有機化学 / carboxylic_acid

カルボン酸とエステル

カルボキシ基をもつカルボン酸と、カルボン酸とアルコールからできるエステルについて、構造・性質・反応をまとめた教材です。
難易度:標準 目安:40分
# 有機化学 # カルボン酸 # カルボキシ基 # エステル # エステル化 # 加水分解

この教材で学ぶこと

到達目標

  • カルボン酸の構造と性質を説明できる
  • カルボキシ基 -COOH を構造式から見つけられる
  • 代表的なカルボン酸を答えられる
  • エステルの一般構造を説明できる
  • エステル化と加水分解を説明できる

前提知識

  • 官能基の基礎
  • アルコール
  • アルデヒドの酸化
  • 酸・塩基の基本
目次

1 カルボン酸とは

カルボン酸とは、カルボキシ基 -COOH をもつ有機化合物です。
カルボキシ基は、カルボニル基 C=O とヒドロキシ基 -OH が組み合わさったような構造をしています。
カルボン酸は酸性を示し、水溶液中で水素イオン H⁺ を放出することがあります。
代表的なカルボン酸には、ギ酸、酢酸、安息香酸などがあります。
カルボキシ基
-COOH
カルボン酸に含まれる官能基です。
カルボン酸の一般構造
R-COOH
Rは炭化水素基などを表します。
確認ポイント
  • カルボン酸がカルボキシ基をもつことを説明できる
  • カルボキシ基 -COOH を構造式から見つけられる
  • カルボン酸が酸性を示すことを理解できる
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2 代表的なカルボン酸

高校化学では、ギ酸、酢酸、安息香酸などがよく登場します。
ギ酸は最も簡単なカルボン酸です。
酢酸は食酢に含まれる酸として有名です。
安息香酸はベンゼン環にカルボキシ基がついた芳香族カルボン酸です。
酢酸の構造式イメージ
CH₃-C(=O)-OH
CH₃COOHを構造式っぽく書くと、カルボキシ基が見つけやすくなります。
安息香酸の構造式イメージ
C₆H₅-COOH
ベンゼン環 C₆H₅- にカルボキシ基がついた構造です。
代表的なカルボン酸
名称 構造式 特徴
ギ酸 HCOOH 最も簡単なカルボン酸
酢酸 CH₃COOH 食酢に含まれる
プロピオン酸 CH₃CH₂COOH 炭素数3のカルボン酸
安息香酸 C₆H₅COOH 芳香族カルボン酸
確認ポイント
  • ギ酸・酢酸・安息香酸の構造式を答えられる
  • 安息香酸が芳香族カルボン酸であることを理解できる
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3 カルボン酸の酸性

カルボン酸は、カルボキシ基の水素をH⁺として放出できるため酸性を示します。
たとえば酢酸 CH₃COOH は、水溶液中で一部が電離して酢酸イオン CH₃COO⁻ と水素イオン H⁺ を生じます。
ただし、酢酸のようなカルボン酸は一般に弱酸です。
無機化学の強酸である塩酸や硫酸とは、電離の程度が異なります。
酢酸の電離
CH₃COOH ⇄ CH₃COO⁻ + H⁺
酢酸は弱酸なので、完全には電離しません。
カルボン酸と塩基の反応
R-COOH + NaOH → R-COONa + H₂O
カルボン酸は塩基と中和反応を起こします。
カルボン酸の酸性
項目 内容
酸性の原因 -COOHのHがH⁺として出る
強弱 多くは弱酸
塩基との反応 カルボン酸塩と水を生じる
CH₃COOH + NaOH → CH₃COONa + H₂O
確認ポイント
  • カルボン酸が酸性を示す理由を説明できる
  • カルボン酸とNaOHの中和反応を理解できる
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4 カルボン酸の生成

カルボン酸は、第一級アルコールやアルデヒドを酸化することで得られることがあります。
第一級アルコールは、まずアルデヒドに酸化され、さらに酸化されるとカルボン酸になります。
エタノールを酸化すると、アセトアルデヒドを経て酢酸になります。
この流れは有機化学で非常に重要です。
第一級アルコールからカルボン酸
R-CH₂OH → R-CHO → R-COOH
第一級アルコールはアルデヒドを経てカルボン酸になります。
エタノールから酢酸
CH₃CH₂OH → CH₃CHO → CH₃COOH
エタノール、アセトアルデヒド、酢酸の流れは重要です。
確認ポイント
  • 第一級アルコールの酸化でカルボン酸ができることを説明できる
  • エタノールから酢酸までの流れを答えられる
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5 エステルとは

エステルとは、カルボン酸とアルコールが反応してできる有機化合物です。
エステルは一般に R-COO-R' で表されます。
低分子のエステルには果物のような香りをもつものがあり、香料として使われることがあります。
また、油脂もエステル結合をもつ重要な化合物です。
エステルの一般構造
R-COO-R'
カルボン酸由来の R-COO- 部分と、アルコール由来の R' 部分からなります。
酢酸エチルの構造式イメージ
CH₃-C(=O)-O-CH₂CH₃
酢酸とエタノールからできる代表的なエステルです。
代表的なエステル
名称 構造式 もとのカルボン酸 もとのアルコール
酢酸エチル CH₃COOC₂H₅ 酢酸 エタノール
酢酸メチル CH₃COOCH₃ 酢酸 メタノール
ギ酸エチル HCOOC₂H₅ ギ酸 エタノール
確認ポイント
  • エステルの一般構造 R-COO-R' を説明できる
  • 酢酸エチルの構造式を見てエステルだと判断できる
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6 エステル化

カルボン酸とアルコールが反応してエステルと水を生じる反応をエステル化といいます。
エステル化は、濃硫酸などの酸触媒のもとで進みやすくなります。
この反応は可逆反応であり、逆向きの反応として加水分解があります。
酢酸とエタノールから酢酸エチルができる反応は、代表的なエステル化です。
エステル化の一般式
R-COOH + R'-OH ⇄ R-COO-R' + H₂O
カルボン酸とアルコールからエステルと水が生じます。
酢酸エチルの生成
CH₃COOH + C₂H₅OH ⇄ CH₃COOC₂H₅ + H₂O
酢酸とエタノールから酢酸エチルが生成します。
エステル化で見る対応関係
カルボン酸 アルコール 生成するエステル
酢酸 CH₃COOH エタノール C₂H₅OH 酢酸エチル CH₃COOC₂H₅
酢酸 CH₃COOH メタノール CH₃OH 酢酸メチル CH₃COOCH₃
ギ酸 HCOOH エタノール C₂H₅OH ギ酸エチル HCOOC₂H₅
確認ポイント
  • エステル化の一般式を説明できる
  • 酢酸とエタノールから酢酸エチルができることを答えられる
  • エステル化が可逆反応であることを理解できる
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7 エステルの加水分解

エステルは水と反応して、カルボン酸とアルコールに戻ることがあります。
この反応を加水分解といいます。
酸性条件での加水分解では、カルボン酸とアルコールが生成します。
塩基性条件での加水分解では、カルボン酸の塩とアルコールが生成します。
油脂の塩基性加水分解は、けん化と呼ばれます。
エステルの酸性加水分解
R-COO-R' + H₂O ⇄ R-COOH + R'-OH
エステルがカルボン酸とアルコールに戻ります。
エステルの塩基性加水分解
R-COO-R' + NaOH → R-COONa + R'-OH
カルボン酸のナトリウム塩とアルコールが生じます。
エステルの加水分解
条件 生成物 特徴
酸性条件 カルボン酸 + アルコール 可逆反応
塩基性条件 カルボン酸塩 + アルコール けん化に関係
注意:塩基性加水分解ではカルボン酸そのものではなく、カルボン酸塩ができる点に注意しましょう。
確認ポイント
  • エステルの加水分解の生成物を条件ごとに答えられる
  • けん化が塩基性加水分解であることを理解できる
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8 カルボン酸とエステルの例題

カルボン酸とエステルの問題では、構造式から官能基を見つける力が重要です。
また、エステルがどのカルボン酸とアルコールからできたかを逆に考える問題もよく出ます。
例題:CH₃COOH に含まれる官能基は何か。
答え:カルボキシ基 -COOH
CH₃COOHは酢酸で、カルボキシ基をもつカルボン酸です。
例題:酢酸とエタノールからできるエステルは何か。
答え:酢酸エチル
CH₃COOHとC₂H₅OHがエステル化すると、CH₃COOC₂H₅ができます。
例題:CH₃COOC₂H₅を加水分解すると、どのカルボン酸とアルコールが得られるか。
答え:酢酸とエタノール
CH₃COOC₂H₅は酢酸エチルなので、加水分解で酢酸とエタノールに戻ります。
例題:エステルの塩基性加水分解を何というか。
答え:けん化
油脂などのエステルを塩基性条件で加水分解する反応は、けん化と呼ばれます。
確認ポイント
  • カルボキシ基とエステル結合を構造式から見つけられる
  • エステル化と加水分解を逆向きの反応として理解できる
  • エステルの構造から元のカルボン酸とアルコールを推定できる
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