有機化学 / ester

エステル

カルボン酸とアルコールから生成するエステルについて、構造、命名、エステル化、加水分解、けん化、香り、油脂との関係をまとめた教材です。
難易度:標準 目安:45分
# 有機化学 # エステル # エステル化 # 加水分解 # けん化

この教材で学ぶこと

到達目標

  • エステルの構造を説明できる
  • エステル化の反応式を書ける
  • エステルの加水分解を説明できる
  • けん化の意味を説明できる
  • エステルと香り・油脂の関係を説明できる

前提知識

  • カルボン酸
  • アルコールとエーテル
  • 有機化学の反応の見方
  • 加水分解
  • 酸・塩基
目次

1 エステルとは

エステルは、-COO- の構造をもつ有機化合物です。
多くの場合、カルボン酸とアルコールが反応して生成します。
代表例は酢酸エチル CH₃COOCH₂CH₃ です。
エステルには果実のような香りをもつものが多く、香料として利用されることがあります。
また、油脂もエステルの一種として扱われます。
代表的なエステル
名称 構造式 特徴
酢酸エチル CH₃COOCH₂CH₃ 酢酸とエタノールからできる
ギ酸メチル HCOOCH₃ ギ酸とメタノールからできる
酢酸メチル CH₃COOCH₃ 酢酸とメタノールからできる
サリチル酸メチル C₆H₄(OH)COOCH₃ 芳香をもつエステル
確認ポイント
  • エステルの構造 -COO- を説明できる
  • 酢酸エチルの構造式を答えられる
  • エステルが香りや油脂と関係することを説明できる
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2 エステル化

エステル化は、カルボン酸とアルコールからエステルと水が生じる反応です。
この反応は可逆反応です。
濃硫酸を触媒として加熱することが多いです。
濃硫酸は酸触媒として働くだけでなく、脱水剤としても反応を進みやすくします。
酢酸とエタノールから酢酸エチルが生じる反応は、エステル化の代表例です。
酢酸エチルの生成
CH₃COOH + CH₃CH₂OH ⇄ CH₃COOCH₂CH₃ + H₂O
酢酸とエタノールから酢酸エチルが生じます。
一般的なエステル化
RCOOH + R'OH ⇄ RCOOR' + H₂O
カルボン酸とアルコールからエステルが生じます。
エステル化の要点
項目 内容
反応物 カルボン酸 + アルコール
生成物 エステル + 水
条件 濃硫酸、加熱
反応の性質 可逆反応
代表例 酢酸エチルの生成
確認ポイント
  • エステル化の一般式を書ける
  • 酢酸エチルの生成反応を書ける
  • 濃硫酸が使われる理由を説明できる
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3 エステルの命名

エステルの名称は、もとのカルボン酸とアルコールをもとに考えます。
酢酸とエタノールからできるエステルは、酢酸エチルです。
ギ酸とメタノールからできるエステルは、ギ酸メチルです。
名前の前半はカルボン酸由来、後半はアルコール由来と考えると整理しやすいです。
構造式から、どこまでが酸由来でどこからがアルコール由来かを見分ける練習が重要です。
エステル名の作り方
カルボン酸 アルコール 生成するエステル
ギ酸 メタノール ギ酸メチル
ギ酸 エタノール ギ酸エチル
酢酸 メタノール 酢酸メチル
酢酸 エタノール 酢酸エチル
安息香酸 メタノール 安息香酸メチル
例題:酢酸とメタノールからできるエステルの名称を答えよ。
答え:酢酸メチル
酸由来が酢酸、アルコール由来がメチル基なので酢酸メチルです。
確認ポイント
  • エステル名を酸由来とアルコール由来に分けて考えられる
  • 酢酸エチル・酢酸メチル・ギ酸メチルを区別できる
  • 構造式からエステル名を推定できる
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4 エステルの加水分解

エステルは水と反応して、カルボン酸とアルコールに戻ることがあります。
この反応を加水分解といいます。
エステル化の逆反応として考えると理解しやすいです。
酸性条件では、エステルがカルボン酸とアルコールに分解されます。
塩基性条件では、カルボン酸の塩とアルコールが生じます。
酢酸エチルの酸性加水分解
CH₃COOCH₂CH₃ + H₂O ⇄ CH₃COOH + CH₃CH₂OH
酢酸とエタノールが生じます。
酢酸エチルの塩基性加水分解
CH₃COOCH₂CH₃ + NaOH → CH₃COONa + CH₃CH₂OH
酢酸ナトリウムとエタノールが生じます。
エステルの加水分解
条件 生成物 特徴
酸性条件 カルボン酸 + アルコール エステル化の逆反応
塩基性条件 カルボン酸の塩 + アルコール 反応が進みやすい
油脂の塩基性加水分解 高級脂肪酸塩 + グリセリン けん化
確認ポイント
  • エステルの加水分解を説明できる
  • 酸性条件と塩基性条件で生成物が違うことを説明できる
  • 酢酸エチルの加水分解反応を書ける
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5 けん化

けん化とは、油脂などのエステルを塩基性条件で加水分解する反応です。
油脂は、高級脂肪酸とグリセリンからできたエステルです。
油脂に水酸化ナトリウムを加えて加熱すると、高級脂肪酸ナトリウムとグリセリンが生じます。
高級脂肪酸ナトリウムは石けんの主成分です。
つまり、けん化は石けんの生成と関係する重要な反応です。
けん化のポイント
項目 内容
反応 エステルの塩基性加水分解
出発物質 油脂
試薬 NaOHなどの強塩基
生成物 高級脂肪酸塩 + グリセリン
関係 石けんの生成
確認ポイント
  • けん化の意味を説明できる
  • 油脂がエステルであることを説明できる
  • けん化で高級脂肪酸塩とグリセリンができることを説明できる
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6 エステルと香り

エステルには、果実のような香りをもつものが多くあります。
そのため、エステルは香料として利用されることがあります。
たとえば、酢酸エチルは果実様のにおいをもつ代表的なエステルです。
エステルの香りは、分子の構造によって変わります。
実験では、カルボン酸とアルコールを反応させて、生成したエステルのにおいを確認することがあります。
エステルと香りの例
エステル 構造式 特徴
酢酸エチル CH₃COOCH₂CH₃ 果実様のにおい
酢酸イソアミル CH₃COOCH₂CH₂CH(CH₃)₂ バナナ様のにおいとして知られる
サリチル酸メチル C₆H₄(OH)COOCH₃ 特有の香りをもつ
確認ポイント
  • エステルが香りと関係することを説明できる
  • 酢酸エチルが代表的なエステルであることを説明できる
  • エステル化実験と香りの確認を関連づけられる
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7 テストでの出題パターン

エステルでは、エステル化、加水分解、けん化、命名がよく出題されます。
カルボン酸とアルコールからエステルと水が生じる反応をエステル化といいます。
エステルの加水分解では、酸性条件と塩基性条件で生成物が変わります。
油脂の塩基性加水分解はけん化と呼ばれ、石けんの生成に関係します。
エステル名は、酸由来の部分とアルコール由来の部分に分けて考えると覚えやすいです。
例題:酢酸とエタノールからできるエステルを答えよ。
答え:酢酸エチル
CH₃COOH + CH₃CH₂OH ⇄ CH₃COOCH₂CH₃ + H₂O です。
例題:エステル化でカルボン酸と反応する相手は何か。
答え:アルコール
カルボン酸とアルコールからエステルが生じます。
例題:油脂の塩基性加水分解を何というか。
答え:けん化
高級脂肪酸塩とグリセリンが生じます。
例題:酢酸エチルをNaOH水溶液で加水分解すると何ができるか。
答え:酢酸ナトリウムとエタノール
塩基性加水分解ではカルボン酸の塩とアルコールが生じます。
確認ポイント
  • エステル化の反応式を書ける
  • エステルの加水分解を説明できる
  • けん化を説明できる
  • 代表的なエステルの名称を答えられる
  • エステルと香りの関係を説明できる
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