この教材で学ぶこと
到達目標
-
アルケンの一般式を答えられる
-
炭素間二重結合の特徴を説明できる
-
アルケンの付加反応を説明できる
-
エチレンの反応と利用を理解できる
-
アルケンの重合反応を説明できる
1
アルケンとは
アルケンとは、分子内に炭素原子どうしの二重結合 C=C を1つもつ鎖式炭化水素です。
二重結合をもつため、アルケンは不飽和炭化水素に分類されます。
代表的なアルケンには、エチレン C₂H₄、プロペン C₃H₆ などがあります。
アルケンは二重結合をもつため、アルカンより反応性が高く、付加反応を起こしやすいです。
確認ポイント
-
アルケンが二重結合をもつ炭化水素であることを説明できる
-
アルケンの一般式 CₙH₂ₙ を答えられる
-
アルケンが不飽和炭化水素であることを理解できる
↑ 目次へ戻る
2
代表的なアルケン
最も簡単なアルケンはエチレン C₂H₄ です。
エチレンは植物ホルモンとして果実の成熟にも関係し、工業的にはポリエチレンの原料として重要です。
プロペン C₃H₆ はポリプロピレンの原料になります。
アルケンでは、二重結合の位置も重要になります。
代表的なアルケン
|
名称
|
分子式
|
構造式イメージ
|
特徴
|
|
エチレン
|
C₂H₄
|
CH₂=CH₂
|
最も簡単なアルケン
|
|
プロペン
|
C₃H₆
|
CH₂=CH-CH₃
|
ポリプロピレンの原料
|
|
1-ブテン
|
C₄H₈
|
CH₂=CH-CH₂-CH₃
|
二重結合が端にある
|
|
2-ブテン
|
C₄H₈
|
CH₃-CH=CH-CH₃
|
シス・トランス異性体がある
|
確認ポイント
-
エチレンとプロペンの構造式を答えられる
-
二重結合の位置が構造に影響することを理解できる
↑ 目次へ戻る
3
アルケンの付加反応
アルケンは二重結合をもつため、付加反応を起こしやすいです。
付加反応とは、二重結合が開いて、そこに原子や原子団が結合する反応です。
水素、ハロゲン、ハロゲン化水素、水などが付加することがあります。
アルケンの反応では、C=CがC-Cに変わることを意識すると理解しやすいです。
水素の付加
CH₂=CH₂ + H₂ → CH₃-CH₃
エチレンに水素が付加してエタンになります。
臭素の付加
CH₂=CH₂ + Br₂ → CH₂Br-CH₂Br
臭素水の赤褐色が消える反応として利用されます。
塩化水素の付加
CH₂=CH₂ + HCl → CH₃-CH₂Cl
二重結合にHとClが付加します。
水の付加
CH₂=CH₂ + H₂O → CH₃CH₂OH
エチレンに水が付加するとエタノールができます。
アルケンの代表的な付加反応
|
付加する物質
|
生成物の種類
|
例
|
|
H₂
|
アルカン
|
エチレン → エタン
|
|
Br₂
|
ジハロゲン化物
|
臭素水の脱色
|
|
HCl
|
ハロゲン化アルキル
|
クロロエタンなど
|
|
H₂O
|
アルコール
|
エチレン → エタノール
|
確認ポイント
-
アルケンが付加反応を起こしやすい理由を説明できる
-
臭素水の脱色が不飽和結合の検出に使えることを理解できる
-
エチレンの代表的な付加反応を答えられる
↑ 目次へ戻る
4
臭素水の脱色
アルケンは臭素 Br₂ を付加するため、臭素水の色を消すことがあります。
臭素水は赤褐色をしていますが、アルケンと反応すると臭素が消費され、色が薄くなります。
この反応は、炭素間二重結合や三重結合のような不飽和結合の検出に利用されます。
アルカンは通常、臭素水をすぐには脱色しにくいため、アルケンとの違いを確認できます。
エチレンと臭素
CH₂=CH₂ + Br₂ → CH₂Br-CH₂Br
C=CにBrが付加し、臭素水の色が消えます。
注意:臭素水の脱色は、二重結合や三重結合をもつ不飽和炭化水素の確認で重要です。
確認ポイント
-
アルケンが臭素水を脱色する理由を説明できる
-
臭素の付加反応を書ける
↑ 目次へ戻る
5
アルケンの重合
アルケンは二重結合を開いて、同じ分子どうしが多数つながることがあります。
この反応を付加重合といいます。
エチレンが付加重合するとポリエチレンができます。
プロペンが付加重合するとポリプロピレンができます。
確認ポイント
-
付加重合が二重結合の開裂によって起こることを説明できる
-
エチレンからポリエチレンができることを答えられる
↑ 目次へ戻る
6
シス・トランス異性体
二重結合をもつ化合物では、二重結合のまわりで自由回転しにくいため、シス・トランス異性体が生じることがあります。
同じ側に同じ種類の置換基があるものをシス形、反対側にあるものをトランス形といいます。
2-ブテン CH₃-CH=CH-CH₃ には、シス-2-ブテンとトランス-2-ブテンがあります。
これは構造式だけでなく、分子の立体的な形が関係する例です。
シス・トランス異性体
|
種類
|
特徴
|
例
|
|
シス形
|
同じ置換基が同じ側
|
シス-2-ブテン
|
|
トランス形
|
同じ置換基が反対側
|
トランス-2-ブテン
|
注意:シス・トランス異性体は、二重結合のまわりで回転しにくいことが原因です。
注意:すべてのアルケンで必ず生じるわけではありません。
確認ポイント
-
二重結合が自由回転しにくいことを説明できる
-
シス形とトランス形の違いを説明できる
↑ 目次へ戻る
7
アルケンの例題
アルケンの問題では、一般式、付加反応、臭素水の脱色、重合がよく出ます。
C=Cの存在を見つけたら、付加反応を起こしやすいと考えましょう。
例題:炭素数4の鎖式アルケンの分子式を答えなさい。
答え:C₄H₈
アルケンの一般式はCₙH₂ₙです。n=4を代入するとC₄H₈になります。
例題:エチレンに水素を付加すると何ができるか。
答え:エタン
CH₂=CH₂にH₂が付加すると、CH₃-CH₃になります。
例題:エチレンを付加重合してできる高分子は何か。
答え:ポリエチレン
エチレンの二重結合が開いて多数つながると、ポリエチレンになります。
確認ポイント
-
アルケンの一般式を使える
-
付加反応の生成物を判断できる
-
アルケンの重合を説明できる
↑ 目次へ戻る