無機化学 / acid_base

酸・塩基

酸と塩基の基本、強酸・弱酸、強塩基・弱塩基、中和反応、塩の性質をまとめた教材です。
難易度:基礎 目安:30分
# 無機化学 # 酸 # 塩基 # 中和 # pH # 塩

この教材で学ぶこと

到達目標

  • 酸と塩基の定義を説明できる
  • 代表的な酸・塩基を分類できる
  • 中和反応の考え方を説明できる
  • 塩の液性を判断する基本を理解できる
  • 酸・塩基と無機化学の反応を関連づけられる

前提知識

  • イオンの基本
  • 水素イオン H⁺
  • 水酸化物イオン OH⁻
  • 化学反応式の基礎
目次

1 酸と塩基とは

酸とは、水溶液中で水素イオン H⁺ を生じる物質です。
塩基とは、水溶液中で水酸化物イオン OH⁻ を生じる物質、または H⁺ を受け取る物質です。
高校化学では、まず酸は H⁺、塩基は OH⁻ や H⁺ の受け取りと結びつけて理解するとよいです。
酸・塩基は、無機化学の気体発生、沈殿反応、中和反応、塩の性質など多くの単元に関係します。
酸の基本
酸 → H⁺ を生じる
例:HCl → H⁺ + Cl⁻
塩基の基本
塩基 → OH⁻ を生じる、または H⁺ を受け取る
例:NaOH → Na⁺ + OH⁻
確認ポイント
  • 酸がH⁺と関係することを説明できる
  • 塩基がOH⁻やH⁺の受け取りと関係することを説明できる
  • 酸・塩基が無機化学の多くの反応に関係することを理解できる
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2 代表的な酸

酸には、塩酸、硫酸、硝酸、酢酸、炭酸などがあります。
強酸は水溶液中でほぼ完全に電離し、弱酸は一部だけ電離します。
無機化学では、塩酸・硫酸・硝酸の性質を区別することが重要です。
特に硝酸や熱濃硫酸は、単なる酸ではなく酸化作用も示す点に注意します。
代表的な酸
化学式 強弱 特徴
塩酸 HCl 強酸 塩化物イオン Cl⁻ を含む
硫酸 H₂SO₄ 強酸 濃硫酸は脱水作用・酸化作用をもつ
硝酸 HNO₃ 強酸 酸化作用をもつ
酢酸 CH₃COOH 弱酸 有機酸の代表
炭酸 H₂CO₃ 弱酸 CO₂が水に溶けて生じる
注意:HCl、H₂SO₄、HNO₃ は代表的な強酸として覚えましょう。
注意:硝酸と熱濃硫酸は酸化剤として働くことがあります。
確認ポイント
  • 代表的な強酸を答えられる
  • 硝酸や濃硫酸が酸化作用をもつことを説明できる
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3 代表的な塩基

塩基には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、アンモニアなどがあります。
強塩基は水溶液中で水酸化物イオン OH⁻ を多く生じます。
アンモニアは分子中に OH⁻ を含みませんが、水と反応して OH⁻ を生じるため塩基性を示します。
無機化学では、NaOH水溶液やアンモニア水が沈殿反応や錯イオン形成でよく使われます。
アンモニアが塩基性を示す反応
NH₃ + H₂O ⇄ NH₄⁺ + OH⁻
アンモニアは水と反応してOH⁻を生じるため、塩基性を示します。
代表的な塩基
塩基 化学式 強弱 特徴
水酸化ナトリウム NaOH 強塩基 水によく溶け、強い塩基性
水酸化カリウム KOH 強塩基 水によく溶ける
水酸化カルシウム Ca(OH)₂ 強塩基 石灰水としてCO₂の確認に利用
アンモニア NH₃ 弱塩基 水に溶けて塩基性を示す
確認ポイント
  • 代表的な強塩基を答えられる
  • アンモニアが弱塩基である理由を説明できる
  • NaOH水溶液とNH₃水の使い分けを意識できる
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4 中和反応

酸と塩基が反応して、水と塩を生じる反応を中和反応といいます。
中和反応の本質は、水素イオン H⁺ と水酸化物イオン OH⁻ が反応して水 H₂O をつくることです。
中和では、酸や塩基の種類によってできる塩が変わります。
計算問題では、H⁺ と OH⁻ の物質量が等しくなる点を使います。
中和の本質
H⁺ + OH⁻ → H₂O
酸由来のH⁺と塩基由来のOH⁻が反応します。
塩酸と水酸化ナトリウム
HCl + NaOH → NaCl + H₂O
強酸と強塩基の中和反応です。
硫酸と水酸化ナトリウム
H₂SO₄ + 2NaOH → Na₂SO₄ + 2H₂O
硫酸1分子はH⁺を2個出せるため、NaOHが2倍必要です。
アンモニアと塩酸
NH₃ + HCl → NH₄Cl
アンモニアはH⁺を受け取ってNH₄⁺になります。
例題:塩酸と水酸化ナトリウム水溶液の中和反応でできる塩は何か。
答え:塩化ナトリウム NaCl
HClとNaOHが反応して、NaClとH₂Oが生じます。
例題:H₂SO₄ 1 molを完全に中和するにはNaOHが何mol必要か。
答え:2 mol
H₂SO₄は1分子あたりH⁺を2個出せるため、NaOHは2 mol必要です。
確認ポイント
  • 中和反応の本質をH⁺ + OH⁻ → H₂Oで説明できる
  • 酸の価数に応じて必要な塩基の量が変わることを理解できる
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5 塩の性質

酸と塩基の中和でできる物質を塩といいます。
塩は、もとの酸と塩基の強弱によって、水溶液の液性が変わることがあります。
強酸と強塩基からできた塩は中性になりやすいです。
強酸と弱塩基からできた塩は酸性、弱酸と強塩基からできた塩は塩基性になりやすいです。
塩の水溶液の液性
もとの酸 もとの塩基 水溶液の液性
強酸 強塩基 NaCl 中性
強酸 弱塩基 NH₄Cl 酸性
弱酸 強塩基 CH₃COONa 塩基性
弱酸 弱塩基 CH₃COONH₄ 条件による
注意:塩の液性は理論化学でも扱いますが、無機化学でもアンモニウム塩や炭酸塩の性質と関係します。
確認ポイント
  • 塩が酸と塩基の中和でできることを説明できる
  • 代表的な塩の液性を判断できる
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6 無機化学での酸・塩基の使われ方

酸・塩基は、無機化学の多くの反応で試薬として登場します。
塩酸は気体発生や塩化物沈殿、硫酸は硫酸塩や濃硫酸の性質、硝酸は酸化作用で重要です。
NaOH水溶液は水酸化物沈殿、過剰NaOHは両性水酸化物の溶解に関係します。
NH₃水は水酸化物沈殿だけでなく、錯イオン形成にも関係します。
無機化学でよく出る酸・塩基試薬
試薬 主な使われ方
HCl 気体発生・塩化物沈殿 CaCO₃ + HClでCO₂、AgCl沈殿
H₂SO₄ 強酸・濃硫酸の性質 脱水作用、熱濃硫酸の酸化作用
HNO₃ 強酸・酸化剤 Cuと反応してNO₂やNOを発生
NaOH 水酸化物沈殿 Fe(OH)₃、Cu(OH)₂など
過剰NaOH 両性水酸化物の溶解 Al(OH)₃、Zn(OH)₂
NH₃水 沈殿・錯イオン形成 Cu²⁺で深青色
例題:Al(OH)₃が過剰NaOH水溶液に溶けるのはなぜか。
答え:両性水酸化物であり、OH⁻と反応して錯イオンをつくるから。
Al(OH)₃は酸にも強塩基にも溶ける両性水酸化物です。過剰OH⁻により[Al(OH)₄]⁻をつくります。
例題:Cu²⁺にNH₃水を過剰に加えたときの変化を答えなさい。
答え:深青色溶液になる。
Cu²⁺がNH₃と錯イオン[Cu(NH₃)₄]²⁺をつくるためです。
確認ポイント
  • 酸・塩基試薬が無機化学のどの反応に使われるか整理できる
  • NaOH水溶液とNH₃水の違いを反応から説明できる
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