この教材で学ぶこと
到達目標
-
アミン・アミド・アミノ酸の構造を説明できる
-
アミンが塩基性を示す理由を説明できる
-
アミド結合とペプチド結合の関係を説明できる
-
アミノ酸が双性イオンになることを説明できる
-
アミノ酸とタンパク質の関係を説明できる
前提知識
-
有機化学の全体像と反応の見方
-
官能基
-
酸・塩基
-
カルボン酸
-
芳香族化合物
1
窒素を含む有機化合物
有機化合物には、炭素 C、水素 H、酸素 O だけでなく、窒素 N を含むものも多くあります。
窒素を含む代表的な有機化合物には、アミン、アミド、アミノ酸があります。
アミンは、アンモニア NH₃ の水素を炭化水素基で置き換えたような構造をもちます。
アミドは、カルボン酸の -OH が -NH₂ などに置き換わったような構造をもちます。
アミノ酸は、アミノ基 -NH₂ とカルボキシ基 -COOH の両方をもつ化合物です。
窒素を含む代表的な有機化合物
|
分類
|
特徴的な構造
|
例
|
|
アミン
|
-NH₂、-NHR、-NR₂
|
メチルアミン、アニリン
|
|
アミド
|
-CONH₂
|
アセトアミド
|
|
アミノ酸
|
-NH₂ と -COOH をもつ
|
グリシン、アラニン
|
|
タンパク質
|
多数のアミノ酸が結合
|
酵素、筋肉、毛髪など
|
確認ポイント
-
アミン・アミド・アミノ酸が窒素を含む有機化合物であることを説明できる
-
アミンとアミドの構造の違いを説明できる
-
アミノ酸がアミノ基とカルボキシ基をもつことを説明できる
↑ 目次へ戻る
2
アミン
アミンは、アンモニア NH₃ の水素原子を炭化水素基で置き換えたような化合物です。
たとえば、メチルアミン CH₃NH₂ は、NH₃の水素1つがメチル基 CH₃ に置き換わった構造です。
アミンは窒素原子上に孤立電子対をもつため、H⁺を受け取ることができます。
そのため、アミンは塩基性を示します。
芳香族アミンの代表例として、アニリン C₆H₅NH₂ があります。
アミンの塩基性
RNH₂ + H⁺ → RNH₃⁺
アミンはH⁺を受け取り、陽イオンになります。
メチルアミンと塩酸
CH₃NH₂ + HCl → CH₃NH₃Cl
アミンは酸と反応して塩をつくります。
アニリンと塩酸
C₆H₅NH₂ + HCl → C₆H₅NH₃Cl
アニリン塩酸塩が生じます。
アミンの分類
|
分類
|
構造の特徴
|
例
|
|
第一級アミン
|
R-NH₂
|
メチルアミン CH₃NH₂
|
|
第二級アミン
|
R-NH-R'
|
ジメチルアミン
|
|
第三級アミン
|
R-N(R')-R''
|
トリメチルアミン
|
|
芳香族アミン
|
ベンゼン環に-NH₂
|
アニリン C₆H₅NH₂
|
確認ポイント
-
アミンの構造を説明できる
-
アミンが塩基性を示す理由を説明できる
-
アニリンが芳香族アミンであることを説明できる
↑ 目次へ戻る
3
アミド
アミドは、-CONH₂ などのアミド基をもつ有機化合物です。
カルボン酸の -OH が -NH₂ に置き換わったような構造として考えると分かりやすいです。
代表例として、酢酸から考えられるアセトアミド CH₃CONH₂ があります。
アミド結合は、カルボン酸とアミンから水が取れてできる結合として考えることができます。
アミノ酸どうしが結合したときにできるペプチド結合も、アミド結合の一種です。
アミド結合の生成イメージ
RCOOH + R'NH₂ → RCONHR' + H₂O
カルボン酸とアミンから水が取れてアミドができます。
アセトアミドの構造
CH₃COOH → CH₃CONH₂
酢酸の-OHが-NH₂に置き換わったように見ることができます。
アミドのポイント
|
項目
|
内容
|
|
官能基
|
-CONH₂ など
|
|
代表例
|
アセトアミド CH₃CONH₂
|
|
結合
|
アミド結合
|
|
生成の見方
|
カルボン酸 + アミン - 水
|
|
重要な関連
|
ペプチド結合、タンパク質
|
確認ポイント
-
アミド基を説明できる
-
アミド結合の生成を説明できる
-
ペプチド結合がアミド結合の一種であることを理解している
↑ 目次へ戻る
4
アミノ酸
アミノ酸は、アミノ基 -NH₂ とカルボキシ基 -COOH の両方をもつ有機化合物です。
タンパク質をつくる基本単位として重要です。
最も簡単なアミノ酸はグリシン NH₂CH₂COOH です。
アミノ酸は、同じ分子内に塩基性のアミノ基と酸性のカルボキシ基をもつため、酸としても塩基としても働くことができます。
このような性質を両性といいます。
代表的なアミノ酸
|
名称
|
構造式
|
特徴
|
|
グリシン
|
NH₂CH₂COOH
|
最も簡単なアミノ酸
|
|
アラニン
|
CH₃CH(NH₂)COOH
|
メチル基をもつアミノ酸
|
|
フェニルアラニン
|
C₆H₅CH₂CH(NH₂)COOH
|
ベンゼン環をもつ
|
|
システイン
|
HSCH₂CH(NH₂)COOH
|
硫黄を含む
|
確認ポイント
-
アミノ酸が-NH₂と-COOHをもつことを説明できる
-
グリシンの構造式を答えられる
-
アミノ酸が両性を示すことを説明できる
↑ 目次へ戻る
5
双性イオン
アミノ酸は、分子内でアミノ基がH⁺を受け取り、カルボキシ基がH⁺を失うことがあります。
その結果、同じ分子内に正電荷と負電荷をもつ形になります。
このようなイオンを双性イオンといいます。
たとえば、グリシンは NH₃⁺CH₂COO⁻ のような形をとることがあります。
双性イオンの考え方は、アミノ酸の性質や等電点の理解につながります。
アミノ酸の双性イオン
NH₂CH₂COOH ⇄ NH₃⁺CH₂COO⁻
同じ分子内に正電荷と負電荷をもつ形になります。
アミノ酸の酸・塩基性
|
部分
|
性質
|
変化
|
|
アミノ基 -NH₂
|
塩基性
|
H⁺を受け取って -NH₃⁺
|
|
カルボキシ基 -COOH
|
酸性
|
H⁺を出して -COO⁻
|
|
全体
|
両性
|
双性イオンをつくる
|
確認ポイント
-
双性イオンの意味を説明できる
-
アミノ基がH⁺を受け取ることを説明できる
-
カルボキシ基がH⁺を出すことを説明できる
↑ 目次へ戻る
6
ペプチド結合
アミノ酸どうしは、アミノ基とカルボキシ基が反応して結合します。
このとき、水 H₂O が取れて、-CO-NH- の結合ができます。
この結合をペプチド結合といいます。
2個のアミノ酸が結合したものをジペプチド、多数のアミノ酸が結合したものをポリペプチドといいます。
タンパク質は、多数のアミノ酸がペプチド結合でつながった高分子です。
ペプチド結合の生成
H₂N-CHR-COOH + H₂N-CHR'-COOH → H₂N-CHR-CONH-CHR'-COOH + H₂O
アミノ酸どうしが脱水縮合してペプチド結合をつくります。
ペプチド結合のポイント
|
用語
|
意味
|
|
ペプチド結合
|
-CO-NH- の結合
|
|
ジペプチド
|
2個のアミノ酸が結合したもの
|
|
ポリペプチド
|
多数のアミノ酸が結合したもの
|
|
タンパク質
|
多数のアミノ酸からなる高分子
|
確認ポイント
-
ペプチド結合が-CO-NH-であることを説明できる
-
アミノ酸どうしが脱水縮合で結合することを説明できる
-
タンパク質がアミノ酸からできることを理解している
↑ 目次へ戻る
7
テストでの出題パターン
アミン・アミド・アミノ酸では、官能基、酸・塩基性、ペプチド結合、双性イオンがよく出題されます。
アミンは窒素の孤立電子対により塩基性を示します。
アミドは -CONH₂ などの構造をもち、ペプチド結合と関係します。
アミノ酸は -NH₂ と -COOH をもち、酸としても塩基としても働きます。
アミノ酸どうしが脱水縮合すると、ペプチド結合ができます。
例題:アミンが塩基性を示す理由を答えよ。
答え:窒素原子上の孤立電子対がH⁺を受け取ることができるため。
RNH₂ + H⁺ → RNH₃⁺ のように反応します。
例題:アミノ酸がもつ2つの官能基を答えよ。
答え:アミノ基 -NH₂ とカルボキシ基 -COOH
アミノ酸は両方の官能基をもつため、両性を示します。
例題:ペプチド結合の構造を答えよ。
答え:-CO-NH-
アミノ酸どうしが脱水縮合してできる結合です。
例題:グリシンの双性イオンの形を答えよ。
答え:NH₃⁺CH₂COO⁻
アミノ基がH⁺を受け取り、カルボキシ基がH⁺を失います。
確認ポイント
-
アミン・アミド・アミノ酸の官能基を区別できる
-
アミンの塩基性を説明できる
-
アミノ酸の双性イオンを説明できる
-
ペプチド結合とタンパク質の関係を説明できる
↑ 目次へ戻る