₂ が生じます。
このとき発生するNO₂は赤褐色の気体です。
硝酸塩の熱分解では、発生する気体の種類や色に注目しましょう。
硝酸カリウムの熱分解
2KNO₃ → 2KNO₂ + O₂
酸素が発生します。
硝酸鉛(II)の熱分解
2Pb(NO₃)₂ → 2PbO + 4NO₂ + O₂
赤褐色のNO₂と酸素が発生します。
硝酸塩の熱分解の例
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硝酸塩
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熱分解の生成物
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ポイント
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KNO₃
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KNO₂、O₂
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酸素が発生
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Pb(NO₃)₂
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PbO、NO₂、O₂
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赤褐色のNO₂が発生
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Cu(NO₃)₂
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CuO、NO₂、O₂
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発展:金属酸化物と窒素酸化物を生じる
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例題:硝酸カリウムを加熱すると発生する気体は何か。
答え:酸素 O₂
2KNO₃ → 2KNO₂ + O₂ の反応で酸素が発生します。
例題:硝酸鉛(II)を加熱したときに発生する赤褐色の気体は何か。
答え:二酸化窒素 NO₂
硝酸鉛(II)の熱分解では、NO₂とO₂が発生します。
確認ポイント
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KNO₃の熱分解反応を書ける
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Pb(NO₃)₂の熱分解でNO₂が発生することを説明できる
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NO₂が赤褐色の気体であることを答えられる
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10
硝酸銀 AgNO₃
硝酸銀 AgNO₃ は、硝酸塩の中でも特に重要な試薬です。
水に溶けやすく、水溶液中で銀イオン Ag⁺ を供給します。
Ag⁺ は塩化物イオン Cl⁻、臭化物イオン Br⁻、ヨウ化物イオン I⁻ と反応して、ハロゲン化銀の沈殿をつくります。
この性質を利用して、ハロゲン化物イオンの検出に硝酸銀水溶液が使われます。
AgNO₃は銀の教材とも強くつながる重要な化合物です。
硝酸銀の電離
AgNO₃ → Ag⁺ + NO₃⁻
水溶液中でAg⁺を供給します。
塩化物イオンの検出
Ag⁺ + Cl⁻ → AgCl
白色沈殿のAgClが生じます。
AgNO₃水溶液による検出
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イオン
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沈殿
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色
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Cl⁻
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AgCl
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白色
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Br⁻
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AgBr
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淡黄色
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I⁻
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AgI
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黄色
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確認ポイント
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AgNO₃が硝酸銀であることを答えられる
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AgNO₃水溶液がAg⁺を供給することを説明できる
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硝酸銀水溶液がハロゲン化物イオンの検出に使われることを説明できる
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11
安全面での注意
硝酸は強酸であり、さらに強い酸化力をもつため、取り扱いには注意が必要です。
濃硝酸は皮膚や衣服、金属、有機物と反応することがあります。
硝酸と金属の反応で発生するNO₂は有毒な赤褐色の気体です。
硝酸塩の中には酸化剤として働くものもあり、加熱や可燃物との接触に注意が必要です。
実験では必ず教員や指導者の指示に従い、保護メガネや手袋などの保護具を着用します。
硝酸・硝酸塩の注意点
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物質
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注意点
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濃硝酸
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強酸・強い酸化剤。皮膚や衣服に触れないよう注意
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NO₂
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赤褐色の有毒な気体。吸い込まない
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硝酸塩
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酸化剤として働くものがある。加熱や可燃物との接触に注意
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AgNO₃
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皮膚や衣服に付くと変色することがある
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確認ポイント
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硝酸が強酸・酸化剤であるため注意が必要だと理解している
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NO₂が有毒な赤褐色の気体であることを説明できる
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硝酸塩が酸化剤として働くことがあると理解している
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12
テストでの出題パターン
硝酸と硝酸塩は、強酸、酸化剤、銅との反応、NOとNO₂、オストワルト法、硝酸塩の熱分解として出題されやすいです。
特に、銅と濃硝酸でNO₂、銅と希硝酸でNOが発生する違いは頻出です。
NOは無色、NO₂は赤褐色という気体の色もよく問われます。
オストワルト法では、NH₃ → NO → NO₂ → HNO₃ の流れを押さえましょう。
硝酸塩では、NO₃⁻が1価の陰イオンであること、KNO₃やAgNO₃などの名称、熱分解で発生する気体が重要です。
例題:硝酸の化学式を答えよ。
答え:HNO₃
硝酸はHNO₃で表される強酸です。
例題:硝酸イオンの化学式を答えよ。
答え:NO₃⁻
硝酸塩には硝酸イオンNO₃⁻が含まれます。
例題:銅と濃硝酸の反応で発生する気体は何か。
答え:二酸化窒素 NO₂
濃硝酸では赤褐色のNO₂が発生します。
例題:銅と希硝酸の反応で主に発生する気体は何か。
答え:一酸化窒素 NO
希硝酸では主に無色のNOが発生します。
例題:硝酸の工業的製法を何というか。
答え:オストワルト法
アンモニアを酸化して硝酸をつくる工業的製法です。
例題:硝酸カリウムを加熱すると発生する気体は何か。
答え:酸素 O₂
2KNO₃ → 2KNO₂ + O₂ により酸素が発生します。
確認ポイント
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硝酸と硝酸イオンの化学式を答えられる
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硝酸の酸化力を説明できる
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銅と濃硝酸・希硝酸の反応を区別できる
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NOとNO₂の色を区別できる
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オストワルト法の流れを説明できる
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硝酸塩の代表例と熱分解を説明できる
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