有機化学 / fat_oil

油脂

グリセリンと高級脂肪酸からできる油脂について、構造、けん化、石けん、不飽和脂肪酸をまとめた教材です。
難易度:標準 目安:40分
# 有機化学 # 油脂 # エステル # グリセリン # 脂肪酸 # けん化 # 石けん

この教材で学ぶこと

到達目標

  • 油脂がエステルの一種であることを説明できる
  • グリセリンと高級脂肪酸の関係を理解できる
  • 油脂のけん化を説明できる
  • 石けんの構造と洗浄作用を理解できる
  • 飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸を区別できる

前提知識

  • カルボン酸とエステル
  • アルコール
  • エステルの加水分解
  • 高分子化合物
  • 酸・塩基
目次

1 油脂とは

油脂は、グリセリンと高級脂肪酸がエステル結合で結びついた化合物です。
グリセリンはヒドロキシ基を3個もつアルコールです。
高級脂肪酸は、炭素数の多いカルボン酸です。
油脂はエステルの一種であり、加水分解やけん化といった反応を示します。
グリセリン
CH₂OH-CHOH-CH₂OH
ヒドロキシ基を3個もつ三価アルコールです。
高級脂肪酸の一般式
R-COOH
Rが長い炭化水素鎖であるカルボン酸です。
油脂のイメージ
グリセリン + 高級脂肪酸3分子 → 油脂 + 水3分子
グリセリンの3つの-OHと脂肪酸の-COOHがエステル結合をつくります。
確認ポイント
  • 油脂がエステルの一種であることを説明できる
  • グリセリンが三価アルコールであることを理解できる
  • 高級脂肪酸が炭素数の多いカルボン酸であることを説明できる
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2 油脂の構造

油脂は、グリセリン1分子に高級脂肪酸3分子が結合した構造をもちます。
このような油脂をトリグリセリド、またはトリアシルグリセロールと呼ぶことがあります。
油脂の中にはエステル結合 -COO- が3つあります。
どの脂肪酸が結合しているかによって、油脂の融点や性質が変わります。
油脂の構造イメージ
CH₂-OCO-R / CH-OCO-R' / CH₂-OCO-R''
グリセリン骨格に脂肪酸由来の部分が3つエステル結合しています。
エステル結合
-COO-
油脂の中に含まれる重要な結合です。
油脂の構造のポイント
部分 由来 特徴
グリセリン骨格 グリセリン ヒドロキシ基3個をもつ
脂肪酸部分 高級脂肪酸 長い炭化水素鎖をもつ
エステル結合 アルコール + カルボン酸 加水分解される
確認ポイント
  • 油脂にエステル結合が3つあることを理解できる
  • 油脂がグリセリンと脂肪酸からできることを説明できる
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3 飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸

脂肪酸は、炭化水素鎖に二重結合を含むかどうかで分類できます。
二重結合を含まない脂肪酸を飽和脂肪酸といいます。
二重結合を含む脂肪酸を不飽和脂肪酸といいます。
不飽和脂肪酸を多く含む油脂は、常温で液体になりやすい傾向があります。
飽和脂肪酸のイメージ
CH₃-(CH₂)n-COOH
炭素鎖に二重結合を含まない脂肪酸です。
不飽和脂肪酸のイメージ
CH₃-(CH₂)x-CH=CH-(CH₂)y-COOH
炭素鎖にC=Cを含む脂肪酸です。
代表的な脂肪酸
脂肪酸 分類 構造の特徴
パルミチン酸 飽和脂肪酸 C=Cを含まない
ステアリン酸 飽和脂肪酸 C=Cを含まない
オレイン酸 不飽和脂肪酸 C=Cを1つ含む
リノール酸 不飽和脂肪酸 C=Cを複数含む
確認ポイント
  • 飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸を区別できる
  • 不飽和脂肪酸がC=Cを含むことを説明できる
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4 油脂の加水分解

油脂はエステルの一種なので、加水分解を受けます。
酸性条件で加水分解すると、グリセリンと高級脂肪酸が生じます。
塩基性条件で加水分解すると、グリセリンと高級脂肪酸の塩が生じます。
油脂の塩基性加水分解をけん化といいます。
油脂の酸性加水分解
油脂 + 3H₂O → グリセリン + 高級脂肪酸3分子
エステル結合が切れて、グリセリンと脂肪酸に分かれます。
油脂の塩基性加水分解
油脂 + 3NaOH → グリセリン + 高級脂肪酸ナトリウム3分子
この反応をけん化といいます。
油脂の加水分解
条件 生成物 名称
酸性条件 グリセリン + 高級脂肪酸 加水分解
塩基性条件 グリセリン + 高級脂肪酸塩 けん化
確認ポイント
  • 油脂の加水分解生成物を条件ごとに答えられる
  • けん化が塩基性加水分解であることを説明できる
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5 石けん

石けんは、高級脂肪酸のナトリウム塩やカリウム塩です。
油脂を水酸化ナトリウム水溶液などでけん化すると、石けんが得られます。
石けん分子は、水になじみやすい親水基と、油になじみやすい疎水基をもちます。
この構造により、油汚れを包み込んで水中に分散させることができます。
石けんの一般構造
R-COO⁻ Na⁺
Rは長い炭化水素鎖で、-COO⁻部分は水になじみやすいです。
石けん分子のイメージ
疎水基 R- + 親水基 -COO⁻
疎水基が油汚れに、親水基が水に向きます。
石けんの構造と働き
部分 性質 役割
長い炭化水素鎖 R- 疎水性・親油性 油汚れになじむ
-COO⁻ 親水性 水になじむ
Na⁺やK⁺ 対イオン 石けん塩を形成
注意:石けんは硬水中のCa²⁺やMg²⁺と反応して沈殿をつくり、洗浄力が低下することがあります。
確認ポイント
  • 石けんが高級脂肪酸塩であることを説明できる
  • 石けん分子が親水基と疎水基をもつことを理解できる
  • 石けんの洗浄作用を構造から説明できる
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6 油脂と日常生活

油脂は食品、燃料、石けん、化粧品など、日常生活の多くの場面で利用されています。
植物油には不飽和脂肪酸を多く含むものが多く、常温で液体のものが多いです。
動物性脂肪には飽和脂肪酸を多く含むものがあり、常温で固体になりやすいものがあります。
油脂の性質は、含まれる脂肪酸の種類によって大きく変わります。
油脂の種類と特徴
種類 特徴
植物油 不飽和脂肪酸を多く含むものが多い オリーブ油、大豆油
動物性脂肪 飽和脂肪酸を多く含むものがある バター、牛脂
硬化油 不飽和結合に水素を付加して固体化 マーガリンなど
確認ポイント
  • 油脂の性質が脂肪酸の種類に影響されることを理解できる
  • 植物油と動物性脂肪の傾向を説明できる
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7 油脂の例題

油脂の問題では、構造、けん化、石けん、不飽和脂肪酸がよく問われます。
油脂をエステルの一種として考えると、反応を整理しやすくなります。
例題:油脂は何と何からできるエステルか。
答え:グリセリンと高級脂肪酸
油脂は、グリセリンの3つのヒドロキシ基と高級脂肪酸のカルボキシ基がエステル結合した化合物です。
例題:油脂の塩基性加水分解を何というか。
答え:けん化
油脂をNaOHなどで加水分解すると、グリセリンと高級脂肪酸塩ができ、この反応をけん化といいます。
例題:石けん分子で油汚れになじむ部分は親水基か疎水基か。
答え:疎水基
長い炭化水素鎖の部分が疎水性・親油性をもち、油汚れになじみます。
確認ポイント
  • 油脂の構造を説明できる
  • けん化の生成物を答えられる
  • 石けんの洗浄作用を説明できる
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