この教材で学ぶこと
到達目標
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電離平衡とは何かを説明できる
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弱酸・弱塩基で平衡を考える理由を理解できる
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電離度の意味を説明できる
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電離定数 Ka・Kb の基本的な意味を理解できる
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濃度・電離度・pHの関係を大まかに説明できる
前提知識
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pH
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酸・塩基
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モル濃度
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化学平衡の基礎
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強酸・弱酸、強塩基・弱塩基
1
電離平衡とは
電離平衡とは、弱酸や弱塩基が水溶液中で一部だけ電離し、電離する反応と元に戻る反応がつり合った状態です。
強酸や強塩基は、基本的にほぼ完全に電離すると考えます。
一方、弱酸や弱塩基は一部だけ電離するため、平衡として扱います。
たとえば、酢酸 CH₃COOH は水溶液中で一部だけ H⁺ と CH₃COO⁻ に分かれます。
酢酸の電離平衡
CH₃COOH ⇄ CH₃COO⁻ + H⁺
酢酸は弱酸なので、一部だけ電離して平衡になります。
アンモニアの電離平衡
NH₃ + H₂O ⇄ NH₄⁺ + OH⁻
アンモニアは弱塩基なので、水と反応して一部だけOH⁻を生じます。
確認ポイント
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電離平衡が弱酸・弱塩基で重要になることを説明できる
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強酸と弱酸の扱いの違いを理解できる
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酢酸の電離式を書ける
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2
強酸と弱酸の違い
強酸は、水溶液中でほぼ完全に電離します。
弱酸は、一部だけ電離して平衡状態になります。
同じ濃度の酸でも、強酸の方がH⁺濃度が大きくなりやすく、pHは小さくなりやすいです。
弱酸では、もとの酸分子が多く残っている点が重要です。
強酸と弱酸の比較
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分類
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電離の程度
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例
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pHの傾向
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強酸
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ほぼ完全に電離
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HCl、HNO₃
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同濃度なら小さくなりやすい
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弱酸
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一部だけ電離
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CH₃COOH、H₂CO₃
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同濃度なら強酸より大きくなりやすい
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注意:弱酸は濃度が高くても、すべてがH⁺を出すわけではありません。
注意:このため、弱酸のpHを考えるには電離度や電離定数が関係します。
確認ポイント
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強酸と弱酸の違いを電離の程度で説明できる
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弱酸では未電離の分子が残ることを理解できる
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3
電離度
電離度とは、溶かした酸や塩基のうち、どれくらいの割合が電離したかを表す値です。
電離度はふつう α で表します。
たとえば、電離度 α = 0.01 なら、全体の1%が電離したという意味です。
強酸では電離度が1に近く、弱酸では電離度が小さい値になります。
電離度のイメージ
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電離度
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意味
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α = 1
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ほぼ100%電離
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α = 0.1
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10%電離
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α = 0.01
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1%電離
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αが小さい
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電離しにくい弱酸・弱塩基
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例題:0.10 mol の酢酸のうち 0.0010 mol が電離した。電離度はいくらか。
答え:0.010
0.0010 ÷ 0.10 = 0.010 です。これは1.0%が電離したことを表します。
確認ポイント
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電離度の意味を説明できる
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電離度を割合として理解できる
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強酸では電離度が大きく、弱酸では小さいことを理解できる
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4
弱酸の電離とH⁺濃度
弱酸 HA が濃度 c mol/L で、電離度を α とすると、電離して生じる H⁺ 濃度はおよそ cα で表せます。
これは、全体のうち α の割合だけが電離してH⁺を出すと考えるためです。
強酸ではほぼすべてが電離するので、H⁺濃度は酸の濃度に近くなります。
弱酸では一部だけ電離するため、H⁺濃度は酸の濃度より小さくなります。
例題:0.10 mol/L の弱酸 HA の電離度が0.010のとき、[H⁺]はおよそ何 mol/L か。
答え:1.0×10⁻³ mol/L
[H⁺] ≒ cα = 0.10×0.010 = 0.0010 = 1.0×10⁻³ mol/L です。
確認ポイント
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弱酸のH⁺濃度をcαで考えられる
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弱酸では酸の濃度よりH⁺濃度が小さくなることを理解できる
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5
電離定数 Ka
弱酸の電離のしやすさを表す値として、酸の電離定数 Ka があります。
弱酸 HA の電離を HA ⇄ H⁺ + A⁻ とすると、Kaは平衡状態での濃度から決まります。
Kaが大きいほど電離しやすく、酸として強い傾向があります。
Kaが小さいほど電離しにくく、弱い酸として扱われます。
Kaの見方
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Ka
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意味
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大きい
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電離しやすい、酸性が強い傾向
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小さい
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電離しにくい、弱い酸
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注意:高校化学では、Kaを使った厳密な計算よりも、Kaが酸の強さを表すことをまず理解しましょう。
注意:pKaという値を使うこともありますが、ChemStudyではあとで発展教材として扱えます。
確認ポイント
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Kaが酸の電離しやすさを表すことを理解できる
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Kaが大きいほど酸が強い傾向があることを説明できる
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6
弱塩基の電離とKb
弱塩基では、塩基が水と反応して一部だけOH⁻を生じます。
代表例はアンモニア NH₃ です。
アンモニアは水と反応して NH₄⁺ と OH⁻ を生じますが、完全には反応しません。
弱塩基の電離のしやすさは、塩基の電離定数 Kb で表すことがあります。
アンモニアの電離
NH₃ + H₂O ⇄ NH₄⁺ + OH⁻
アンモニアは弱塩基なので、一部だけOH⁻を生じます。
確認ポイント
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弱塩基が一部だけOH⁻を生じることを説明できる
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アンモニアの電離式を書ける
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Kbが弱塩基の電離しやすさを表すことを理解できる
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7
平衡の移動と電離
電離平衡では、条件を変えると平衡の位置が変わることがあります。
たとえば、弱酸の水溶液に共通イオンを加えると、電離が抑えられることがあります。
酢酸水溶液に酢酸ナトリウムを加えると、CH₃COO⁻ が増えるため、酢酸の電離が抑えられます。
このような考え方は、緩衝液の理解にもつながります。
酢酸の電離
CH₃COOH ⇄ CH₃COO⁻ + H⁺
CH₃COO⁻を加えると、平衡は左に移動しやすくなります。
注意:共通イオン効果や緩衝液は発展内容ですが、電離平衡の応用として重要です。
注意:まずは、平衡は条件によって左右に移動するというイメージを持ちましょう。
確認ポイント
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電離平衡が条件によって移動することを理解できる
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共通イオンを加えると電離が抑えられる場合があることを知る
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8
電離平衡の例題
電離平衡の問題では、強酸・弱酸の区別、電離度、KaやKbの意味がよく問われます。
計算に入る前に、完全に電離するのか、一部だけ電離するのかを判断しましょう。
例題:酢酸 CH₃COOH は強酸か弱酸か。
答え:弱酸
酢酸は水溶液中で一部だけ電離する弱酸です。
例題:電離度 α は何を表す値か。
答え:溶かした物質のうち、どれくらいの割合が電離したかを表す値。
電離度は、電離した物質量を溶かした物質量で割った値です。
例題:Kaが大きい酸は、一般に電離しやすいか、しにくいか。
答え:電離しやすい
Kaが大きいほど、弱酸HAがH⁺とA⁻に分かれやすい傾向があります。
例題:アンモニア NH₃ が塩基性を示す反応式を書きなさい。
答え:NH₃ + H₂O ⇄ NH₄⁺ + OH⁻
アンモニアは水からH⁺を受け取り、OH⁻を生じるため塩基性を示します。
確認ポイント
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強酸・弱酸、強塩基・弱塩基を判断できる
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電離度の意味を説明できる
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Ka・Kbの基本的な意味を理解できる
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電離平衡を反応式で表せる
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