有機化学 / fat_soap_surfactant

油脂・セッケン・界面活性剤

油脂、高級脂肪酸、グリセリン、けん化、セッケン、界面活性剤、親水基・疎水基、ミセル、硬水との関係をまとめた教材です。
難易度:標準 目安:45分
# 有機化学 # 油脂 # セッケン # 界面活性剤 # けん化

この教材で学ぶこと

到達目標

  • 油脂がエステルの一種であることを説明できる
  • 高級脂肪酸とグリセリンの関係を説明できる
  • けん化の反応を説明できる
  • セッケンの構造と洗浄作用を説明できる
  • 界面活性剤の親水基・疎水基を説明できる

前提知識

  • エステル
  • カルボン酸
  • 加水分解
  • 酸・塩基
  • イオン
目次

1 油脂とは

油脂は、高級脂肪酸とグリセリンからできたエステルです。
グリセリンは3つのヒドロキシ基 -OH をもつアルコールです。
高級脂肪酸は、炭素数の多いカルボン酸です。
グリセリン1分子に高級脂肪酸3分子がエステル結合したものを、トリグリセリドといいます。
油脂は食用油、動物性脂肪、植物油などとして身近に存在します。
油脂の構成
成分 特徴
グリセリン 3価アルコール。3つの-OHをもつ
高級脂肪酸 炭素数の多いカルボン酸
油脂 グリセリンと高級脂肪酸からできたエステル
トリグリセリド グリセリン1分子に脂肪酸3分子が結合したもの
確認ポイント
  • 油脂がエステルの一種であることを説明できる
  • 油脂が高級脂肪酸とグリセリンからできることを説明できる
  • トリグリセリドの意味を説明できる
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2 高級脂肪酸

高級脂肪酸は、炭素数の多いカルボン酸です。
飽和脂肪酸は、炭素鎖にC=C二重結合をもたない脂肪酸です。
不飽和脂肪酸は、炭素鎖にC=C二重結合をもつ脂肪酸です。
ステアリン酸やパルミチン酸は飽和脂肪酸の代表例です。
オレイン酸やリノール酸は不飽和脂肪酸の代表例です。
代表的な高級脂肪酸
名称 分類 特徴
パルミチン酸 飽和脂肪酸 C=Cをもたない
ステアリン酸 飽和脂肪酸 C=Cをもたない
オレイン酸 不飽和脂肪酸 C=Cを1つもつ
リノール酸 不飽和脂肪酸 C=Cを複数もつ
確認ポイント
  • 高級脂肪酸の意味を説明できる
  • 飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸を区別できる
  • 代表的な脂肪酸の名前を知っている
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3 けん化

油脂を水酸化ナトリウムなどの強塩基で加水分解する反応をけん化といいます。
けん化では、高級脂肪酸ナトリウムとグリセリンが生じます。
高級脂肪酸ナトリウムはセッケンの主成分です。
つまり、けん化はセッケンの製造と関係する反応です。
エステルの塩基性加水分解の一種として整理すると分かりやすいです。
けん化の一般的なイメージ
油脂 + 3NaOH → グリセリン + 高級脂肪酸ナトリウム
油脂のエステル結合が切れ、セッケン成分が生じます。
高級脂肪酸ナトリウムの生成
RCOOR' + NaOH → RCOONa + R'OH
エステルの塩基性加水分解として見ることができます。
けん化のポイント
項目 内容
反応の種類 エステルの塩基性加水分解
反応物 油脂 + NaOH
生成物 高級脂肪酸ナトリウム + グリセリン
関係 セッケンの製造
重要語 けん化価、セッケン
確認ポイント
  • けん化の意味を説明できる
  • けん化で高級脂肪酸ナトリウムとグリセリンができることを説明できる
  • けん化がエステルの加水分解であることを説明できる
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4 セッケンの構造

セッケンは、高級脂肪酸のナトリウム塩やカリウム塩です。
セッケン分子には、水になじみやすい親水基と、油になじみやすい疎水基があります。
親水基はイオン性の部分で、水に引き寄せられます。
疎水基は長い炭化水素鎖で、油汚れになじみやすいです。
この2つの性質をあわせもつため、セッケンは水と油の間を取り持つことができます。
セッケン分子の構造
部分 性質 役割
親水基 -COO⁻ Na⁺ など 水になじむ
疎水基 長い炭化水素鎖 油になじむ
全体 両方をもつ 油汚れを水中に分散させる
確認ポイント
  • セッケンが高級脂肪酸塩であることを説明できる
  • 親水基と疎水基を説明できる
  • セッケンが油汚れを落とせる理由を説明できる
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5 ミセルと洗浄作用

セッケンや界面活性剤は、水中でミセルをつくることがあります。
ミセルでは、疎水基が内側を向き、親水基が外側を向きます。
油汚れは疎水基に取り囲まれ、水中に分散されます。
その結果、油汚れを水で洗い流しやすくなります。
このしくみが、セッケンや洗剤の洗浄作用の基本です。
ミセルのしくみ
部分 向き 役割
疎水基 内側 油汚れを取り囲む
親水基 外側 水となじむ
油汚れ ミセル内部 水中に分散される
確認ポイント
  • ミセルの構造を説明できる
  • 疎水基が油汚れになじむことを説明できる
  • セッケンの洗浄作用を説明できる
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6 硬水とセッケン

硬水には、カルシウムイオン Ca²⁺ やマグネシウムイオン Mg²⁺ が多く含まれます。
セッケンは、Ca²⁺やMg²⁺と反応して水に溶けにくい塩をつくることがあります。
そのため、硬水中ではセッケンの泡立ちが悪くなります。
合成洗剤は硬水中でも比較的洗浄力を保ちやすいものがあります。
水の硬度とセッケンの性質は、生活と化学がつながる重要な例です。
セッケンとカルシウムイオン
2RCOO⁻ + Ca²⁺ → (RCOO)₂Ca
水に溶けにくいカルシウム塩が生じます。
硬水と軟水
水の種類 特徴 セッケンとの関係
硬水 Ca²⁺やMg²⁺を多く含む 泡立ちにくい
軟水 Ca²⁺やMg²⁺が少ない 泡立ちやすい
確認ポイント
  • 硬水でセッケンが泡立ちにくい理由を説明できる
  • Ca²⁺やMg²⁺がセッケンと反応することを説明できる
  • 硬水と軟水を区別できる
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7 界面活性剤

界面活性剤は、水と油のように混ざりにくい物質の境界で働く物質です。
セッケンも界面活性剤の一種です。
界面活性剤は、親水基と疎水基をもつため、水と油の両方に関わることができます。
合成洗剤には、さまざまな種類の界面活性剤が使われます。
界面活性剤は洗浄だけでなく、乳化、分散、起泡などにも関係します。
界面活性剤の働き
働き 内容
洗浄 油汚れを水中に分散させる
乳化 油と水を細かく混ぜる
分散 粒子を均一に散らす
起泡 泡をつくる
湿潤 水を表面に広がりやすくする
確認ポイント
  • 界面活性剤の意味を説明できる
  • セッケンが界面活性剤の一種であることを説明できる
  • 親水基と疎水基が界面活性剤の働きに関係することを説明できる
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8 テストでの出題パターン

油脂・セッケン・界面活性剤では、油脂の構造、けん化、セッケンの洗浄作用、硬水との反応がよく出題されます。
油脂は高級脂肪酸とグリセリンからできたエステルです。
けん化では、高級脂肪酸塩とグリセリンが生じます。
セッケンは親水基と疎水基をもち、ミセルをつくって油汚れを水中に分散させます。
硬水中ではCa²⁺やMg²⁺と反応して水に溶けにくい塩をつくるため、泡立ちが悪くなります。
例題:油脂は何と何からできたエステルか。
答え:高級脂肪酸とグリセリン
グリセリン1分子に高級脂肪酸3分子がエステル結合したものが油脂です。
例題:油脂の塩基性加水分解を何というか。
答え:けん化
高級脂肪酸塩とグリセリンが生じます。
例題:セッケン分子で水になじむ部分を何というか。
答え:親水基
油になじむ部分は疎水基です。
例題:硬水中でセッケンの泡立ちが悪くなる理由を答えよ。
答え:Ca²⁺やMg²⁺と反応して水に溶けにくい塩をつくるため。
セッケン成分が消費され、洗浄力が下がります。
確認ポイント
  • 油脂の構造を説明できる
  • けん化を説明できる
  • セッケンの親水基・疎水基を説明できる
  • ミセルと洗浄作用を説明できる
  • 硬水とセッケンの関係を説明できる
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