この教材で学ぶこと
到達目標
-
ケイ素の基本的な性質を説明できる
-
二酸化ケイ素 SiO₂ の性質を説明できる
-
ケイ酸塩とガラスの関係を説明できる
-
シリカゲルが乾燥剤として使われる理由を説明できる
-
ケイ素化合物と炭素化合物の違いを意識できる
前提知識
-
周期表の基礎
-
共有結合
-
酸化物
-
結晶の種類
-
無機化合物の基礎
1
ケイ素とは
ケイ素 Si は、周期表の14族に属する元素です。
同じ14族には炭素 C もありますが、ケイ素は炭素とは異なり、単体や酸化物、ケイ酸塩として無機化学で重要です。
ケイ素は地殻中に多く存在し、岩石や鉱物、砂の成分として広く分布しています。
単体のケイ素は半導体として重要で、電子機器や太陽電池にも利用されます。
高校化学では、ケイ素そのものよりも、二酸化ケイ素 SiO₂、ケイ酸塩、ガラス、シリカゲルがよく出題されます。
ケイ素の基本情報
|
項目
|
内容
|
|
元素記号
|
Si
|
|
分類
|
14族元素
|
|
単体の特徴
|
半導体として重要
|
|
自然界での存在
|
酸化物やケイ酸塩として多く存在
|
|
重要な化合物
|
SiO₂、ケイ酸塩、ガラス、シリカゲル
|
確認ポイント
-
ケイ素の元素記号がSiであることを答えられる
-
ケイ素が14族元素であることを説明できる
-
ケイ素が二酸化ケイ素やケイ酸塩として自然界に多く存在することを理解している
↑ 目次へ戻る
2
二酸化ケイ素 SiO₂
二酸化ケイ素 SiO₂ は、石英、水晶、砂の主成分として知られています。
SiO₂ は共有結合が三次元的に広がった構造をもち、非常に硬く、融点が高い物質です。
分子として独立したSiO₂が集まっているのではなく、多数のSiとOが共有結合でつながった巨大な構造をつくっています。
このような物質は共有結合結晶として扱われます。
SiO₂ は水にはほとんど溶けず、酸にも比較的安定ですが、フッ化水素酸 HF とは反応します。
二酸化ケイ素とフッ化水素酸
SiO₂ + 6HF → H₂SiF₆ + 2H₂O
ガラスを腐食する反応として重要です。HFは非常に危険な物質です。
二酸化ケイ素の性質
|
項目
|
内容
|
|
化学式
|
SiO₂
|
|
代表例
|
石英、水晶、砂
|
|
結晶の種類
|
共有結合結晶
|
|
性質
|
硬い、融点が高い、水に溶けにくい
|
|
重要反応
|
フッ化水素酸HFと反応する
|
注意:SiO₂はCO₂のような小さな分子ではなく、共有結合が広がった巨大構造として理解しましょう。
注意:HFはガラスを腐食するため、ガラス容器では保存できません。
確認ポイント
-
SiO₂が二酸化ケイ素であることを答えられる
-
SiO₂が共有結合結晶であることを説明できる
-
HFがガラスを腐食することを説明できる
↑ 目次へ戻る
3
ケイ酸とケイ酸塩
ケイ酸とは、ケイ素、酸素、水素を含む酸の総称として扱われます。
高校化学では、ケイ酸そのものよりも、ケイ酸塩が重要です。
ケイ酸塩は、ケイ酸の水素が金属イオンに置き換わったような物質として考えることができます。
多くの岩石や鉱物はケイ酸塩を主成分としています。
ケイ酸塩では、SiO₄四面体が基本単位として考えられることがあります。
ケイ酸塩のポイント
|
項目
|
内容
|
|
主な構成元素
|
Si、O、金属元素
|
|
基本構造
|
SiO₄四面体が基本単位
|
|
代表例
|
長石、雲母、粘土鉱物など
|
|
自然界での存在
|
岩石や鉱物に多い
|
|
高校化学での扱い
|
ガラス、セメント、陶磁器と関連
|
確認ポイント
-
ケイ酸塩がSiとOを含む無機物質であることを説明できる
-
ケイ酸塩が岩石や鉱物に多いことを理解している
-
SiO₄四面体がケイ酸塩の基本単位として扱われることを知っている
↑ 目次へ戻る
4
ガラス
ガラスは、二酸化ケイ素 SiO₂ を主成分とする物質です。
一般的なソーダ石灰ガラスは、SiO₂に炭酸ナトリウム Na₂CO₃ や炭酸カルシウム CaCO₃ などを加えてつくられます。
ガラスは結晶のように規則正しく並んだ構造ではなく、不規則な構造をもつ非晶質の物質です。
ガラスは透明で加工しやすく、窓ガラス、容器、実験器具などに利用されます。
ただし、フッ化水素酸 HF には腐食されるため、HFの保存にはガラス容器を使いません。
主なガラスの種類
|
種類
|
主な成分
|
特徴
|
|
石英ガラス
|
SiO₂
|
耐熱性が高い
|
|
ソーダ石灰ガラス
|
SiO₂、Na₂O、CaOなど
|
窓ガラスやびんに使われる
|
|
ホウケイ酸ガラス
|
SiO₂、B₂O₃など
|
耐熱ガラスとして利用される
|
注意:ガラスは結晶ではなく、非晶質として扱います。
注意:HFがガラスを腐食することは、実験器具や保存容器の問題で出題されることがあります。
確認ポイント
-
ガラスの主成分がSiO₂であることを答えられる
-
ガラスが非晶質であることを説明できる
-
HFをガラス容器に保存しない理由を説明できる
↑ 目次へ戻る
5
シリカゲル
シリカゲルは、二酸化ケイ素を主成分とする多孔質の物質です。
多孔質とは、内部に小さな穴がたくさんある構造のことです。
シリカゲルは表面積が大きく、水分を吸着しやすいため、乾燥剤として利用されます。
食品や薬品の包装に入っている乾燥剤として身近です。
水分を化学反応で消費するというより、表面に吸着することで乾燥剤としてはたらきます。
シリカゲルの性質
|
項目
|
内容
|
|
主成分
|
SiO₂
|
|
構造
|
多孔質
|
|
性質
|
水分を吸着しやすい
|
|
用途
|
乾燥剤
|
|
ポイント
|
大きな表面積をもつ
|
例題:シリカゲルが乾燥剤として使われる理由を答えよ。
答え:多孔質で表面積が大きく、水分を吸着しやすいため。
シリカゲルは小さな穴が多い構造をもち、表面に水分を吸着しやすいため乾燥剤として使われます。
確認ポイント
-
シリカゲルの主成分を答えられる
-
シリカゲルが多孔質であることを説明できる
-
シリカゲルが乾燥剤として使われる理由を説明できる
↑ 目次へ戻る
6
セメント・陶磁器との関係
ケイ酸塩は、セメントや陶磁器とも関係があります。
セメントは、石灰石や粘土などを焼いてつくられ、水と反応して固まります。
陶磁器は、粘土を成形して高温で焼いたもので、ケイ酸塩を含む無機材料です。
ガラス、セメント、陶磁器はいずれもケイ素を含む無機材料としてまとめて整理できます。
これらは日常生活でも利用されているため、化学と身近な材料をつなぐ単元として重要です。
ケイ素を含む身近な材料
|
材料
|
主な成分・関係
|
用途
|
|
ガラス
|
SiO₂が主成分
|
窓、容器、実験器具
|
|
セメント
|
ケイ酸塩・石灰石などが関係
|
建築材料
|
|
陶磁器
|
粘土・ケイ酸塩が関係
|
食器、タイル、碍子
|
|
シリカゲル
|
SiO₂が主成分
|
乾燥剤
|
確認ポイント
-
ガラス、セメント、陶磁器をケイ素化合物と関連づけられる
-
セメントが建築材料として使われることを理解している
-
陶磁器が粘土やケイ酸塩と関係することを説明できる
↑ 目次へ戻る
7
テストでの出題パターン
ケイ素とケイ酸塩は、SiO₂の性質、ガラス、HFによる腐食、シリカゲル、セメント・陶磁器として出題されやすいです。
特に、ガラスの主成分がSiO₂であること、HFがガラスを腐食すること、シリカゲルが乾燥剤として使われることは頻出です。
また、SiO₂がCO₂とは異なり、巨大な共有結合構造をもつ点も重要です。
無機化学では、金属イオンの色や沈殿だけでなく、材料としての無機物質も問われます。
例題:ガラスの主成分として重要な酸化物は何か。
答え:二酸化ケイ素 SiO₂
一般的なガラスは、SiO₂を主成分としています。
例題:フッ化水素酸をガラス容器に保存しない理由を答えよ。
答え:フッ化水素酸がガラスの主成分であるSiO₂を腐食するため。
HFはSiO₂と反応するため、ガラス容器を腐食します。
例題:シリカゲルが乾燥剤として使われる理由を答えよ。
答え:多孔質で表面積が大きく、水分を吸着しやすいため。
シリカゲルは内部に小さな穴が多く、水分を吸着しやすい構造をもっています。
例題:SiO₂はどのような結晶として扱われるか。
答え:共有結合結晶
SiO₂はSiとOが共有結合で三次元的につながった構造をもつため、共有結合結晶として扱われます。
確認ポイント
-
SiO₂の性質を説明できる
-
HFがガラスを腐食することを説明できる
-
ガラス・シリカゲル・セメント・陶磁器をケイ素化合物と関連づけられる
-
SiO₂とCO₂の構造の違いを意識できる
↑ 目次へ戻る