理論化学 / ionization_ph_calculation

電離平衡・pH計算まとめ

強酸・強塩基・弱酸・弱塩基の電離と、pH計算、電離定数Ka・Kbの基本を高校化学の範囲で整理する教材です。
難易度:標準 目安:50分
# 理論化学 # 酸塩基 # pH # 電離平衡 # Ka # Kb # 弱酸 # 弱塩基

この教材で学ぶこと

到達目標

  • pHの意味を説明できる
  • 強酸・強塩基のpHを計算できる
  • 弱酸・弱塩基の電離平衡を理解できる
  • 電離定数Ka・Kbの意味を説明できる
  • 弱酸の近似計算の考え方を理解できる
  • pH計算でよく使う公式を整理できる

前提知識

  • 酸・塩基
  • モル濃度
  • 電離
  • 化学平衡
  • 常用対数の基礎
目次

1 pHとは

pHは、水溶液中の水素イオン濃度を表す指標です。
水素イオン濃度が大きいほど酸性が強く、pHは小さくなります。
水素イオン濃度が小さいほど酸性は弱くなり、塩基性ではpHが大きくなります。
高校化学では、pH = -log[H⁺] という式を使って計算します。
25℃の中性の水では、[H⁺] = 1.0×10⁻⁷ mol/L なので、pHは7です。
pHの定義
pH = -log[H⁺]
[H⁺]は水素イオン濃度です。
pHの目安
pH 性質
pH < 7 酸性
pH = 7 中性
pH > 7 塩基性
確認ポイント
  • pHが水素イオン濃度を表す指標であることを説明できる
  • 酸性・中性・塩基性をpHで判断できる
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2 強酸のpH

強酸は、水中でほぼ完全に電離する酸です。
代表例には、塩酸 HCl、硝酸 HNO₃、過塩素酸 HClO₄ などがあります。
一価の強酸では、酸のモル濃度がそのまま水素イオン濃度になります。
たとえば、0.010 mol/L のHClでは、[H⁺] = 0.010 = 1.0×10⁻² mol/L です。
したがって、pH = 2 になります。
一価の強酸
[H⁺] = 酸の濃度
HClのように1個のH⁺を出す強酸で使えます。
例題:0.0010 mol/L のHCl水溶液のpHを求めなさい。
答え:pH = 3
HClは強酸なので、[H⁺] = 1.0×10⁻³ mol/L。よってpH = 3です。
確認ポイント
  • 強酸がほぼ完全に電離することを説明できる
  • 一価の強酸の濃度からpHを求められる
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3 強塩基のpH

強塩基は、水中でほぼ完全に電離する塩基です。
代表例には、水酸化ナトリウム NaOH、水酸化カリウム KOH、水酸化バリウム Ba(OH)₂ などがあります。
強塩基では、まず水酸化物イオン濃度 [OH⁻] を求めます。
25℃では、pH + pOH = 14 という関係を使えます。
pOH = -log[OH⁻] を求めてから、pH = 14 - pOH と計算します。
pOHとpH
pOH = -log[OH⁻]、pH + pOH = 14
25℃の水溶液でよく使う関係です。
例題:0.010 mol/L のNaOH水溶液のpHを求めなさい。
答え:pH = 12
NaOHは強塩基なので、[OH⁻] = 1.0×10⁻²。pOH = 2、pH = 14 - 2 = 12です。
確認ポイント
  • 強塩基ではまず[OH⁻]を求めることを理解できる
  • pH + pOH = 14 を使える
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4 水のイオン積

水はわずかに電離して、H⁺とOH⁻を生じます。
25℃では、水素イオン濃度と水酸化物イオン濃度の積は 1.0×10⁻¹⁴ になります。
この値を水のイオン積といい、Kwで表します。
式で表すと、Kw = [H⁺][OH⁻] = 1.0×10⁻¹⁴ です。
この関係から、[H⁺]と[OH⁻]の一方が分かれば、もう一方を求めることができます。
水のイオン積
Kw = [H⁺][OH⁻] = 1.0×10⁻¹⁴
25℃で使う基本式です。
例題:25℃で[OH⁻] = 1.0×10⁻³ mol/L のとき、[H⁺]はいくらか。
答え:1.0×10⁻¹¹ mol/L
[H⁺] = 1.0×10⁻¹⁴ / 1.0×10⁻³ = 1.0×10⁻¹¹ です。
確認ポイント
  • 水のイオン積Kwを説明できる
  • [H⁺]と[OH⁻]の関係を使える
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5 弱酸の電離平衡

弱酸は、水中で一部だけが電離する酸です。
代表例には、酢酸 CH₃COOH、炭酸 H₂CO₃、硫化水素 H₂S などがあります。
弱酸HAは、水中で HA ⇄ H⁺ + A⁻ のように電離します。
この反応は平衡になるため、電離定数Kaを使って考えます。
弱酸では、酸の濃度がそのまま[H⁺]になるわけではない点に注意します。
弱酸の電離
HA ⇄ H⁺ + A⁻
一部だけが電離して平衡になります。
酸の電離定数
Ka = [H⁺][A⁻] / [HA]
弱酸の電離しやすさを表します。
確認ポイント
  • 弱酸が一部だけ電離することを説明できる
  • Kaの式を書ける
  • 弱酸では濃度がそのまま[H⁺]にならないことを理解できる
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6 弱酸の近似計算

弱酸のpH計算では、近似を使うことがあります。
濃度Cの弱酸HAがあり、電離して生じる[H⁺]をxとします。
このとき、[H⁺] = x、[A⁻] = x、[HA] = C - x と考えます。
弱酸では電離が小さいため、C - x ≒ C と近似できることがあります。
すると、Ka = x² / C となり、x = √(KaC) と求められます。
弱酸の近似式
[H⁺] ≒ √(KaC)
Cは弱酸の初濃度です。電離が小さいときに使います。
例題:濃度C、電離定数Kaの一価弱酸HAで、電離が小さいとき[H⁺]はどう表せるか。
答え:[H⁺] ≒ √(KaC)
Ka = x²/(C-x) で、C-x ≒ C とすると x = √(KaC) です。
確認ポイント
  • 弱酸の平衡表を作れる
  • C-x≒Cの近似の意味を理解できる
  • [H⁺]≒√(KaC)を使える
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7 弱塩基の電離平衡

弱塩基は、水中で一部だけが電離または反応してOH⁻を生じる塩基です。
代表例はアンモニア NH₃ です。
アンモニアは水と反応して、NH₄⁺とOH⁻を生じます。
反応式は NH₃ + H₂O ⇄ NH₄⁺ + OH⁻ です。
弱塩基では、塩基の電離定数Kbを使って[OH⁻]を求めます。
アンモニアの電離平衡
NH₃ + H₂O ⇄ NH₄⁺ + OH⁻
NH₃は水からH⁺を受け取り、OH⁻を生じます。
塩基の電離定数
Kb = [NH₄⁺][OH⁻] / [NH₃]
弱塩基の塩基としての強さを表します。
確認ポイント
  • 弱塩基が一部だけOH⁻を生じることを説明できる
  • NH₃の電離平衡式を書ける
  • Kbの式を理解できる
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8 pH計算の解き方の型

pH計算では、まず強酸・強塩基・弱酸・弱塩基のどれかを判断します。
強酸なら、酸の濃度から[H⁺]を直接求めます。
強塩基なら、[OH⁻]を求めてpOHを出し、pH = 14 - pOH を使います。
弱酸なら、Kaを使って[H⁺]を求めます。
弱塩基なら、Kbを使って[OH⁻]を求め、その後pHに変換します。
pH計算の判断
種類 最初に求めるもの 使う式
強酸 [H⁺] pH = -log[H⁺]
強塩基 [OH⁻] pOH = -log[OH⁻]、pH=14-pOH
弱酸 [H⁺] [H⁺]≒√(KaC)
弱塩基 [OH⁻] [OH⁻]≒√(KbC)
確認ポイント
  • 酸・塩基の種類に応じて計算方法を選べる
  • 強酸・強塩基と弱酸・弱塩基の違いを計算に反映できる
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9 電離平衡・pH計算まとめ例題

pH計算では、強酸・強塩基なら完全電離、弱酸・弱塩基なら電離平衡として考えます。
また、pHとpOH、水のイオン積の関係を整理しておきましょう。
例題:0.010 mol/L のHCl水溶液のpHを求めなさい。
答え:2
HClは強酸なので、[H⁺] = 1.0×10⁻²。よってpH=2です。
例題:0.0010 mol/L のNaOH水溶液のpHを求めなさい。
答え:11
[OH⁻] = 1.0×10⁻³ なのでpOH=3、pH=14-3=11です。
例題:25℃でpH + pOH はいくらか。
答え:14
25℃では水のイオン積から pH + pOH = 14 となります。
例題:弱酸HAの電離定数Kaの式を書きなさい。
答え:Ka = [H⁺][A⁻] / [HA]
HA ⇄ H⁺ + A⁻ の平衡定数です。
確認ポイント
  • 強酸・強塩基のpHを計算できる
  • 弱酸・弱塩基の電離平衡を説明できる
  • Ka・Kb・Kwの基本式を使える
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