無機化学 / reaction_equation_summary

無機化学の反応式総まとめ

無機化学で頻出の反応式を、気体の発生、沈殿反応、酸・塩基、酸化還元、金属との反応、工業的製法、環境問題に分けて整理する総まとめ教材です。
難易度:標準 目安:50分
# 無機化学 # 反応式 # 総まとめ # 酸化還元 # 沈殿反応

この教材で学ぶこと

到達目標

  • 無機化学で頻出の反応式を分野別に整理できる
  • 気体発生反応の反応式を書ける
  • 沈殿反応のイオン反応式を書ける
  • 酸化還元反応の代表式を説明できる
  • 工業的製法の反応式を横断的に整理できる

前提知識

  • 無機化学の気体製法まとめ
  • 無機化学の沈殿色まとめ
  • 酸化還元
  • 硫酸と硫酸塩
  • 硝酸と硝酸塩
  • アンモニア・アンモニウム塩
  • 肥料・工業化学まとめ
目次

1 反応式総まとめの使い方

無機化学では、反応式を覚えているかどうかが得点に大きく関わります。
ただし、すべてをバラバラに暗記すると大変です。
気体の発生、沈殿反応、酸・塩基反応、酸化還元反応、工業的製法のように、種類ごとに整理すると覚えやすくなります。
反応式を覚えるときは、反応物、生成物、発生する気体、沈殿の色、反応条件をセットで確認しましょう。
この教材は、無機化学の反応式を最後に一気に復習するためのまとめです。
反応式を覚えるときの視点
視点 確認すること
反応の種類 気体発生、沈殿、中和、酸化還元、工業製法など
反応物 何と何を反応させるか
生成物 何ができるか
観察される変化 気体発生、沈殿、色の変化、発熱など
条件 加熱、濃硫酸、濃硝酸、酸性条件、触媒など
確認ポイント
  • 反応式を種類ごとに整理する重要性を理解している
  • 反応物・生成物・観察される変化をセットで確認できる
  • 条件つきの反応式に注意できる
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2 気体発生の反応式

気体発生反応は、無機化学で非常によく出題されます。
酸素、水素、二酸化炭素、アンモニア、塩素、塩化水素、二酸化硫黄などは特に重要です。
反応式だけでなく、捕集法や検出法も一緒に覚える必要があります。
酸素は過酸化水素の分解、水素は金属と酸、二酸化炭素は炭酸塩と酸で発生します。
アンモニアや塩素、塩化水素は、反応条件や安全面もよく問われます。
酸素の発生
2H₂O₂ → 2H₂O + O₂
MnO₂を触媒として用います。酸素は線香を激しく燃やします。
水素の発生
Zn + 2HCl → ZnCl₂ + H₂
亜鉛と酸の反応で水素が発生します。
二酸化炭素の発生
CaCO₃ + 2HCl → CaCl₂ + CO₂ + H₂O
炭酸塩に酸を加えるとCO₂が発生します。
アンモニアの発生
2NH₄Cl + Ca(OH)₂ → CaCl₂ + 2NH₃ + 2H₂O
アンモニウム塩と強塩基を加熱します。
塩素の発生
MnO₂ + 4HCl → MnCl₂ + Cl₂ + 2H₂O
二酸化マンガンと濃塩酸から塩素が発生します。
塩化水素の発生
NaCl + H₂SO₄ → NaHSO₄ + HCl
塩化ナトリウムと濃硫酸から塩化水素が発生します。
二酸化硫黄の発生
S + O₂ → SO₂
硫黄の燃焼で二酸化硫黄が発生します。
気体発生反応まとめ
発生する気体 代表反応 検出・特徴
O₂ 2H₂O₂ → 2H₂O + O₂ 線香が激しく燃える
H₂ Zn + 2HCl → ZnCl₂ + H₂ ポンと音を立てて燃える
CO₂ CaCO₃ + 2HCl → CaCl₂ + CO₂ + H₂O 石灰水を白くにごらせる
NH₃ 2NH₄Cl + Ca(OH)₂ → CaCl₂ + 2NH₃ + 2H₂O 赤色リトマス紙を青色にする
Cl₂ MnO₂ + 4HCl → MnCl₂ + Cl₂ + 2H₂O 黄緑色。有毒。漂白作用
HCl NaCl + H₂SO₄ → NaHSO₄ + HCl NH₃と白煙
SO₂ S + O₂ → SO₂ 無色・刺激臭。有毒
確認ポイント
  • 代表的な気体発生反応を書ける
  • 発生する気体の検出法を説明できる
  • 気体の性質と捕集法を関連づけられる
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3 沈殿反応のイオン反応式

沈殿反応では、水に溶けにくい物質が生成します。
無機化学では、沈殿の色や溶解性からイオンを識別する問題がよく出ます。
特に、ハロゲン化銀、硫酸バリウム、水酸化物沈殿は頻出です。
沈殿反応は、分子式で書くよりもイオン反応式で覚えると整理しやすいです。
陽イオンと陰イオンの組み合わせ、沈殿の色をセットで覚えましょう。
塩化銀
Ag⁺ + Cl⁻ → AgCl
白色沈殿です。
臭化銀
Ag⁺ + Br⁻ → AgBr
淡黄色沈殿です。
ヨウ化銀
Ag⁺ + I⁻ → AgI
黄色沈殿です。
硫酸バリウム
Ba²⁺ + SO₄²⁻ → BaSO₄
白色沈殿です。硫酸イオンの検出に使います。
炭酸カルシウム
Ca²⁺ + CO₃²⁻ → CaCO₃
白色沈殿です。
水酸化鉄(III)
Fe³⁺ + 3OH⁻ → Fe(OH)₃
赤褐色沈殿です。
水酸化銅(II)
Cu²⁺ + 2OH⁻ → Cu(OH)₂
青白色沈殿です。
沈殿反応まとめ
反応式 沈殿 用途・ポイント
Ag⁺ + Cl⁻ → AgCl AgCl 白色 塩化物イオンの検出
Ag⁺ + Br⁻ → AgBr AgBr 淡黄色 臭化物イオンの検出
Ag⁺ + I⁻ → AgI AgI 黄色 ヨウ化物イオンの検出
Ba²⁺ + SO₄²⁻ → BaSO₄ BaSO₄ 白色 硫酸イオンの検出
Fe²⁺ + 2OH⁻ → Fe(OH)₂ Fe(OH)₂ 緑白色 鉄(II)イオン
Fe³⁺ + 3OH⁻ → Fe(OH)₃ Fe(OH)₃ 赤褐色 鉄(III)イオン
Cu²⁺ + 2OH⁻ → Cu(OH)₂ Cu(OH)₂ 青白色 銅(II)イオン
Al³⁺ + 3OH⁻ → Al(OH)₃ Al(OH)₃ 白色 両性水酸化物
Zn²⁺ + 2OH⁻ → Zn(OH)₂ Zn(OH)₂ 白色 両性水酸化物
確認ポイント
  • ハロゲン化銀の沈殿反応式を書ける
  • 硫酸バリウムの沈殿反応式を書ける
  • 金属水酸化物の沈殿色を答えられる
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4 過剰NaOH・過剰NH₃水で溶ける反応式

沈殿反応では、沈殿ができるだけでなく、過剰の試薬で溶けるかどうかも重要です。
Al(OH)₃、Zn(OH)₂、Pb(OH)₂は両性水酸化物として、過剰NaOHに溶けます。
Cu(OH)₂やZn(OH)₂は、過剰アンモニア水でアンミン錯イオンをつくって溶けます。
AgClもアンモニア水に溶け、ジアンミン銀(I)イオンをつくります。
この単元は、金属イオンの識別問題で非常によく出ます。
水酸化アルミニウムの溶解
Al(OH)₃ + OH⁻ → [Al(OH)₄]⁻
過剰NaOHに溶けます。
水酸化亜鉛の溶解
Zn(OH)₂ + 2OH⁻ → [Zn(OH)₄]²⁻
過剰NaOHに溶けます。
銅(II)と過剰アンモニア
Cu(OH)₂ + 4NH₃ → [Cu(NH₃)₄]²⁺ + 2OH⁻
深青色溶液になります。
亜鉛と過剰アンモニア
Zn(OH)₂ + 4NH₃ → [Zn(NH₃)₄]²⁺ + 2OH⁻
無色溶液になります。
塩化銀とアンモニア
AgCl + 2NH₃ → [Ag(NH₃)₂]⁺ + Cl⁻
AgClがアンモニア水に溶けます。
過剰試薬で溶ける代表例
沈殿 過剰NaOH 過剰NH₃水 ポイント
Al(OH)₃ 溶ける 溶けにくい Al³⁺とZn²⁺の区別に使う
Zn(OH)₂ 溶ける 溶ける 両方に溶ける
Pb(OH)₂ 溶ける 基本は溶けにくい 両性水酸化物
Cu(OH)₂ 基本は溶けにくい 深青色に溶ける [Cu(NH₃)₄]²⁺
AgCl 基本は溶けにくい 溶ける [Ag(NH₃)₂]⁺
確認ポイント
  • 過剰NaOHで溶ける両性水酸化物を答えられる
  • 過剰NH₃水で生じる代表的な錯イオンを答えられる
  • Al³⁺とZn²⁺の区別を説明できる
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5 酸・塩基・中和の反応式

酸と塩基の反応では、塩と水が生じます。
塩酸と水酸化ナトリウムの反応は、最も基本的な中和反応です。
硫酸は2価の酸なので、水酸化ナトリウムと反応するときはNaOHが2 mol必要です。
アンモニアは弱塩基としてH⁺を受け取り、アンモニウムイオンNH₄⁺になります。
アンモニウム塩に強塩基を加えると、逆にアンモニアが発生します。
塩酸と水酸化ナトリウム
HCl + NaOH → NaCl + H₂O
基本的な中和反応です。
硫酸と水酸化ナトリウム
H₂SO₄ + 2NaOH → Na₂SO₄ + 2H₂O
硫酸は2価の酸なのでNaOHが2 mol必要です。
アンモニアと水素イオン
NH₃ + H⁺ → NH₄⁺
アンモニアは塩基としてH⁺を受け取ります。
アンモニウムイオンと水酸化物イオン
NH₄⁺ + OH⁻ → NH₃ + H₂O
アンモニウム塩に強塩基を加えるとアンモニアが発生します。
塩化水素とアンモニア
HCl + NH₃ → NH₄Cl
白煙の塩化アンモニウムが生じます。
酸・塩基反応まとめ
反応 反応式 ポイント
強酸と強塩基 HCl + NaOH → NaCl + H₂O 中和反応
2価の酸の中和 H₂SO₄ + 2NaOH → Na₂SO₄ + 2H₂O 係数に注意
アンモニアの塩基性 NH₃ + H⁺ → NH₄⁺ H⁺を受け取る
アンモニアの発生 NH₄⁺ + OH⁻ → NH₃ + H₂O NH₄⁺の検出にも関係
白煙反応 HCl + NH₃ → NH₄Cl 白煙を生じる
確認ポイント
  • 基本的な中和反応式を書ける
  • 硫酸が2価の酸であることを反応式で説明できる
  • NH₄⁺とOH⁻からNH₃が発生する反応を説明できる
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6 金属と酸の反応式

金属と酸の反応では、金属の種類と酸の種類によって発生する気体が変わります。
亜鉛やマグネシウムなどは、塩酸や希硫酸と反応して水素を発生します。
一方、銅は塩酸や希硫酸とは通常反応しにくいですが、硝酸や熱濃硫酸とは反応します。
これは、硝酸や熱濃硫酸が酸化剤として働くためです。
銅と濃硝酸ではNO₂、銅と希硝酸ではNO、銅と熱濃硫酸ではSO₂が発生します。
亜鉛と塩酸
Zn + 2HCl → ZnCl₂ + H₂
水素が発生します。
亜鉛と希硫酸
Zn + H₂SO₄ → ZnSO₄ + H₂
水素が発生します。
銅と濃硝酸
Cu + 4HNO₃ → Cu(NO₃)₂ + 2NO₂ + 2H₂O
赤褐色のNO₂が発生します。
銅と希硝酸
3Cu + 8HNO₃ → 3Cu(NO₃)₂ + 2NO + 4H₂O
無色のNOが発生します。
銅と熱濃硫酸
Cu + 2H₂SO₄ → CuSO₄ + SO₂ + 2H₂O
二酸化硫黄SO₂が発生します。
金属と酸の反応まとめ
金属・酸 反応式 発生する気体
Zn + HCl Zn + 2HCl → ZnCl₂ + H₂ H₂
Zn + 希H₂SO₄ Zn + H₂SO₄ → ZnSO₄ + H₂ H₂
Cu + 濃HNO₃ Cu + 4HNO₃ → Cu(NO₃)₂ + 2NO₂ + 2H₂O NO₂
Cu + 希HNO₃ 3Cu + 8HNO₃ → 3Cu(NO₃)₂ + 2NO + 4H₂O NO
Cu + 熱濃H₂SO₄ Cu + 2H₂SO₄ → CuSO₄ + SO₂ + 2H₂O SO₂
確認ポイント
  • 金属と酸でH₂が発生する反応を書ける
  • 銅と濃硝酸・希硝酸の反応を区別できる
  • 銅と熱濃硫酸でSO₂が発生することを説明できる
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7 酸化還元の重要反応式

酸化還元反応では、酸化剤と還元剤のどちらが電子を受け取るか、どちらが電子を出すかを考えます。
無機化学で特に重要なのは、過マンガン酸イオン、二クロム酸イオン、過酸化水素、塩素、二酸化硫黄です。
過マンガン酸イオンMnO₄⁻は酸性条件でMn²⁺になります。
二クロム酸イオンCr₂O₇²⁻は酸性条件でCr³⁺になります。
過酸化水素H₂O₂は、相手によって酸化剤にも還元剤にもなります。
過マンガン酸イオン
MnO₄⁻ + 8H⁺ + 5e⁻ → Mn²⁺ + 4H₂O
酸性条件で強い酸化剤として働きます。
二クロム酸イオン
Cr₂O₇²⁻ + 14H⁺ + 6e⁻ → 2Cr³⁺ + 7H₂O
酸性条件で酸化剤として働きます。
H₂O₂が酸化剤として働く
H₂O₂ + 2H⁺ + 2e⁻ → 2H₂O
H₂O₂自身はH₂Oになります。
H₂O₂が還元剤として働く
H₂O₂ → O₂ + 2H⁺ + 2e⁻
H₂O₂自身はO₂になります。
塩素によるヨウ化物イオンの酸化
Cl₂ + 2I⁻ → 2Cl⁻ + I₂
塩素がI⁻をI₂に酸化します。
NOの酸化
2NO + O₂ → 2NO₂
無色のNOが赤褐色のNO₂になります。
酸化還元の重要式
物質 反応式 役割
MnO₄⁻ MnO₄⁻ + 8H⁺ + 5e⁻ → Mn²⁺ + 4H₂O 酸化剤
Cr₂O₇²⁻ Cr₂O₇²⁻ + 14H⁺ + 6e⁻ → 2Cr³⁺ + 7H₂O 酸化剤
H₂O₂ H₂O₂ + 2H⁺ + 2e⁻ → 2H₂O 酸化剤
H₂O₂ H₂O₂ → O₂ + 2H⁺ + 2e⁻ 還元剤
Cl₂ Cl₂ + 2I⁻ → 2Cl⁻ + I₂ 酸化剤
NO 2NO + O₂ → 2NO₂ NOが酸化される
確認ポイント
  • MnO₄⁻とCr₂O₇²⁻の半反応式を書ける
  • H₂O₂が酸化剤にも還元剤にもなることを説明できる
  • 塩素がI⁻をI₂に酸化する反応を説明できる
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8 ハロゲンに関する反応式

ハロゲンでは、酸化力の違いとハロゲン化銀の沈殿が重要です。
酸化力は、一般にF₂ > Cl₂ > Br₂ > I₂の順です。
酸化力の強いハロゲンは、酸化力の弱いハロゲンのイオンを酸化できます。
塩素はBr⁻やI⁻を酸化して、Br₂やI₂を遊離させます。
また、Ag⁺とハロゲン化物イオンの沈殿反応も頻出です。
塩素と臭化物イオン
Cl₂ + 2Br⁻ → 2Cl⁻ + Br₂
塩素がBr⁻をBr₂に酸化します。
塩素とヨウ化物イオン
Cl₂ + 2I⁻ → 2Cl⁻ + I₂
塩素がI⁻をI₂に酸化します。
臭素とヨウ化物イオン
Br₂ + 2I⁻ → 2Br⁻ + I₂
臭素がI⁻をI₂に酸化します。
塩素と水
Cl₂ + H₂O ⇄ HCl + HClO
HClOが漂白・殺菌作用に関係します。
次亜塩素酸ナトリウムの生成
Cl₂ + 2NaOH → NaCl + NaClO + H₂O
塩素系漂白剤と関係します。
ハロゲン反応まとめ
反応式 ポイント
Cl₂ + 2Br⁻ → 2Cl⁻ + Br₂ Cl₂がBr⁻を酸化
Cl₂ + 2I⁻ → 2Cl⁻ + I₂ Cl₂がI⁻を酸化
Br₂ + 2I⁻ → 2Br⁻ + I₂ Br₂がI⁻を酸化
Cl₂ + H₂O ⇄ HCl + HClO 塩素水・漂白作用
Ag⁺ + Cl⁻ → AgCl 白色沈殿
Ag⁺ + Br⁻ → AgBr 淡黄色沈殿
Ag⁺ + I⁻ → AgI 黄色沈殿
確認ポイント
  • ハロゲンの酸化力の順番を説明できる
  • 塩素がBr⁻やI⁻を酸化する反応式を書ける
  • ハロゲン化銀の沈殿反応式を書ける
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9 工業的製法の反応式

工業化学では、ハーバー・ボッシュ法、オストワルト法、接触法が特に重要です。
ハーバー・ボッシュ法はアンモニアNH₃の製法です。
オストワルト法は硝酸HNO₃の製法です。
接触法は硫酸H₂SO₄の製法です。
製法名、つくる物質、原料、触媒、反応式をセットで覚えましょう。
ハーバー・ボッシュ法
N₂ + 3H₂ ⇄ 2NH₃
アンモニアの工業的製法です。鉄触媒、高温・高圧条件を用います。
オストワルト法 1段階目
4NH₃ + 5O₂ → 4NO + 6H₂O
アンモニアを酸化してNOをつくります。
オストワルト法 2段階目
2NO + O₂ → 2NO₂
NOをNO₂に酸化します。
オストワルト法 3段階目
3NO₂ + H₂O → 2HNO₃ + NO
NO₂を水に吸収させて硝酸を得ます。
接触法 1段階目
S + O₂ → SO₂
硫黄を燃焼してSO₂をつくります。
接触法 2段階目
2SO₂ + O₂ ⇄ 2SO₃
V₂O₅触媒を使ってSO₂をSO₃に酸化します。
接触法 3段階目
SO₃ + H₂O → H₂SO₄
基本式として、SO₃と水から硫酸ができます。
工業的製法まとめ
製法 つくる物質 重要反応 触媒・条件
ハーバー・ボッシュ法 NH₃ N₂ + 3H₂ ⇄ 2NH₃ 鉄触媒、高温・高圧
オストワルト法 HNO₃ NH₃ → NO → NO₂ → HNO₃ アンモニアの酸化
接触法 H₂SO₄ S → SO₂ → SO₃ → H₂SO₄ V₂O₅触媒
確認ポイント
  • ハーバー・ボッシュ法の反応式を書ける
  • オストワルト法の流れを説明できる
  • 接触法の流れとV₂O₅触媒を説明できる
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10 環境問題に関する反応式

無機化学の反応式は、環境問題ともつながっています。
NOxは大気中で硝酸HNO₃を生じ、酸性雨の原因になります。
SOxは大気中で硫酸H₂SO₄を生じ、酸性雨の原因になります。
NOは空気中で酸化されてNO₂になります。
SO₂は酸化されてSO₃となり、SO₃は水と反応して硫酸を生じます。
環境問題では、物質名だけでなく、どの酸につながるかを反応式で理解しておくと強いです。
NOの酸化
2NO + O₂ → 2NO₂
NOxと酸性雨・光化学スモッグの理解につながります。
NO₂から硝酸
3NO₂ + H₂O → 2HNO₃ + NO
NO₂が水と反応し、硝酸を生じます。
SO₂の酸化
2SO₂ + O₂ → 2SO₃
SO₂がSO₃に酸化されます。
SO₃から硫酸
SO₃ + H₂O → H₂SO₄
SO₃が水と反応して硫酸を生じます。
排煙脱硫
CaCO₃ + SO₂ → CaSO₃ + CO₂
石灰石でSO₂を除去する考え方です。
亜硫酸カルシウムの酸化
2CaSO₃ + O₂ → 2CaSO₄
亜硫酸カルシウムが酸化されて硫酸カルシウムになります。
環境問題と反応式
テーマ 反応式 ポイント
NOx 2NO + O₂ → 2NO₂ NOがNO₂になる
酸性雨 3NO₂ + H₂O → 2HNO₃ + NO 硝酸が生じる
SOx 2SO₂ + O₂ → 2SO₃ SO₂がSO₃になる
酸性雨 SO₃ + H₂O → H₂SO₄ 硫酸が生じる
排煙脱硫 CaCO₃ + SO₂ → CaSO₃ + CO₂ SO₂を除去する
確認ポイント
  • NOxがHNO₃につながることを反応式で説明できる
  • SOxがH₂SO₄につながることを反応式で説明できる
  • 排煙脱硫の反応式を説明できる
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11 熱分解の反応式

無機化学では、加熱による分解反応もよく出題されます。
炭酸カルシウムを加熱すると、酸化カルシウムと二酸化炭素が生じます。
炭酸水素ナトリウムを加熱すると、炭酸ナトリウム、二酸化炭素、水が生じます。
硝酸カリウムを加熱すると、亜硝酸カリウムと酸素が生じます。
硝酸鉛(II)を加熱すると、酸化鉛(II)、二酸化窒素、酸素が生じます。
炭酸カルシウムの熱分解
CaCO₃ → CaO + CO₂
石灰石を加熱して生石灰CaOを得ます。
炭酸水素ナトリウムの熱分解
2NaHCO₃ → Na₂CO₃ + CO₂ + H₂O
重曹の加熱でCO₂が発生します。
硝酸カリウムの熱分解
2KNO₃ → 2KNO₂ + O₂
酸素が発生します。
硝酸鉛(II)の熱分解
2Pb(NO₃)₂ → 2PbO + 4NO₂ + O₂
赤褐色のNO₂と酸素が発生します。
熱分解まとめ
物質 反応式 ポイント
CaCO₃ CaCO₃ → CaO + CO₂ CO₂が発生
NaHCO₃ 2NaHCO₃ → Na₂CO₃ + CO₂ + H₂O 重曹の熱分解
KNO₃ 2KNO₃ → 2KNO₂ + O₂ O₂が発生
Pb(NO₃)₂ 2Pb(NO₃)₂ → 2PbO + 4NO₂ + O₂ NO₂とO₂が発生
確認ポイント
  • CaCO₃の熱分解反応を書ける
  • NaHCO₃の熱分解反応を書ける
  • 硝酸塩の熱分解で発生する気体を説明できる
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12 反応式を書くコツ

反応式を書くときは、まず反応物と生成物を正しく決めます。
次に、原子数が左右で等しくなるように係数を合わせます。
イオン反応式では、実際に反応しているイオンだけを書くことが大切です。
酸化還元反応では、電子の数が合うように半反応式を組み合わせます。
複雑な反応式ほど、丸暗記だけでなく、反応の種類から考える習慣をつけると安定します。
反応式を書く手順
手順 内容
1 反応の種類を判断する
2 反応物と生成物を決める
3 化学式を正しく書く
4 係数を合わせる
5 状態・色・気体・沈殿などの情報を確認する
よくあるミス
ミス 対策
電荷を無視する NaSO₄と書く SO₄²⁻にはNa⁺が2個必要なのでNa₂SO₄
係数を忘れる H₂SO₄ + NaOH 硫酸は2価なのでNaOHは2 mol必要
気体を間違える 銅と濃硝酸でNO 濃硝酸では主にNO₂
沈殿色を混同する AgIを白色とする AgIは黄色
条件を見落とす 希硫酸と濃硫酸を同じ扱いにする 濃硫酸は酸化作用・脱水作用が重要
確認ポイント
  • 反応式を書く基本手順を説明できる
  • 電荷のつり合いを意識して化学式を書ける
  • 係数合わせの重要性を理解している
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13 テストでの出題パターン

無機化学の反応式総まとめでは、気体発生、沈殿反応、酸化還元、工業的製法がよく出題されます。
気体発生では、反応式だけでなく、気体の検出法や捕集法も問われます。
沈殿反応では、沈殿の色、過剰NaOHや過剰NH₃水への溶解性が重要です。
酸化還元では、MnO₄⁻、Cr₂O₇²⁻、H₂O₂、Cl₂などの代表反応を押さえましょう。
工業的製法では、ハーバー・ボッシュ法、オストワルト法、接触法を対応させて覚えることが大切です。
例題:酸素の発生反応式を書け。
答え:2H₂O₂ → 2H₂O + O₂
MnO₂を触媒として、過酸化水素水を分解します。
例題:硫酸イオンの検出反応式を書け。
答え:Ba²⁺ + SO₄²⁻ → BaSO₄
白色沈殿のBaSO₄が生じます。
例題:銅と濃硝酸の反応で発生する気体と反応式を答えよ。
答え:NO₂。Cu + 4HNO₃ → Cu(NO₃)₂ + 2NO₂ + 2H₂O
濃硝酸では赤褐色の二酸化窒素NO₂が発生します。
例題:過マンガン酸イオンの酸性条件での半反応式を書け。
答え:MnO₄⁻ + 8H⁺ + 5e⁻ → Mn²⁺ + 4H₂O
酸性条件でMnO₄⁻は酸化剤として働き、Mn²⁺に還元されます。
例題:アンモニアの工業的製法の反応式を書け。
答え:N₂ + 3H₂ ⇄ 2NH₃
ハーバー・ボッシュ法の反応式です。
例題:接触法でSO₂をSO₃にする反応式を書け。
答え:2SO₂ + O₂ ⇄ 2SO₃
V₂O₅触媒を用いてSO₂をSO₃に酸化します。
確認ポイント
  • 気体発生反応を反応式で答えられる
  • 沈殿反応をイオン反応式で答えられる
  • 酸化還元の代表的な半反応式を書ける
  • 金属と酸の反応を区別できる
  • 工業的製法の反応式を整理できる
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